68.魔力酔いってのはすぐ治らんなあ
しばらく世界観説明が続きます
覚悟してください
おはよう。
昨日の記憶がないぜ、どこだここは。俺がとった宿だ! あ、置き手紙がある。
えー、なになに?
見たところ一人では帰れそうになかったので、私が宿まで送らせていただいた。
宿はディート殿が持っていた鞄から拝見させていただいた。大事になさってくれ。
ジンより
ほージンがここまで送ってくれたのか。ありがたいことだ。持つべきは友だな。……俺とジンって友達ってことでいいよな? いや、どうなんだろう。いかんせん特別な事情で知り合ったからな……その辺のことはどう判断してよいものか。
さて、荷物はちゃんと全部あるかな……ん、なんかカバンに入ってるな? コインだ、 刻まれているのは……魔法館の紋章だ。紋章の他にも、ほかにも見てると目が回るレベルで細かい細工が施されている。大きさは大体五百円玉くらいかな。これにも手紙が添えられていた、よし読んでみよう。
また来たいのなら、これを受付で見せるといいよ。
館長に許可はとったから安心してほしい
それと、君に紹介したい人たちがいる。詳しい話はまた研究所にきたときにしよう
これロデルさんからのでは? 名前は書いてないけど。
ふーん。とにかく、これを見せれば研究室まで一発で行けたりするのかな。そうだなあ、まだ魔法コーナーは見れてないから魔法館にはまた行くつもりだし、その時にまた研究室を訪れるか。よし、そうしよう。
さて、いったんこれらは置いておいて、昨日研究所でやったことは、まず魔法、特に防とか水属性みたいな実体のあるものの構成についてや、あとは複合属性のことが大半だったな。ついでに、ジンの剣にある俺が知らなかった特性を知れたぜ。
まず、実験をするにあたってロデルさんから魔法のなんたるかの説明を受けた。これがかなり衝撃的な内容で……どうやら、魔法を発動させるのは魔法陣などの文字そのものではなく、その文字に込められた「意思」の方らしい。
魔力は人のみならずあらゆる生き物の意思に反応してその意思が望む形になろうとする性質があるらしい。もちろん、これは数ある性質のうちの一つだ。
魔法陣や、魔法書に書いてある発動方法、詠唱などはすべてその「意思」を伝える手段のうちの一つに過ぎないようだ。この辺の話は魔術学でも魔力そのものを研究する魔学でもない詠唱学という学問になり、ロデルさんもそこまで詳しくは知らなかったんでそれ以上詳しい説明は聞けなかったけど。
魔術学が魔力を使って何ができるかを、魔学がさっきも言った通り魔力とは何かを、詠唱学は魔力を使役する手段を調べる、という認識でいいようだ。
要は、魔法を使うには理論じゃなくどちらかと言うとイメージの方が大事ってことだ。
何が起こるか理解せずにその魔法を使ってみても、弱い効果になるか何も起こらない、ってのが典型的なその例らしい。俺がやけに時属性失敗してたのはそのせいだったのか……。
このイメージの方が重要、という観点で見てみると、俺は割と科学っぽい考え方(この世界比)をしていたように思える。ほら、普通の物体は、原子だったかみたいな細かいもので構成されているじゃないか。だから、実体のあるタイプの魔法はすべて細かい魔法が寄り集まったような構成になっていたのではと考えた。
そんなことをロデルさんに伝えた。その後ロデルさんもそのようなイメージをして魔法を使おうとしていたが、元のまま変わらなかった。なぜだろうか、やはり無意識な部分が影響しているのだろうか。俺も意識的にはやってなかったわけだからな。
……まて、魔法が成立するのがイメージによるものなら属性ってどの要素で決まるんだ? 今までは術式の根底にあるパターンと認識していたがおそらくそれは間違いということになる。だって術式魔法の本体じゃないもん。それに、人の意思で魔法を発動できるのなら術式などの意味ってなんだ? 別に必要なくないか? それで発動するのもナゾ。
わ、わからん! 全く整理がつかない! ……まあ、またいったときに聞けばいいことだな。幸い、研究所にいけるであろうコインも今手元にあることだし。
で、ジンの剣な。アレ、切ったりや魔法の解除には剣に込められている魔力を消費しているらしく、魔法の解除を重ねれば重ねるほど魔法を解除する力は落ちるし剣の切れ味も損なわれるらしい。初めて知ったぜ。つまり、たとえば防魔法なども決して無意味ではなかったってことだな。いいこと知った。
よし。そんなこんなで魔法館で学んだことの振り返りはおしまいにしよう。ほかにもいろいろあるけど。濃い一日だったぜ、昨日は。
今日は……魔力酔いで体調が恐ろしく悪いから、寝ていよう。帰るのはまだ数日先だしね……。




