第十三戦闘行動 赤と桃と青
〜レッドの場合 其のロ〜
俺は目覚めた。そこは知っている天井、見慣れた壁、そして隣で寝ているのはエレファだ。
「レッド様、おはようございます」
「あぁ、おはよう、エレファ」
「じゃあ、早速……」
ちゅぱッ
れろッ
朝から積極的なエレファは初めてだったから、俺は少しだけ気が動転していた。そんな俺を気にする事無くエレファは、アーンな事やコーンな事をしていたが、俺のムスコはやっぱりサッパリだった。
別にコーンってのがトウモロコシってワケじゃないからなッ!
「なぁ、エレファ……あの後どうなったんだ?なんで俺はここで寝ていたんだ?ブラックやピンク、ブルーなんかと確かにホワイトの城に向かったよな?」
「やっぱり、レッド様は記憶が無いのですね……」
「あぁ……そうだな。確かに記憶が無い。何があったのか、何が起こったのか、俺は全然覚えて無い」
「分かりました。それではレッド様に妾から言える事は一つだけです」
「————————」
「えっ?!」
こうして俺は捨てられた。
〜ピンクの場合 其のロ〜
「ねぇ、ブラックぅ。シよ?それとも……シて?ううん、シて下さいッ!……これじゃダメかなぁ……。どうやったらブラックを堕とせるか分かんないッ!」
「おねえさま?ここは素直に感情をぶつければいいと、スズは思います」
「感情?「シよ?」ってダメなの?それじゃあ、「ヤろ?」これならいいかな?」
「おねえさまが、ブラック様と生殖行為を為さりたいのでしたら、ちゃんとその事を伝えれば伝わると思います。その……「シよ?」とか「ヤろ?」だと、何を「する」のか「やる」のか分かり難くて、ブラック様が困惑されているんだと思います」
もう、セズーメって頭良過ぎ!アタシは目からウロコが生える感じだった。
ってか、目からウロコが生えたら超痛そうだし、涙ボロボロになりそうでウケる。でもそれはそれで男なんて女の涙を使えばイチコロって聞いたコトあるから、やっぱりセズーメって頭良過ぎ!
「それにしても、「カの国」が失くなったって聞いた時、アタシは信じられなかったなぁ。セズーメさんは悲しくない?」
「スズは「悲しいか?」と聞かれれば悲しいです。チッカ様も、テーバメ様もいなくなってしまわれて……うっ……うっ……うわあぁぁぁぁん」
ちょちょちょ、アタシがセズーメを泣かせたみたいになってるわよね?周りから見たら絶対に、アタシが小さい女の子を泣かせたって思われる!こんなバメンをブラックに見られたら絶対にアタシってば悪者じゃん!
「チッカさんも、テーバメさんも、まだ死んだって決まったワケじゃないから、そのうちセズーメさんの前に現れるわッ。だから、その時がいつ来てもいいように笑ってた方が絶対にいいって!セズーメさんは笑ってた方が可愛いんだから、ほらほらスマイルスマイル」
「おねえさま……ありがとうございます。でも、今日だけはこのまま、おねえさまの胸を貸して下さい。ちゃんと……ちゃんと、お二人がいつ帰って来ても平気なように……笑えるようになりますからッ」
「もう、仕方無いなぁ……。そんなコト言われたら、アタシのナイスバディ貸してあげるしかなくなるじゃん」
アタシは「ハの国」にある物見塔の上でセズーメのコトを優しく抱き締めてあげてた。そう言えば、こんなコトをした記憶もされた記憶も全然無かったなぁ……って思いながら。
〜ブルーの場合 其のロ〜
「あ……れ?ここってどこだろ?見た事が無い場所にいる……」
「目覚めたか、ブルー」
「えっと……誰?」
「なるほど……確かにブラック殿の言ってた通りだ」
「ブラ……ック?えっ?ブラックってこの世界にいるの?」
僕は目の前の大きい女の人が何を言ってるのか言葉の意味は分かるけど、混乱してた。いやだって、そもそもここ何処?って感じだし、キミは誰?って感じじゃない?
僕は「スの国」で囚われていたハズなのに、ここはどう見たって牢屋じゃないんだから。それに、「ブラック」って“元”ジャスティスファイブのオナカブラックでしょ?僕だけじゃなくて、ブラックまでこの世界に来ていたなんて言われたらビックリもするでしょ!
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「クジ……それは本当のコト……ですか?」
「はい。でも今、考えれば、やっぱり……ですよね?」
「わたくしはクジがバカだと思っていました。ですが、想像以上のバカだったみたいですね……。——なんの為に、わたくしがクジに策を授けたと思っているんです?全てはこうならないようにする為……と言うのが分かりませんでしたか?」
「いやぁ、この身はギョリ様の事が心配なあまり……」
「まぁ、こうなっては仕方がありません。「スの国」は今頃滅んでいる事でしょう。民が無事に逃げ出していれば、いずれはこの「ハの国」に流れて来るかもしれませんが……。ここまでは距離もありますし、何人辿り着ける事か……はぁ……」
「スの国」の四聖剣……その内の二人に対する策をギョリは、ホワイト戦に向かう前にクジに授けていた。残りの四聖剣、キ・カンとサ・メハダは野心が強く、内々に謀叛の計画をしている素振りをギョリは掴んでいたからだ。
故に、「スの国」のナンバーツーであるクジを国に留めて「守り」として置く事で謀叛を起こさせないようにしたのだ。だが、クジはホワイト戦に参加している。
要はギョリの策は瓦解していたのである。
「ギョリ様、「スの国」が滅亡なんてするワケがないじゃないですか!それに謀叛を起こして乗っ取ったのなら、ギョリ様の力で取り返す事が出来るのでは?見ただけで殺せるんですから……」
「クジ……貴女が一人で取り戻せたらこの罪を赦してあげますけど?それに、クジ一人で、38匹のオリゴチャエタを始末出来れば……ですけど?」
「えっ?なんでオリゴチャエタなんです?それもそんなに大量に……」
「スの国」周辺に棲息していたオリゴチャエタはギョリの管理下にあった。もしもギョリが「スの国」を後にして、管理下から外れたオリゴチャエタが「スの国」を襲撃してもブルーに拠って強化されたクジならば対応出来る……と踏んでいた。
全ての目論見はクジがホワイト戦に参戦した事によって崩れたのである。更に言えば、キ・カンとサ・メハダは強化されておらず国を乗っ取ったとしても、オリゴチャエタから「スの国」を守れる保証は皆無でしかない。
結論として「スの国」は滅んだ……と言われても可怪しくはないと言える。
拠ってギョリは、「スの国」が滅んだと結論付けるに至ったのである。
斯くして、国を失った鳥人と水人と、これから難を逃れこの地に来ると思われる水人の難民は、「ハの国」を頼りとせざるを得なくなったのだった。




