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episode4:プロローグ

ピピピッ ピピピッ ピピッ


携帯で設定していたアラームの音で目が覚める。


「ふぁーーはふっ」


あー眠い。でも学校行かなくちゃな。


俺は渋々布団から抜け出し朝食を食べるため、リビングへと向かった。



俺の名前は田淵結花。現在高校二年生の男子生徒だ。


「あ、父さんおはよう。」


「おう。」


よく女みたいな名前だといわれるが、本当にその通りである。一体なにを考えてこんな名前を付けたのだろう。


「家に居るなんて珍しいね。ねえ父さん。どうして俺の名前結花にしたん?」


「あーそれはな、お前の母ちゃんは花が好きだったからだよ。」


「へー…それって俺を生む前に決めてたの?あ、醤油とって。」


「いや、お前を生む前は、お前の名前で大層母さんと言い争ってな。結局決まらなかったんだよ。」


どこか楽しそうに父さんは言う。


「じゃあ父さん一人で決めたの?」


「まあ、そうだな。母さんはてっきり女の子が生まれると思っていたから女の子の名前しか考えなかったんだ。その中で一番母さんが気に入っていたのが結花だ。俺は万が一男の子だった場合も考えろと言ったんだがな。懐かしいな。あれからもう17年か。」


俺は目玉焼きを口に入れる。


「結花。この名前にしたこと、恨んでるか?」


「うーん。まあ不便なことはあるけど、嫌いじゃないよ。」


「…そうか…ありがとう。…ちなみに、父さんが考えた名前も聞いてくれるか?」


「うん。どんな感じ?」


「俺の考えた名前には深い意味があるぞ。お前にはいろんなところに行って、暗いことなんて考える暇がないくらい楽しんで欲しいんだ。そんな気持ちを込めてお前の名前は―――




「ハぁーつかレマシター」


「は?」


視界が急に切り替わり真っ黒になる。


(なんだここは?)


よく見ると遠くに何かいる。しかし、次の瞬間にはソレは目の前に現れた。


「わっ!」


悲鳴を上げたのは単に驚いただけではない。その奇怪な様相だ。ケンタウロスのような胴体に様々な生き物のパーツが組み合わさっている。鳥のような頭がこちらを見下していた。


「アレ?この姿を見るのハ二回目のハズですガ…」


どうやら鳥の頭ではなく腕に生えた口から発声しているようだ。そんなことを考えながら俺はただ恐怖しているだけだった。


「アー本当に忘れちゃったみタイデスネ。もうすこし丁寧に複製するべきでしたカ。」


そう言い鳥ケンタウロスは腰に下げていた袋をまさぐり、中から何かを取り出す。


「コレコレ!これがアナタの脳デス。」


それは氷漬けにされた脳みそだった。


「ウーン。若干召喚前後の記億に障害が生じてしまったようですネ。反省反省。」


そうだ、俺は何故かタマゴから出てきて、虫に襲われて、それで…。いや、こんなやついなかったぞ。


「あなたは…誰、なんですか。」


「アーそこからですか。わかってはいますけど、面倒くさいですネ。まあ巷では精霊王と言われてタり、言われてなかったりですネ。」


精霊王。いきなりファンタジックな用語で混乱する。


「あ、あの―――」


「エッと、キミと私がした約束については覚えていますよネ?」


「え?」


「君の命をつなぎ、精霊にするかわりに体で実験させてもらウ約束デス。」


「え?」


「マサカ、ワスレタノデスカ?」


精霊王の顔がみるみる赤くなってゆく。俺はひやひやしたがすぐに色は元に戻った。


「良いでショウ。アナタが記憶を失っているのナラ、仕方がありまセン。もし、完全に記憶が戻ったら、その時はお迎えにアガリマス。それまではどうか壊れませんヨウ。保険として体を弄っておきマス。分化阻止と、皮膚硬化のネ。これであなたハ精霊というよりは妖精ですネ。」


俺は精霊王の話を呆然としながら聞いていた。


「アア本当に長距離の念話は疲れマス。私の本体は聖域にありますからネ。一匹潜ませておいて正解でした。疲れるのでもうこれくらいにしておきまショウ。」


「デハ、時が来るまではこの世界を楽しんでくださイ。」


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