28.きゃーっ! ひったくりよーっ!
ガー
やっぱ自動ドアあんの慣れないなあ……。学校のあたりでもそうだが、なんつーか、ドラゴンだとかエルフみたいなファンタジー種族とかもいないし、魔法もそんな高尚なもんでもないし、こんなふうに地球にあるような道具がありふれてるとここが本当に異世界なのか怪しくなってくるぜ。
いや、むしろ魔法がこんなに当たり前のようにつかわれていることこそ異世界っぽいのでは……? それだけ魔法ってのが生活に密接に関係してるってことだから……。それに生き物も魔法生物っぽいのはいるっちゃいるし……。
頭痛が痛くなってきた。考えるのはやめよう。ここは異世界。ヨシ!
あっ。
「ドロボー!」
盗られた!!! 魔法書盗られた!!! クソーッお前には適正ねーだろどうせ! んなもん盗んでもどうにもなんでーだろーが! 俺も傍からみたらそうだけどね!
反射で俺が叫ぶと盗人は驚いた。こんなガキはとっさに叫べないとでも思ったのだろうか。おおよそはそうだろうが、俺の中身は前世と今世合わせりゃいい大人だ。残念だったな!
あ、まって、普通に足早い。追いつけねえ中身は大人だが体は普通に子どもなんでね。足の速さはそこそこなんですわ……。
と、いうわけで、てってれ〜。新作魔法の「糸」。
俺は指先から泥棒に向かって糸を射出する。指先から出すのは単にかっこいいからだ。泥棒は糸に気が付かずあっけなく捕まった。
「糸」はその名のとおり糸を出す魔法だ。属性は防なんで、人前でも使える。防属性は今まで防御を司る属性だと思ってたんだが、どうも違うっぽい。俺風に言えば、不可視の物体を司る属性かな。「糸」は細かい操作ができるようになったことで新たに使えるようになった。構想自体は数年前からあったが技量が及ばずなくなく諦めたんだよなあ。
そういや、ここで魔法使っていいのか? んー、もういいや、使っちゃったし。
泥棒は混乱している。いい気味だぜ。糸でこっちに近づける。混乱してるだろうから魔法も使えないだろう。保険として自分にバフはかけとくけどな。
結局、危害をくわえられることもなく魔法書は取り返せたし、泥棒も警備員に連行されてった。聞き取りや魔法使ったことに対する説教に結構時間とられたが、おいしいお菓子をもらえたのでヨシとする。お菓子おいしい。
まだ時間あるし、他の店も回ってみるか。
……ん? こ、これは……!




