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異世界で魔法を極めたい  作者: 井上
4.少年期、二年目・春〜夏「ジン」
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66.それはそれとして恨むぞ、館長

 俺が「遮断ニノイズ」を切るとほぼ同時に、副所長が準備を終えたのか部屋から出てきた。


「さて、ジン、そしてディート、こちらに来てください」


 そうだった、ここに来たのこの人に俺が何か持ってるって思われたからだった。うーんどう説明したものか。逃げてもいいが、ジンがここで何をするのか気になる。


 館長も出てきたな。おい、なぜあの人は合掌している、しかも俺に向かって。


 副所長に導かれ、ジンと俺はまた別の実験室に入る。うわー広い。ものも整頓されているし、なにやら立派な魔道具も見える。この実験室自体も魔道具のようだ。壁や窓には「遮断ニノイズ」に似た術式が刻まれているのを感じる。窓も、外側から内側が見えないように闇属性と、保護として防魔法が付与されているようだ。


 ふんふん、魔道具ならジンの剣もあまり意味をなさないからな。ジンの剣は術式を乱して魔法を無効化するんで多少は影響するかもしれないが。魔道具の術式は魔法の術式と同じだが、その強度は大きく異なる。魔道具のほうが圧倒的に強い。なんせ術式を構築してるのは魔力だけじゃなく、魔力を保護する何かしらもあるんだ。これが付与とかだったら速攻無効化されるだろう。


 うん、なんかドアのすぐ横にベルと……受話器? かな? が壁から直接生えてるホルダーにかけられている。電話っぽい、限りなく電話っぽいぞ。この電話っぽいのがくっついている辺りは壁とはまた別の材質だが、術式で地がよく見えんくてわからん。ま、さして重要じゃないだろうしいいや。


「ディート、あなたが蟲属性以外の属性を扱えるのはこの人から聞きました」


 副所長は口を開くと突然そのようなことを言った。


 ああ、クッソ、それでか! それでか! 館長が合掌してたのは!


 わざわざ「遮断ニノイズ」を張った意味よ! ……いや、館長と副所長以外にバレる可能性もあるにはあったわけだし、無意味ではない、のか? うん、無駄ではなかった。そう信じよう。ジンの目線がちょっと気になるけどこの際無視してしまえ。


 にしても副所長の館長の呼び方「この人」なんだ。館長、おそらく所長も兼任しているだろうに、なんだろうこの立場の低さは。哀れなり。


「あなたが隠したがっているかもしれない、ということも。あなたが希望するならば、外部には漏らしません」

「なら、隠しておいてほしいです」

「わかりました」


 ふう。


 ちょっと想定外のことが連続して驚いたが、まあ最悪の事態にはならなそうでよかった。ジンはまず口外しないと約束してくれてるし、館長はいままで誰にも言っていなさそうだからこれからもきっとそうだ。副所長は……よくわからんが、約束は守るタイプだろう。たぶん。

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