21.魔法都市「エメラルド」
今日から修学旅行だ。
魔導式馬車……俺ら風に言うとバスで行くらしい。距離でいうとだいたい東京から静岡くらい。2か3時間かかるそうだ。俺はどうも今世は酔いやすい体質なのか、魔法書を読んでたら酔ったぜ。
窓際(嬉しいことに俺が好きな角席でもある)の席で助かった。いやまあ、ここに座ってんのは単にクラスメイトのやつらに端に追いやられたからなんだけどな。
しばらくすると、俺は眠っていたようで、先生の声で起きたときにはもう魔法都市エメラルドについていた。窓から都市の様子を見てみる。緑だ。
緑一色ってわけじゃないが、すくなくとも屋根なんかは全部緑色だ。色眼鏡なんかを掛けなくてもこんなに色彩が統一されているのは見事としか言いようがない。
「今から宿に行くぞ〜、ああ、オズとドロシーは実家に行くんだったかな?」
なに。ここ出身のクラスメイトがいたとは。
なんつーか、名前とか都市名からオズの魔法使いが思い浮かぶな。ヘンゼルとか、トムとか、アン……は赤毛のアンかな? とか、ジャックとか。童話由来の名前が多いな。偶然にしちゃちょっと不可思議すぎるが、まあこんなこと考えても仕方ないな。
「自由行動は明後日からだ。今日はこの修学旅行の意義やら予定やらを確認、明日は施設を見て回る。ああ、部屋割は宿についてから発表するぞ」
……部屋割。恐ろしい響きだ。
誰とぶち当たっても怪訝にされる気しかしない。あー、アンと同部屋になるのだけは勘弁してくれ……。
もうすでに部屋割は決まっているだろうが、俺は祈った。いるであろう神に。
さすがに、俺も喧嘩したいわけじゃないからな。




