第六戦闘配備 桃色の妄想と幻想と現実
〜ピンクの場合 其の参〜
アタシ、“元”多分戦隊ジャスティスファイブのアタマピンク!アタマ張ってるピンクじゃないから、間違えないでねッ!
って、ただの現実逃避だっつーの!
「あぁ、ホントにここ、どこなワケぇ?誰もいないんですけど……こんな可憐でスーパー可愛い美少女な女の子が一人でこーんなお花畑にいるのに、なんで誰もいないワケ?ジャスティスファイブの時は直ぐにSNSに挙げられて、ファンが大勢押し寄せてたのに……なんかムカツクしッ」
もうかれこれ何日歩いたか分かんない。お腹はグーグー、喉はカラカラ、お股はムズムズ……あ、トイレに行きたいワケじゃないから、勘違いするなしッ!
お花畑で、オハナツミなんてクッソ寒いギャグなんて言うなしッ!
だから現実逃避だって!まぁ、そんなこんなで途方に暮れながら今日も歩きっぱなし。いい加減疲れたから、超スーパー高級車に乗ったイケメンとか来ないかなぁ?今なら格安激安大特価で、ご飯くれたらご奉仕してあげるのに……。
その後は、アタシの気分とバメンの雰囲気次第で本番……むふふふふ。まぁ、鎧の上から挿れられるかは知らんけど……どうにでもなるっしょ!
はぁ……一人でキャッキャウフフ考えてたら、なんか虚しいんですけど?
ざッざッ
「足音……?これはッ遂に……遂に、アタシを迎えに背後からイケメンが?これは絶対に超スーパー高級車のイケメンよね?アタシの可愛さにドキマギして話し掛けられないイケメンよね?絶対そうに決まってるし!さぁ、早く声を掛けなさい!そしたら先ず、アタシをご飯に連れてって。って……えッ!?」
アタシはアタシに声を掛けられないだろうから、仕方無く胸に期待とか欲望とか待望とか希望とか志望とかを抱いて、どうしょうもない程にトキメキさせながら胸を膨らませ……って、胸を脂肪の塊とか言う奴はブッコロだけど、そうじゃなくって……まぁ要するに面倒くさいから振り返ってあげたんだけど……って意味だし。
「はぁ?ナニソレ?カマキリのコスプレ?いやいやいや、普通イケメンじゃないの?ここはイケメン登場の大事なシーンで、アタシとそのまま恋に堕ちてキャッキャウフフで、あーんなコトや、こーんなコトで盛り上がる大事なバメンっしょ?」
「ギリッギリリッ」
「ナニソレ?マジウケる。必死にキャラ作ってるワケ?ってか、カマキリのコスプレってどうなのよ?それ人気あるキャラなワケ?アクトウダンでもそんなキッショい怪人いなかったし!人気あるとは思えないんですけど?」
ガッカリし過ぎて、今まで膨らませた胸を返せって言いたくなったし!そんで返してもらったら更にナイスバディになるから、脱いだら凄い美少女で驚愕しろしッ!
「ギリッシャーーーッ」
しゃッ
しゃしゃしゃッ
「ちょっと何すんのよッ!超ウケるんですけど?アタシへのナンパ成功しなかったからって、暴力に訴えるワケ?ちょっとホントに意味分かんないし」
しゃしゃッ
しゅッしゅしゃッ
ちょっと、どういうコト?ナンパ失敗で逆上して襲って来たコスプレカマキリってどうやって対処すればいいか分かんないんだけど?
ただのコスプレ野郎を殺しちゃったら、清純派ピンク系ヒーローの名前が傷付くじゃん?最悪、アタシ捕まるじゃん?逮捕だよ?タイホだよ?大砲じゃないよ?イケメンの大砲はすっごくイイカンジでスグに何回もイッちゃうけど!
でもそうじゃなくて……逆上して襲って来たからって、こっちも暴力で一般人のコスプレ野郎を倒しちゃったら、過剰防衛とか言う奴になるってブラックから前に聞いたから、困ってるの!
だから、アタシに出来る事は1つだけ。それは「ただ避ける」ってコト。アタシにはそれしか考え付かなかった。
「テーバメ、ここから大地の上で面白い見せ物が見えるぞ」
「チッカ様……あれは一体何でございますか?マントデアと、一体何が闘っているのでしょう?」
「さぁ?それは余にも分からんが、まぁ、見せ物としては上々だな。滑稽な舞踊をしばし見物としよう」
それはピンクのいるお花畑の遥か上空。そこに大地を見下ろす二つの影があった。
テーバメと呼ばれた短く濃い青髪の少女と、チッカと呼ばれた長い金髪を頭のてっぺんで一つにまとめ上げている女性……この二人の鳥人が地面を見下ろし談笑している姿だ。
「チッカ様、あの変なのは、なかなかいい身の動きをしますね」
「うむ。マントデアの攻撃を最小限の動きで躱しているな。だが、所詮は翼を持たぬ者。空を自由に舞う鳥人族が救いの手を差し伸べてやる必要も無い」
鳥人族は翼を持つ有翼種である。だがその翼は腕や背に生えておらず頭にある。彼女達は側頭部に生えた二枚の翼を自由に羽ばたかせ、大空を舞う事が出来る種族なのだ。
制空権を持っている事から戦闘の際には非常にアドバンテージがある。それ故に特権階級と自認しているフシすら見受けられ、翼を持たぬ種族を見下している種族だと言える。
そんな事とは露知らず、ピンクは執拗に襲って来るマントデアの鎌を避け続けていた。
「もう、ホントにひつこいしッ!そんなにひつこいと、女に嫌われるぞッ!一生非モテで、ドーテー魔法使いになって孤独死しろしッ!」
「キシャッ」
しゃしゃしゃしゃしゃッ
「もうッ!こうなったら、アタシは空を飛んでやるッ。空なら追っ掛けて来れないっしょ!セット!アタシの可愛いリボン」
しゃららららーん
ぼわんッ
「よし、これで空を飛ぶしッ」
アタシは凄い事を閃いた。いくらカマキリコスプレでも空を飛べるハズはないだろうから、アタシの武器を使って空を飛べば追い掛けて来れないってコト。アタシって頭いいっしょ?
でも、呼び出した武器でどうやって空を飛ぶのかって?それは、地面に向けてスパイラルさせればイケるって!
こうして、ピンクはリボンのスパイラルによって浮力を得て空へと舞い上がっていった。だが一方でその様子を見ていた鳥人族は驚きを隠せないでいた。
「なッ!?バカな?翼を持たず空へと舞い上がる……だと?」
「チッカ様、如何が致しますか?」
「テーバメ、あの者を見極めて来い。あの者が悪しき者なら殺せ。そうでないならこの城に連れて来るのだ」
チッカの思考……それは制空権を他種族に与えない事。制空権を独占しているからこそ、鳥人族にアドバンテージがある。だがそれを失えば、他の種族に対する強みは失われる事になる。
拠って、翼を使わずに空へと舞い上がってみせたピンクを脅威と見なしたのである。




