女子会 8
「うち、アネキがマコト君のお姉さんと同級生で仲良かったのよ。結構家を行き来していたと思うよ。
ある時、アネキが母に言うの。
『ナオミちゃんには、おやつ出さなくていいよ。
あそこのおばちゃん何にもおやつくれないもの。』
あまり、気が利く人じゃなかったでしょ。」とあんず。
「うちは、亡くなった主人が外壁塗装で行った家がたまたまマコト君の実家でね。
お茶の時間に少し雑談とかするからね。何の話をしたか知らないけど
『あれじゃ、嫁のすみれさん大変だよな。』って言ってたのよ。
初対面の職人が、感じる事もあるのね。」
同級生達は、すみれの知らないマコトの情報を色々話始めた。すみれ自身は、どんな家族を作ろうとしていたのか、思い出せない。日々の家事、雑用に追われ考える事を忘れていたのだろう。
ただただ夫の機嫌ばかり気にして暮らしていたのだろうか?
「時々思い出すんだけどね。
長男が2歳半頃、保健婦さんから栄養相談とか、健康状態などアドバイスもらうじゃない。
その翌日にお義母さんの家に行ったのね。
『昨日、保健婦さんから、まだ甘いものは、与えないようにと指導があったんですよ。』と言った途端に息子に板チョコ渡したの。
これって何?
食べた事無いから開け方も知らないのよ。それを
『ばあばちゃん開けてあげるね。ほら、食べてごらん。美味しいよね。沢山食べな。』って。
これって何かな?
お義母さん、チョコレートは、甘いものじゃないって思ってた?」
これ、結構悩んだのよ。」
「すみれおめでたい。
そんなの嫌がらせでなくてなんなの。
嫁への当て付けよ。
孫に甘いもの食べさせたら、『おばあちゃん大好き』ってなると計算したんでしょ。」
「すみれは、いじめられても反撃しないから、どんどんエスカレートするのよ。」
「お義母さんってそんなに嫁をいじめるかな?」
「そうよ。可愛い息子を取られた気分じゃない。」
「あんずは、息子を取られた感じする?」
「私は、大人だもの。息子とお嫁ちゃんが、幸せにしていたら、肩の荷が下りた感じ。
それで孫を抱けたら、ラッキーよ。」
「マコト君から、すみれなんて言われた?
子供って幼少期にしっかり母親の愛情を受け取るとちゃんと大人になれるのよ。母親が抱っこして、美味しいお料理食べさせてね。沢山のスキンシップが必要なのね。
その体感があるとマザコンになる率が下がるのね。
お母さんは、大事な存在だけと、自分の妻を批難しない男になるのよね。
『オレも母親に育てられたと感謝』するからね。
だから、普通夫から妻に『出てけ』って言わないよ。出て行かれたら、自分が困るからね。」
「『オマエさえいなければ、オレは、幸せだ』って。
『子供達どうするの?』って聞いたら
『オフクロと育てるから、オマエいらない。』って。」
「真に受けた?」
「何度も言われたからね。ただただショック。」
「何でお母さんと育てたいの?やっぱりマザコンかな?」
「何で言い返さないの。」少し怒り顔でかえでが言い始めた。
「だってすみれが痛い思いして出産したんでしょ。
食べたい物にも気をつけて出産して、夜泣きは、一人で抱いて。
幼稚園の送り迎えとか。生活費も足らなくて。
何で。」
「私には、かえでと違って収入が無いの。
マコトさんに逆らって生活費貰えなくなったら、生きて行かれない。私一人なら死んじゃえばいいけれど、息子達の将来も無くなると思ったわ。土下座させられても生活費が、必要だったの。」
かえでのため息が皆に聞こえた。さらに
「一般的に人間関係の上下って替わらないのよね。
上司と部下。先生と生徒。
そんな上下は、交代しないよね。人事異動何かで部下が先に出世すると、上司の逆恨みあったりするものね。
でもすみれ、夫婦は、同等よね。収入があろうがなかろうが。ふたりの大事な子供を育て上げる目標があるでしょ。」
突然、さくらが
「かえで、ストップ。
すみれがフラッシュバックするわ。もう、眼がうるうるじゃん。」
「ありがとう。大丈夫よ。あの頃、辛かった。」
離婚成立寸前にすみれに戻って来るようにマコトから電話があった。
「オマエいないと大変なんだよ。今頃言うのもなんだけど。
オフクロが、一生懸命やってくれるんだけど。
洗濯も多いだろ。買い物も料理も今までと違って量が多くて大変だよ。オレのオフクロって無理してもきっちりやるタイプなの知ってるだろ。
掃除だってオマエみたいに手を抜くこと知らないからさ。
倒れやしないかと心配だからさ。帰ってきてやってくれないか?」だった。
さすがにすみれも呆れて
「私よりもっと丁寧に家事をこなすプロを雇ったら良いんじゃない?
あなたの言う事ちゃんときいてくれるわ。」と反論した。
この人、母親思い丸出しなんだわと思って言うと
「オレの収入で雇えないの知ってるだろ。オマエならタダだしな。」
すみれは、思い出すと更に涙が溢れた。するとだれかが
「カラオケ行こ!」
「すみれって歌上手いよね。」
「何歌う?」
「ありのままで♪」
「アナと雪の女王、流行ったよね。孫っちとよく歌ったわ。」
「♪ありのままの 姿見せるのよ。
ありのままの 自分になるのよ。
何も怖くない 風よふけ」
すみれは、「何も怖くない」をリピートしてみた。
「帰りを待っている人なんていないの。心ゆくまで歌おうね。」と言われ苦笑いをした。
以前、夜の集まりがあって参加すると帰宅してから、家族の夕飯の片付けが待っていたっけ。
よく散らかってた。今夜は、声が枯れるまで歌えるわ。
女子会は、それぞれ歌いながらカラオケ店へ場所を移動した。
夜空に綺麗な星が輝いていた。
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