25.館長出てきた。
俺は直ぐに魔道具から手を離した。と同時にリフレクションオーブの方をみるが、特に変化はない。いままで観察した感じ、手を離してもしばらく映像は投写されるはずだ。
今なんも写ってないってことは、さっき間違って触れちまった時も写ってなかったって認識で間違ってないだろう。たぶん。
「……映らなかったな?」
あ、やっぱそうらしい。イヴ先生が言った。イヴ先生は心底疑問に思っていそうだ。
「あれ、なんも映らなくなった」
他の生徒が魔道具に触れるが、リフレクションオーブには何も映らない。
え、壊した? いや、もたれかかった時もそんな大した衝撃は加えてなかったはず。うう、周りの目線が痛い。元々俺のスクールカーストが最下位のことも関係してるのかさらに視線が鋭い気がする。
帰りてぇ……。
「本当に動かないのか? 先生がやってみるか」
数分地獄のような時間に耐えていると、イヴ先生は魔道具に触れた。今度は風が吹き荒れる映像が映し出された。
「なんだ、ちゃんと動くじゃないか」
俺は安心して、後ろに下がる。今度は段差に気を付けてな。
「いやいやすまない! ちょっと不具合が起きたようだな!」
その瞬間、辺りに中性的な、そして特徴的な声が響く。え、誰?
フード付きの黒と白を基調としたローブを羽織っている。右の裾は水色、左の裾には紫色の美しい刺繍が施されている。フードの内部はなぜか真っ暗で何も見えない。あれは闇属性かね?
「おや、ディング館長」
館長……コイツ館長か。そんな雰囲気はしないけどな。むしろ不審者って言った方が正しいような風貌をしている。思うだけなら無罪だぜ。
「不具合……とは何ですか?」
「ああ、このリフレクションオーブはあの魔道具から適性を読み取って、光属性を用いて映像を見せているのだが、読み取ってから映像に変換するまでの工程で魔道具から許容値以上のデータが送られるとフリーズしてしまうようだな! いやー、まさかまだ改善点があったとは!」
館長は弾んだ声色でそう説明する、一息もつかずに。アレだな……オタクって感じだな。
「見たところ学校行事で来たのかな? ああ、グリア学園か! 君が引率の先生だね? お尋ねしたいのだが、フリーズする直前に魔道具に触れたのはどちらさまかな?」
「あ、えーと、ディート……だよな?」
イヴ先生はこっちを見つめてくる。間違っちゃいないので俺は頷いた。
「へえ……君がね。うん、誰が触れたか確認したかっただけだから! 失礼したね、引き続き魔法館を楽しんでくれ!」
館長はそう言うと、手を振りながらどっかにひっこんでった。
まじで何だったんだ?
〈ちょっとした設定〉
ディートが通っている学校の名前はグリア学園。地名ではない。
グリア学園があるのは学園都市イソー。グリア学園を中心に栄えている。




