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鬼ごっこは命がけ  作者: 伊代
2章
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マーキング効果

本日二話目の投稿になります。

 人を外見で判断してはいけない、とはよく言ったものだ。

 わたしはそれを痛感している。


 図書館で「調べ物は何か」と問いつめられ、言い逃れできなくなったわたしは「ちょっと妖怪について調べてみようかなーなんてね、えへ★」なんて頑張って可愛く言ってみたのに、焔星くんは有無を言わさない勢いでわたしの手を取ると、図書館から出て隣接している公園に向かった。


 そしてただいま、木陰のベンチの端っこに身を縮ませて、力を籠めて顔を反らしています。

 だって焔星くんが腰に手を当て前屈みの姿勢で、無言のままキラキラのスマイルでわたしを攻撃するんだ!


「えーと―――そ、そのぉー、ごめんなさい……?」

 何でこんな事になってるのかサッパリだけど、居たたまれずにとりあえず謝ってみる。

「何を謝ってるノ?」

「だ、だってなんか怒ってるから……」

「うん、怒ってるヨ。だってボクの忠告、ちゃんと聞かなかったデショ?」

「忠告……??」


 えーっと、なんだっけ。

 素で首を傾げると、焔星くんは唇を尖らせてむくれた。

 くそぉー、そんな仕草が似合う社会人(しかも男!)ってズルい!!


「葵サンは美味しそうなニオイがするから『オニに囚われないように気をつけて』って言ったノ、覚えてナイ?

 なのに、しっかりマーキングされちゃってサ。アイツのニオイがプンプンするヨ……」

 焔星くんは鼻がぶつかりそうなくらい顔を寄せ、眉を顰める。


 マーキングって、そんな犬じゃないんだから。

 まあ空耶は犬っぽいところがあるけどね、アハハ。


――――――って、え?

 美味しそうって何?

 アイツって誰の事?


 焔星くんは何を知っているんだ?

 得体の知れないものを感じ、ごく間近でその顔を凝視してしまった。


 と、その瞬間。

 何か鋭い気配がして、まさかの浮遊感がわたしを襲う!

「はぅわあぁっ!?」

 焔星くんがわたしを横抱きにして地を蹴って跳ぶ。

 その距離、数十メートル!


 ちょっと、焔星くんてばその細身にどんだけの筋肉を隠してるの!?

………………っていやいや、ちょっと落ち着こうよわたし。

 数十メートルって普通に人間越えてるわ……。


 横抱きにされたまま、さっきまで焔星くんがいた場所に視線をずらすと、その剥き出しの地面から黒い煙がもうもうとくすぶっていた。


 一体何が―――。

 問おうとして焔星くんを見上げると、緊張が窺えるダークブルーの瞳がただ一点を睨んでいる。

 その視線の先を追うと―――。




「葵から離れろ、車尾」

 漆黒の瞳をギラギラとたぎらせ、青白い炎を身に纏った空耶が居た。


 その視線だけで射殺されそうだというのに、焔星くんはおどけたように肩をすくめて苦笑。

「ヤレヤレ。男の嫉妬は醜いよ、空耶サン?」


 あー、どう見ても友好的ではないようだけど、やっぱりというかなんというか。

 この二人、知り合いなのね……。


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