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異世界で魔法を極めたい  作者: 井上
4.少年期、二年目・春〜夏「ジン」
45/86

42.もう一人の転生者。

2/28

修正&加筆

「え? あれ、よくよく考えたら、なぜここに『牛丼』があるのだ?」


 ジンも同様、この状況に疑問を抱いたらしい。うん、その疑問はもっともだ。だってこの世界牛丼ないもん。とくにこのあたりは文化的には西洋よりだからそもそもコメも食わねえし。


 俺はもう気がついたよ。こいつは、俺と同じ転生者だって。逆にそうじゃなかったら何なんだってなるわ。


「!? も、もしや、お主もそうなのか!?」

「あー、うん。たぶん」


 そうって、あれよな、多分転生者とかそんな意味だよな。


「よもや、私以外に『地球』から来たものがいるとは……」

「俺もびっくりだよ」


 ジンはその場に正座して俺を見つめてくる。俺は、ジンが押しかけてからしばらく開けっ放しになっていたドアを締めて施錠しておく。


「ちなみに出身はどこだ? 俺は『日本』だが」

「私も同じだ!」


 よし。これでジンがアメリカ人とかだったらどう接していいかわからなかった。


 さて。感動的な出会いだが、正直こちらから喋ることはない。だって、ジンが勝手にこっちに突撃してきただけだもん。俺も元の世界に対する執着とかそこまでないし。


 俺がどうやってこいつを追い出すか考えている間に、ジンはちらちらと牛丼を見ている。


「食いたいのか?」

「い、いやいや! これは貴殿の夕食だろう! それを食べるのは忍びない」


 真面目だねー。でもやっぱ食べたいようだ。口調からして日本人っぽいし。


「お前って剣属性の使い手だったよな?」

「うむ、そうだが……」

「剣属性の魔法教えてくれんなら食べてもいいよ。なんなら、レシピも教えてやってもいい」

「な、なに!? それは本当か!」


 俺はこいつの魔法が知りたい。こいつは俺の牛丼が食べたい。


 これぞまさにウィンウィンの取引だろう。互いにほしいものを得られるのだからな。そしてどちらも今後ずっと使えるのだ。こいつが料理ド下手くそな場合を除く。


 俺がうんうんと頷くと、ジンの顔があからさまに明るくなる。


「ならば、喜んで教えよう! むしろその程度でいいのか?」

「ああ。ほら、さっさと食べないと冷めちゃうぞ」


 確かに! といった表情をしたあと、ジンは牛丼を食べ始める。あいにく、箸がないんでスプーンで食べてもらったが、それでも久しぶりに食べた日本食に満足したようだ。レシピを紙に書き出してわたし、ついでにエメラルドシティでいくつか買った調味料も一部あげる。


 実は買ったのが一本だけじゃなかったのだよ。どこで買えるのかも教えた。一瞬、金儲けかに使えるかもという考えがよぎったがそれ以上に面倒くさかったのでやめた。


 で、俺もジンにいくつか剣属性の魔法をみせてもらい、それらを獲得することができた。やったぜ! ただ、今回も前盗んだ時と同じく若干手こずった。見たまま構築しようとしたら出来なくて、前盗んだのを参考にしたら発動出来たが……なんでオリジナル通りにしたら出来ねーんだよ。あ、もちろん、ジンには剣属性に適性を持っていることは言っていない。理由は趣味だと説明しておいた。


「そういえば、貴殿の名前は何だったかな?」

「ディートだ」

「ディート殿か! 改めてよろしく頼むぞ! 私の名前は……」

「ジンだろ?」

「あ、私は自己紹介していたな……」

「そういうことだ」


 その後は特に話すことも無く解散となった。


 いやー、思わぬ収穫物だったな。俺以外に転生者がいたってのも驚きだ。


 にしても、俺はほぼ全属性を使えるという転生者特典らしきものがあるが、ジンにはそういうのはあるのだろうか。剣属性だけ、というのはいささか弱い気がする。切れ味は素晴らしいが、それと俺のとを比べると、どうしても俺のほうが優れているように感じるのだ。そもそも剣属性俺も持ってるし。


 なんだろう。んー、ま、俺もほぼ全属性使えることは言ってないし、いいか。

〈ちょっとしたメタ設定〉

この世界の言語にも口調というのがあり、この小説におけるキャラクターのセリフは異世界語から日本語に翻訳する時、ほぼ同じようなニュアンス・意味になっている。

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