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感覚の古い夫婦の生活

 「オマエさえいなければオレは幸せだ。」


 何で居心地のいい家庭が作れないんだ 。

いつもどこも彼処も散らかっていて落ち着かない。

朝起きて オレが テーブルに着いたら 飯が並ぶようにしておいてくれと何度言っても いつも並んでいない。

いつも同じ時間なのにできないんだ。

おかずも毎朝、同じようなものばかり。


 朝飯を食べながらテレビでニュースチェックをしていると妻に聞かれる、

 「 明日子供たちの授業参観ですが行きますか ?

小学校と中学校ですがどちらかを行っていただけますか?」

 「 何でオレが行くんだ。

オレは、そういうのには行かない主義なんだ。

そういうポリシー なんだオマエの子供だろ。

オレには、関係ない。何を今頃言うんだ。」

 オレのせっかくの休みを潰されてたまるか、 

明日は朝からパチンコに行こうと思っているのに。

今日は、帰りに パチンコ台の下見をしておこう。先週は、あまり成績良くなかったからな。

 毎朝同じようなおかずで朝めしを食べて出勤。

もう少し気の利いたおかずが出てきても良さそうだけれどな。

 結婚して十数年、妻なんてこんなものか。 

もう少しやりくりが上手いと思っていたけど、毎月家計費が足らないらしい。

これでは、いつまでたっても家は建てられない。

親父とお袋と一緒に大きな家に暮らしたいと思っているのだが、 いつになるのやら。 やっぱり 明日のパチンコでうんと 稼いでこよう。


 朝、開店前から列んで、昨夜下見したパチンコ台をゲットした。前半どんどん玉が出ていてやっぱり俺の目に間違え無いと思っていた。

 しかし、途中で缶コーヒーを買いに席を立ったのをきっかけに玉が減る一方。

あっという間にすっからかんで帰宅。家には、誰もいない。

なんでオレが帰って来ても飯が無いんだ。


2時間もしてやっと帰って来た。

 「何やってたんだよ。オレの飯は?腹減ったよ。」

 「授業参観。 小学校行ってから、中学へ。中学で教室間違えて入っちゃって、慌てて。」

 「腹減ったんだけど」

 「すみません。お昼に帰って来なかったから、勝って来るかなって。夕飯出前かなって。」

 「負けることもあるさ。」

 「残念ね。じゃぁ、買い物行って来ます。夕飯何がいいかな。負けたからもやし炒めね。」

 これから買い物じゃ待っていられない。カップ麺でも作るか。

 「あっ、お父さん、ラーメン」一人嗅ぎつけると三人集まる。

「だめだよ。あげないよ。」

あーなんでついてないんだろう。

夕飯にもやし炒めを食べ、子供達は、2階に去って少し静かになった。テレビは、クイズ番組が付いていた。

 『草津温泉は、何県でしょう?』

 「群馬」

 『白骨温泉は、何県でしょう?』

 「長野」台所から次々妻が答える。

 「テレビ見ていないでさっさと片付けろよ」

 『由布院温泉は、何県でしょう?』

 「大分」

 『正解は、CMの後で』そこでコマーシャルになった。


 「馬鹿じゃないの。調子に乗るな。そんな県あるかよ。だからオマエが一番馬鹿って言ってるだろ。恥ずかしいぞ。子供達居なくて良かったな。よくそれで短大卒と言えるよな。ホント、オマエいないと幸せだよな。」


 テレビコマーシャルが終わり、

 『由布院は、大分県由布市にある温泉。由布岳の麓に広がる温泉地ですね。温泉湧出量、源泉数ともに全国2位の豊富な湯量を誇っています。』と聞こえた途端にチャンネルを換えた。

まずい。テレビを消して寝る事にした。オレは、飲み過ぎたかな。アイツの方が地理の知識あったかな。


 「おはよう」平静を装い妻に声をかけたが、返事がない。やっぱり昨夜の事、まずかったよな。でも気を取り直しもう一度、

 「おはよう」

 「おはようって言ってるじゃん」

 「あなたのお母さんがね、

 『うちは、おはようなんて言わないの。そんな暇じゃないの』って言ってたわ。」

 お袋もなんでそんな事言ったんだ、うちは、家族で言わなかったか?と言うより、昨夜の事まだ怒っているな。

 「うちは、言った方が、いいだろ。」

 「いえ、お義母様に逆らうと後が大変ですから、やめておきます。」

 その後起きてきた息子には、にっこり「おはよう」と言いやがった。

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