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私を迎えにいく話。

イカロスの煙

私は干からびて貼り付いたみみず。

ジリジリと照りつける太陽が攻撃性を帯びて感じる。私はこの季節が特に苦手だ。じっとりと全身汗ばみ、まるで熱い煙が自分から立ち上っているような気さえする。


ふと足元には干からびたみみずが貼り付いている。

この季節の風物詩だろう。哀れだ。


カラカラに乾き切ったような身体なのにやたらと重く感じる。歩くのさえ辛く感じるが、目的地はまだ先だ。


誰もいない運動場は影ひとつない。


熱されたアスファルトからはゆらゆらと陽炎が立ち上っている。私は地上から逃げられない。それはまるでハリガネムシに寄生されたカマキリのようだ。


ぼんやりとした頭でただ足を前に出す。

右、左、右…機械的な歩み。

さっきそういえばレボトミンを飲んだんだっけ。

体の重さの理由が明確になり、少しだけ安堵する。

そして、それならしょうがないと縁石に座る。


ポケットからくしゃくしゃになっている煙草を取り出した。別に銘柄はなんでも良いんだ。ただソフト、これだけは譲れない。ライターは安っぽければ安っぽいほど好ましい。


吐き出す煙が空に登っていく。

このまま雲になれば良いのに。ヤニの雲。


煙草で目が覚めることはない。

逆に落ち着くこともない。

何よりも煙草を美味しいと思って吸ったことは正直一度もなかった。ただ私の中の空虚さが煙で埋まっていく気がして、やめられなかった。埋まったとて煙なのだが。

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