女子会 5 かえで
「かえでって2回も流産したの。大変だったね。」
「2回めは、妊娠に気づかない初期で流産。
大変と言うより驚きかな。」
かえでの眼が、潤んで見える。
「でもさ、家で泣いている性分じゃないしね。病院で病と闘っている患者さんがいるからと、すぐ復帰したの。」
「ご主人は?」
「『君の仕事は、必要とされている大切な仕事だものね。』って言ってくれてた。
それが本心だと思い込んでいたのよ。」
「それが違ったの?」
「数年したら、離婚したいと言い出したの。理由を聞いたら
『子供が欲しいから』って。
40過ぎて妊娠なんて簡単じゃないものね。でも色々調べ、試したわ。」
「女性の身体を理解出来ていないダンナだったの?」
「頑張っている私に言えなかったって言われたわ。」
「その時点で言えないなら、一生言わないで欲しいよね。40過ぎの女に妊娠なんて簡単じゃないものね。」
「『だってあの時、あー言ったでしょ。』『それは、君を思ってのことで。』每日、每日繰り返して言い合ったわ。
時折自分の実家の介護で帰っても、自宅に戻るのが嫌で理由をつけては、実家に泊まったの。
そして、親の介護も終わり、片付けもだんだん進み、それでも戻る気分になれない日があり、病院の夜勤もあってぐずぐず数年。
やっぱり実家の方が落ち着くなって思うようになったわ。」
「そうね。実家って落ち着くのよ。親が実在しなくてもお父さんの声聞こえるものね。」
「柱見ても思い出す事沢山あるのよね。」
すみれもさくらもそれぞれが、それぞれの実家を映像でよみがえらせうっとり乙女顔になってきた。
さらにかえでの実家に子供の頃遊びに行ってお料理上手なお母さんが焼いてくれたホットケーキを懐かしく思っていた。
「かえでの家ってブランコあったよね。」
「大きなお家だった。」
「とうとう、決心して彼と話合いをして離婚届けにサインしたの。
それが50過ぎ。」
思い出していた目の前ブランコが消えて今のかえでの顔を見た。
「少しずつ身の回りの物から運び出したの。
それがある日、隣の奥さんが、そっと教えてくれたの。」
「大きなお荷物ね。お引越しなの?」
「まぁ・・・。」
言葉濁してスルーするつもりが。
「介護でご実家に帰られていたじゃない。」
「まぁ。ええ。」
「奥さんお留守多かったじゃない。」
「ええ。」
「奥さんって一人っ子ですよね。」
「ええ。」
「そうよねえ。」
「何か?」
「あなたの留守にね、
ほらずっと見ていた訳じゃないなのよ。
あなたの車の無い時にね、訪ねて来る女性がいるの。
あの。
あの、私お宅を覗いてばかりいた訳じゃないのよ。」
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