62.再来・リフレクションオーブ
魔導式馬車はバスっぽいのと車っぽいのが現在開発されている。現在、免許は平民など、要は言い方は悪いが身分の低いものには取れないようになっているらしい。理由はいろいろあるが、主な理由は盗難防止。確かに、この世界じゃ魔導式馬車は高く売れるだろうからなあ。
詳細な仕組みはもちろん伏せられている。こんなん軍事国家にでも見つかったら速攻利用されそうだしね。この国、ゼンスターリア連邦国は戦争に対して消極的だが、アレサヴェッタ帝国だったかは結構血気盛んらしいからな。おそろしや。
外見や内装はほとんどバスとかと変わらない。動く機構はかなり違いそうだが……この模型には術は刻まれてないからどうだか。そもそも地球産のほうの構造知らんし。
この魔導式馬車は古代都市「アーリア」との関係が深いらしい。アーリアシティにある遺跡から出土した、一切魔術を使用していないものを参考に、エメラルドシティの方でこちらは魔術を使用して再現したとか。
なお、なぜ古代の遺跡からこんな高度でかつ魔術を使用していない奇妙な技術をもつものが出土したのかは不明らしく、今研究者が頑張って研究しているそう。オーパーツってやつだ。地球の方のオーパーツは結構解明されたのが多いらしいけど、こっちはそうじゃないしな。
魔導式馬車は中の機構はもちろん、やはり人を乗せるものなのでその乗り心地も改善中であるらしい。ぜひ頑張ってほしいところだ、このままだと何人かの尻を壊す気がするぜ。
さて、この次がリフレクションオーブのある吹き抜けにつながる。一階が魔法コーナーで、二階が魔道具コーナー、という構造なので出るのは二階だ。
今回も俺はやる気ないけどな。また停止したら困るし、停止しなくとも嫌だ。吹き抜けになってるからこのエリアにいる人全員にバレるから。今日は学校などが休みだからか人も多いほうだし……。それはそれとして見る分には結構面白いので見ていくけど。他にも展示あるしね。
「そうそう、剣属性のも出るようにしたんだよ」
「おお、それは楽しみだな!」
クッソ聞き覚えのある声がするんですけど。特に片方。
えー、前方から迫りますは、ブロンド髪の少年とマントを羽織った不審者でございます。あれ、館長のマント裾に水色と紫色の刺繍あったような気がするんだが、無いな。何故だ?
にしても、ギリギリまで人の影と声で気づかなかった……。もう二人は逃げられない距離まで迫っている。もはや何にもならないことを祈るしかできない。
「じゃ、早速……うん?」
「あっ!」
はい、見つかりました。うん。これはわかってたことだし別に驚かないけど。
「おー君はいつぞやの」
館長俺のこと覚えてたのかよ。まあ初めてフリーズさせたっぽいし、当然……なのか?
「しばらくぶりだなディート殿! ディート殿は観光で?」
「……ああ。まさかお前と鉢合わせるとは思ってなかったが……」
これは本心だ。アイツが魔法館で検査を受けていること忘れていたし、覚えていたとしてもまさかこんな日程がダダかぶるとは思わなかっただろう。
「ディート殿は確か、一度訪れたことがあったよな?」
「そうだな」
「ならばリフレクションオーブも知っているな! 実は、剣属性が出るように改良してもらったのだ!」
ふーん。このリフレクションオーブの詳しい仕組みを知らない以上、それがすごいのかそれとも大変なのかは想像がつかないが、まあすごいことなのだろう。館長の顔はやはり見えないので何を考えているかはわからない。
「そういえば、ディート殿の適性属性は何なのだ?」
「えー、無と、防と、炎だ」
「なるほど、3属性か」
もちろん、これは建前上のものである。こんな人がいる場所で蟲以外すべてなんて言えるわけないだろ。
……館長がぴくっと動いたのが気になるが、今は無視しよう。館長は息を整えると、ジンに声をかけた。
「……ジンくん、そろそろ……」
「おっと、そうだったな」
ジンはそういうと、魔道具に手を触れる。すると、虫と剣の映像がリフレクションオーブに投影された。やっぱ蟲属性持ちだったか。
うう、結構虫リアルだな……俺虫苦手だから直視できないわ。特に苦手なハエとかあの黒光りじゃないだけマシか……マシかな?
「よしよし、うまく作動したようだ」
館長は満足気に頷く。
そうか、これで一応全属性反応するようになったのか。やーでも、俺とジンのは同じ剣属性でもちょっと違うからこれから剣属性を持って生まれてくる人たちに反応するかはいささか疑問だけどな……。
〇 魔道具
✕ 魔導具
魔導式馬車などは「魔導」なので紛らわしいところ。
魔導具と書いているところがあったらそれはミスなので教えていただけるとありがたいです。




