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異世界で魔法を極めたい  作者: 井上
4.少年期、二年目・春〜夏「ジン」
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64.カミングアウト

「適当に座っててください、わたくしはこちらで準備をしてますので」


 連れてこられたのは研究室の一室らしい。研究室といえば白くて整然としているというイメージだったが、ここはそんなことはない。あたりに魔法書やらノートやら魔道具やらが雑多に積み上げられている。


 俺が座ったのは実験室などによくありそうな背もたれのない丸椅子だ。うーん固い。ジンはいまだ困惑しながら俺の隣に腰を下ろす。


 魔法館は魔術研究所も兼ねているというのは有名な話だが、実際に入るのはなかなかないことだろう。今のうちに観察しておくか。


「ごめんねディートくん、ああなった副所長は私じゃもう止められなくて……」


 館長は申し訳なさそうに言う。でしょうね。


 館長は副所長に呼ばれると奥の部屋にすっこんでいった。


「い、今どういう状況だ?」

「さあ……」

「ディート殿は、何か隠しているのか?」

「まあ、そうだなあ」

「一体何を……」

「今言おうか決めあぐねているところだ」


 俺的には大衆には公表したくない。可能ならば少人数間で共有する秘密であってほしい。そりゃ、公開したほうが楽とは思うが、それ以上に付きまとうであろう面倒に意識が向いてしまう。


「ディート殿」

「なんだ?」

「ディート殿の秘密がいかなるものであろうとも、口外しないことをここに誓おう! だから、何を隠しているのか教えてくれまいか?」


 そこまで言われたらなあ。うーん……。


「絶対だな?」

「もちろん!」


 まあ、共有者を作っておくのも手だな。幸い、今この部屋には俺とジン以外にはいないし、もうバラすと決めたのなら音魔法も使用できる。


 俺は辺りを「遮断ニノイズ」で覆う。「遮断ニノイズ」はその名の通り音を遮る音魔法だ。実体のない「防壁ウォール」のようなものだな。


「見てもらえばわかると思うが、俺は」


 俺は手元に魔力の塊を作る。この魔力の塊は、術式だ。実は術式も魔力でできてるんだよね。魔法として効果を発揮するためには、この術式に魔力を流しこまないといけない。


 さて、魔法には複合属性が存在する。属性とは、術式の根底にある特徴だ。複合属性はその特徴が複数ある……という認識をしている。実際は違うかもしれない。


 この術式には俺の持つすべての属性の特徴を盛り込んだ。ジンもそのことに気が付いたか、目を見開いてこの塊を見つめている。


「蟲以外すべての属性を使える」


 蟲が使えない理由は不明だけど。

 魔法(・・)館といまだに呼ばれているのは、もともと魔法のみ展示を行っていて、後から魔道具も展示するようになったからです。

 まず魔法館があって、ある家系が代々経営をしていたようなのですが、とある代の当主が魔術研究所(当時は魔法研究所)に権利を売り今に至るようです。そろそろ改名したらどうなんだという声もあがっているとかいないとか。

 そこのところどうなんですかね、館長さん。

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