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鬼ごっこは命がけ  作者: 伊代
2章
13/32

オカマさん登場

本日二話目の投稿です。

「あぁんっ、空耶さまぁー! つれないわぁ~」

 顎髭を生やしたオジサマが腰をくねらせながら、物凄く気持ちの悪い黄色い声を出して駆けてくる。

えー、ナイスミドルだと思いましたことを、ここに激しく訂正したく存じます。


瑠惟るい、登場が遅いヨ。色んな意味で惜しいネ」

「おや、坊ちゃま。サクランボのように可愛らしい唇から、何やら紅い滴が垂れておりますが……」

「ウルサいナ、言われなくても分かってる。早く手当てしてヨ」

「はいはい、世話の焼ける坊ちゃまですね。そこが可愛いのですけど。んふふ」


…………うん、帰ろう。

 ここに居てはいけない。


 見てはいけないモノにくるりと背を向け、図書館に足を向ける。


「葵サン」

 振り返りたくはないが無視も出来ず、精一杯無表情を装って焔星くんに顔を向けると、オカマさんがグレー色したスーツのポケットからライトピンクのハンカチを取り出して、焔星くんの口の端を拭っていた。

 いつの間にか額の中央にあった角は消えて、髪と瞳の色も元に戻っている。


「ボクに聞きたい事ナイ?

 図書館の本よりは詳しいコトを教えてあげられるハズだヨ」


 その提案は実に有り難い。

 正直図書館で得られる物が大きいとは思っていない。


……でも、でもねっ!?

 さっきから、焔星くんの隣に立つオカマさんがわたしを親の敵のように睨んでいるのよ!!!

 明らかに歓迎されてないのに「じゃあお願い☆」とは素直に言えないのよぅぅ!


「あ、コレはボクの執事の瑠惟。

 ちょっと女性に対して攻撃的だけど、噛みついたりはしないから気にしないで大丈夫だヨ」

 瑠惟さんは片足を振り上げてベンチに乗せ、わたしを下から睨みつけた。

「日高瑠惟だ、小娘。覚悟しておけ」



…………ほ、本当に大丈夫デスカ?





「ほわー、すごいお家!」

 結局誘いに乗ることにしたわたしは、瑠惟さんの運転する車で焔星くんたちのお宅に招待された。

 何百坪あるの?っていう敷地に、古めかしい貫禄のある佇まいの純和風の豪邸です。

 まあ執事がいるくらいだし、黒塗りの格式ある外国産の車を見たときにお金持ちだなと確信はしたんだけどね。


 赤い絨毯が敷かれた廊下を通り、高価そうな置物やら壷やらが飾られた居間に案内された。

「ここで待っていろ、小娘」

 明らかにわざと音を立ててガチャンとお茶を出した瑠惟さんは、フンと部屋を後にした。


 うー、瑠惟さんて態度が極端過ぎる。

 黄色い声で空耶を追いかけたり、焔星くんをベタ甘な声で可愛がっているのに、わたしに対しては外見そのままの低音ボイスで脅すように話す。

 黙っていれば品の良いキリリとしたオジサマなのに……。

 大事な坊ちゃまを誑かす貧相な女、ってトコだろうな。

 でも見た目はわたしも男っぽいんだし―――ってそういう問題じゃないか。

 まぁ別にいいけど。


 お茶をすすって居間から庭園を眺める。

 綺麗に剪定された松や、鯉の泳ぐ池に和む。

 うーん、セレブリティ~!

焔星は瑠惟に対しては割と言いたい放題です(笑)

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