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鬼ごっこは命がけ  作者: 伊代
2章
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本性

 公園の一番高い木の上で腕を組みつつ、フンと鼻であしらう空耶。

 なんとでも言え、という事なのだろう。


 それを見た焔星くんは片手だけでわたしを軽々と抱くと、もう一方の手を空耶に突き出した。

 橙の小さな炎が数個、勢いをつけて飛び出し空耶を襲う!


 ちょ、待ってよ、嘘! 戦うの!?


「破」

 空耶がただ一声短く発しただけで散り散りに霧散する炎。

 続いて空耶は指先一本で小さくくるりと宙に円を描く。

 紫の膜に覆われた青白い光を放つプラズマ状の球体が、空耶の胸の辺りでふわりと浮かび上がった。

 そのまま指をわたしたちに向け、かくりと動かす。

「撃て」

 プラズマボールが一直線に飛んでくる!!!


 し、死ぬ! たぶん死ぬーーーッ!

 

 力を入れた焔星くんの腕で、その胸に顔を押しつけられた。

 直後に全身を大きな空気の抵抗が包むのを感じる。

 衝撃はない。

 焔星くんが跳躍して交わしたのだろう。

 知らず瞑っていた瞼を開くと、交わしたはずのプラズマボールが器用に方向転換をし、ジジジと鈍い音を立てながら再び迫ってきていた!


「もう、追跡型なんてエゲツナいナー」


 そんなわたしたちを、クククと冷笑を浮かべながら樹上から見下ろしている空耶。

 そこからは何の表情も読みとれはしない。



―――これが、魑魅のボス。



 この瞬間、わたしは初めて本当の空耶を見たのだろう。

 目にした者を本能的な恐怖に突き落とす凄絶な圧倒的支配者の形貌。

 いつものエロぼけしたイケメンオヤジの姿は欠片もない。


「葵サンに当たったらどうするのサ」

 器用にスイスイとプラズマボールを避けつつ恨めしそうに呟く焔星くんは、しかしどこか楽しげにも見える。


「おまえが盾になれば良いだろう」

……いや、無茶な。

 あれが直撃したら周囲にも被害が出るような気がする。


 遊具に当たらないように気を配りながら飛び交う焔星くんが、わたしの名を小さく呼んだ。

「葵サン、驚かせちゃうかもしれないケドちょっとだけゴメン」


 ごめんって、何が?

 と、顔を見上げると―――


 ハチミツ色の髪は燃えるように赤く。

 ダークブルーの瞳は澄んだアイスブルーに。

 そして額の中央に―――1本の角。



 わたしを抱くのは、絵本の中で見る「鬼」だった。



 しかし綺麗な顔は損なわれていない。

 そのせいだろうか、不思議と恐怖感はない。



 鬼の姿の焔星くんは「ちょっと待ってて」とわたしを降ろした。

 逃げるのをやめて、プラズマボールを見据える。

 しっかりと標的を定めて向かってくるボール!


「危ない!!!」


 叫ぶわたしを余所に、焔星くんはあろうことかそれを両手で鷲掴みにした!

 ジジジジジジジ……

 野球ボール位の大きさだったそれが手の中でサッカーボールくらいに膨れ上がった。


「お返しするヨ!」

 焔星くんはそれを空耶に向けて放った!


お気に入りを頂いて、私の作品を気に入って下さる方がいたのか!!と、凄く自信に繋がっています。

作品を投稿するのが今一番の生き甲斐です。

アクセスして目を留めて下さっている方がいらっしゃるだけで幸せなのに……ありがとうございます!


宜しければ評価の方も正直な採点を頂ければ幸いです!

1点なら真摯に受け止めて改善するよう努力させて頂きます!!!


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