S.1.問題児
S.はSideの略です。
オリバー先生視点。
オウンダー家。
例の問題児、ディート・オウンダーが属する家系。それが魔法に優れているという印象はなかった。
実際、あそこから有力な魔法士が出たことはあるが、それは麒麟児と呼ばれるような者であって、オウンダー家においては決して一般的ではなかったはずだ。
だがなんだ。あのディートという子供は、魔法に関しては非常な才気を持っている。その代償かは知らんが、生活態度はつい眉をしかめてしまうほど悪いが……。
ともかく。その魔法の才能は本物だ。実は、前の魔法実践演習の時、俺はディートの様子を見に行っていた。
その時俺が見た光景は今でも信じられない!
防属性、無属性、それに加え、「防壁」に阻まれ、何属性の魔法かはよく分からなかったが、別属性の魔法も使っていた。
あの属性は一体なんだ? 事前に、適正を持っている属性は無と防、炎と申請されているが、どうもあれは炎とは思えない。
同時にそれぞれ別属性の魔法を使うのは非常に高等な技術だ。それを、ディートはたった12歳でやってのけている。
特進クラスの奴らと同等、あるいは上回る力を秘めているだろう。
……まあ、特進クラスは研究とか、魔法以外の学業も忙しくなるし、ディートは絶対に入りたがらないだろうな。ディートの考えていることはよく分からないが、これは確かに言える。
それに、本人はどうも力を隠したがっているらしいし、無闇矢鱈に言いふらすのは辞めておこう。
ああ、でも、校長に報告はしておかないとな。




