51.忘れてた。
「ディート殿!」
昼休み。ジンが話しかけてきた。
そうなんだよなー。あと数日で帰るってだけで、まだお別れする訳では無いんだよなー。
「今日はなんだ?」
「えーとだな、もうご存知とは思うが、もうすぐ武闘会が開かれるだろう?」
「……あー、そういやそんなんあったな」
「忘れていたのか!?」
興味の無いことは直ぐ忘れる質でね。こればかりはもうどうしようもない。正直クラスメイトの顔と名前も一致した覚えが今世も前世も無い。今世はアンとベルくらいしか覚えてないぞ。あとオズとかアダムとか……? オズは最近見てないから顔があやふやだ。……あー、名前だけならそこそこ覚えてるな。名前だけなら。
「武闘会には特待生が出場するから是非見てもらいたく……」
「もう席埋まってるだろ」
「そこはご安心を! 招待という制度があってだな、出場者から招待されたものは席を用意して貰えるのだ!」
ほーん。席の心配はする必要がないと。そんなんすぐに埋まりそうな気もするがな。
「親誘ったらいいじゃないか」
「誘ったぞ。だがまだ枠が余っているのだ」
出場者一人あたり招待できる人数に制限かかってんのか。そりゃそうか。親誘って、まだ枠余ってるって事は一人あたり三人とかか?
「武闘会って何日の何時からだっけ?」
「四日後の午後三時からだ!」
「あー……」
四日後……は午前授業だったか。折角だし行こうかな。うーん。まーやる事ないしなー。行ってやるかー。
「行くわ」
「ありがとうディート殿! ではそう伝えておこう! ではまた!」
今日は用それだけだったか。
そっかー武闘会かーすっかり忘れてたわ。そろそろだし、ジンも忙しいんだろうな。たぶん。




