大谷になれるボタン 完結編
変身バンクなどの特別な演出はなかった。
寝床に横たわる私はすでに大谷になっていた。
「まだ眠いな。」
どうやら変身後しばらく眠っていたようだ。」
「まだ眠いな。」
そこには本物の大谷もいてスポンサー契約している全自動ベッドに横たわっていた。
大谷になるといっても本当の大谷が消滅するわけではないらしい。
大谷は自分と瓜二つの姿を認め当惑したようすだ。
私は手際良く変身ボタンの事情を話した。
大谷ボタンがドジャースと同じ青いボタンであったことを話すと彼は少し照れくさそうに笑った。
メディアなどで目にする通りの好青年だ。
大谷は彼なりに事情を納得したらしかった。
「じゃあ、僕は試合がありますので出かけます。」
「タワマンで自由に過ごしていいですよ。」
大谷は颯爽と去っていった。
スマホで検索すると今日も試合があるらしい。
「メジャーのスケジュール過密すぎるだろ。」
突然途方も無い孤独が私を襲った。
とりあえず今日はタワマンのテレビで試合を観戦することにしよう。