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鬼ごっこは命がけ  作者: 伊代
1章
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目覚め

この作品は「紅の絆」の後世の話にあたります。

そちらを読まなくても全く支障はありませんが、後々接続される部分が出てきますので興味がある方はそちらも併せて読んで頂けると嬉しいです。

シリーズではありますが、こちらとはガラリとイメージが違いますのでご了承ください。


「あっつぅー」


 寝汗がベタベタして気持ち悪くて目が覚めた。

 高く昇った太陽が、カーテン越しにも存在を主張してきて鬱陶しいことこの上ない。

 28歳の女がそれはないだろ、っていうハートとテディベアが壁紙のラブリーな携帯を見ると、液晶画面は14時。


「んぁ~、今日もよく寝た!」


 大きくあくびをしながら這いずるようにベッドから出ると、布団代わりのバスタオルがフローリングに落ちるけど気にしない気にしない!

 耳たぶまでの短いショートボブをボリボリと掻きつつサイドテーブルから度のキツい黒縁眼鏡を取り上げて、ひとまず汗を流そうとシャワーへと足を向けた。



「葵? ……お、おはよう」


 クーラーの効いたリビングから、わたしに気付いたお父さんが声を掛けてきた。

 目があったけど、次の瞬間に思い切り顔を反らされた。

 キャミソールにショーツという姿で家の中をフラフラする年頃の娘は、父親の目にどう映ってるんだろうね?

「ん、おはよ。シャワー使うね」

 ぺったんこで寸胴な幼児体型の可哀想な娘に、思いっきり「見たら負けだ」みたいにオロオロしなくていいのに。



 防水スピーカーに入った音楽プレイヤーで少し懐かしい軽快なJ-POPを聴き流しつつ、ベタつく身体を軽く洗うと新調したばかりのタオルに包まれる。

 新しいタオルは肌にふんわりして、気持ち良い。

 更に可愛い黒猫の刺繍がワンポイントされてて、これまた幸せな気持ちを味わえる。


 ぐしゃぐしゃと乱暴に頭を拭きながらキッチンへ向かい、たっぷりの氷を入れたグラスでアイスコーヒーを飲んで、やっと一日の始まり。


 朝は苦手。

 だから自然と目が覚めるまで自由に寝て、そっから一日が始まる。

 快適な温度と湿度が保たれている日は、夕方まで寝ていることもあったりして。


 この睡眠時間の長さは、母親曰く「生まれ落ちたその日から恐ろしく寝る子で、おかげで手が掛からなくて良かったわぁ~」だそうで、今更どうにも出来ない問題だと思う。


 まあそんなぐうたらな生活が出来るのも今だけ。

 前の仕事を辞めてからもう一年以上経つし、そろそろ新しい職を探さないとなぁ……。

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