お義姉さん
「お義姉さんお元気ですか。
あの。お義父さんに誕生日プレゼントしました?
先週の事なんですが、お義父さんから電話でとても叱られまして。
誕生日6月6日ですよね。間違えてないですよね。
送ったシルクのパジャマが気に入らなかったみたいで。
ずっと前に長袖のパジャマでお義母さんにご迷惑かけたので今度は、シルクの半袖パジャマにしたんです。
そうです。
長袖は、長過ぎて調整が大変だったそうで。
ええ。
電話の向こうでお義母さんも怒っていらしたみたいで。それから、どうして良いか分からないので、お電話出来ないんです。」
いつも親切にアドバイスくれるお義姉さんに電話をしてみた。何となく電話の向こうに笑い声が聞こえる気もした。
「あら。知らなかったの?
弟が、旅行に連れて行くと約束してたの。
還暦だから、お祝いすると言ってたから、楽しみにしていたそうよ。」
「いつ行くんですか?
マコトさんと二人で行くんですか?
知らなかった。
還暦かぁ。」
私だけ知らなかったと呆然とした。
「やだ。本当に知らなかったの?こんな大事な事、弟から聞いていないの?」
「いつ行くのかしら?」
「父は、楽しみにしていたんだって。還暦だもの。
それをパジャマなんかじゃ気がすまないわね。」
「知らなかった。」
それしか言えなかった。
「皆さんで行くんですか?」
「本当に知らないの? 気の毒ね。」
「先日の夜、お電話頂いた時もマコトさん何も言わなかったし。
それ以前に誕生日のプレゼントの相談した時も『オマエに任せる』って。」
「本当に気の毒。」
「『すみれは、気が利かない。』ってお義母さんが言ってらした。」
何だか涙がこぼれてきた。
「泣いたりしないで。」
「一生懸命時間かけてパジャマ選んだんです。こんな叱られると思わなかった。
好かれようと努力しても裏目に出る事ばかりなんです。
私って嫁として失格ですね。」
お義姉さんの小さなため息が聞こえた。
「実は、母が、この愚痴を言いに来てね。
母には、私から説明しておくね。
弟には、家族を幸せにする何かが足ないわね。
すみれさんが、気を遣いすぎているのかしら?」
お義姉さんの言ってくれたことを理解できないまま、
「ありがとうございます。」と言うのが精いっぱいで受話器を置いた。
誰にも読まれないと思い込んでいたので、途切れ途切れの更新ですみません。
続きは、必ず書きますのでよろしくお願いします。