第十一戦闘行動 慢心の行方
〜続続々・今は無きモノの視点・シン〜
「鈍くなってやがる。少なくともあの爆発の影響はあったようだな?」
「ほざけッ!二人掛かりで攻めておいて卑怯なヤツめッ!」
がしッ
げしげしッ
がががッ
「ぐっ……」
レッド&ブルーVSホワイト戦に関しては、数に優るレッド達の方が優勢だった。闘いが始まってから、ホワイトの攻撃は単調であり、あれだけ多用していたレーザーも音沙汰無しだ。
その様子からレッドは、ホワイトは弱っていると感じ取り、慢心していたのは事実だろう。また、ブルーの存在もレッドの慢心に一役買っていた。
「攻めが単調だぜ、ホワイト!さっきの威勢はどうしたんだ?オラオラッ!これで、トドメだッ」
「くっ……なんてな?」
すーーーーっ
じゅッ
「ぐおッ……テ、テメェ……」
「僕もいるぞッ!やあぁぁぁぁぁ」
「だから?」
すーーーっ
じゅッ
「うわっ、やーらーれーたー」
「まったく腹立たしい。何が憤怒ですか!覚醒出来たので身体を預けてみたはいいものの、いいようにやられるだけのザコではありませんかッ!まったく腹立たしい限りです」
優勢だった筈のレッド達を一気に劣勢に落とし込んだのは、憤怒から主導権を奪い返したメモハモホワイトであり、その手から放たれたレーザーだった。
こうして再び焼かれた二人は、鎧が融解し行動不能に陥ったのである——
「では……先ず二人の息の根から止めて差し上げましょう。念仏を唱えるくらいの時間は差し上げますが、要りますか?」
「ケッ!要らねぇよ。だが覚えてやがれッ!俺様をちゃんと殺さねぇと、夜もちゃんと眠れねぇようにしてやるぜッ」
「大丈夫ですよ?ヤツガレは兵器。人間のように寝なくても平気なように出来ていますから」
「僕は念仏には興味ないけど、せめて寝落ちしてからにしてもらえると助かるかなぁ?だってだって苦しみたくないモンッ!」
「それではご安心を。先ずは苦しみながら死にたくなるようにして差し上げます。ブルーからね」
「えぇッ!そりゃないよぉ……苦しみながら死ぬのはイヤだなぁ……」
すーーーッ
じゅッ
「痛いよ……本当に痛いよ?ねぇ、ちょっと止めてよ……本当に痛いってば!僕のコトをなんでそんなに虐めるのさ!僕は悪い事なんかしてないよッ!」
「キサマ達、ジャスティスファイブが何をしたか!何をしなかったせいで、この世界がこんなになったか分からないからそんな事が言えるんですッ!あぁ腹立たしいッ!まったくもって腹立たしいッ!!」
「そりゃ知ってるワケ無いよ。だって僕らは気付いたらここにいたんだから」
「なっ?!いつの間に?それに何故動け……」
どんッ
……ぴしッ
ブルーをジワジワと焼き、苦痛を与えていると思っていたホワイトは、突然真後ろから響いて来たブルーの言葉に困惑した。全てはブルーの“精技”が為した事だった——
ブルーは自分だけは助かるべく、レッドがレーザーに焼かれ、自分がいざ特攻する前に“精技”・精力絶倫精殺与奪に拠って安全圏に避難していたのである。
案の定、ホワイトは策に嵌まったと言える——
「ふへへ。僕の作戦勝ちだよッ!」
ぶぉんッ
どげしッ
「くっ……ブルーのクセに……。ヤツガレは侮り過ぎましたね……腹立たしい限りです。ですがッ!それならばこれからは入念に殺し尽くしてあげますッ!」
「強がっちゃって!でも僕はそれを遠慮するよッ!」
ぶぉんッ
がきんッ
「えっ?!僕の大ハンマーが止められ……た?」
ブルーの追撃の一手を受け止めたのは、ホワイトの腕から生えた盾だった。その盾は文字通り腕から生えており、肘から先が盾に変質したようにも見える、異様な光景だった——
「ゴールドが“観測機”としての力を賜ったように、ヤツガレは最強の矛と無敵の盾を賜ったのです。ヤツガレの盾に弾けぬモノはないのですッ!」
「無敵の盾だってぇ?そんなの僕の大ハンマーで砕いてみせるッ」
がきんッ
がきんッ
がががきんッ
「執拗いですよ?その執拗さは腹立たしいです。早く最強の矛に貫かれて息絶えなさいッ」
どんッ
どどどんッ
「ぐハッ。何事ですか?腹立たしい!」
……ぴしッ
執拗に大ハンマーで攻撃を加えるブルーに対してホワイトが右手を構えた直後、ホワイトの背中で激しい爆発が起こった。
不意を突かれたホワイトはよろめき、その直後に渾身の大ハンマーの一撃を受け取っていた——
「ヘッ!無敵の盾だかなんだか知らねぇが、背中がガラ空きだったぜ」
「レッドオォォぉ!この死に損ないがあぁぁぁぁぁッ!」
激昂したホワイトは殺意を剥き出し、自分にダメージを負わせた二人の事を交互に見ていた。レッドとブルーはホワイトを挟んで対峙している。レッドは鎧に損傷を負い、辛うじて動かせる腕だけで二丁包丁を撃っているが、ブルーは損傷していない。
ホワイトがブルーを狙えば後ろから撃たれ、ホワイトがレッドを狙えば後ろから大ハンマーが振り下ろされる構図……ホワイトの表情に焦燥感が漂い始めていた——
「ヤツガレをコケに……くそがッ!クソがッ!糞がッ!こうなったら、更なる損傷など気にするものかッ!全方位を焼いてくれるッ!」
きゅいぃぃぃぃぃぃん
「こりゃヤベぇかも……な」
「ハラ………………ヘッタアァァァァァァァァァッ!」
ばくんッ
……ぴしッ
怒りのあまり自傷を厭わないホワイトが、右手だけでなく自分の身体を武装として展開。全方位に向けた直後ホワイトに襲い掛かったのは食欲の化身だった——
「「「なっ?!」」」
当事者のホワイトだけでなく、レッドとブルーもその光景には驚きを隠せなかった。イエローはホワイトが展開した武装を一飲みで全て掻っ攫うように丸呑みにしたのである。要するにホワイトの身体から生えたレーザー照射口だけでなく、その右手も綺麗に消失したのだった——
「まさか、ヤツガレの身体をも食べるとは……暴食ここに極まれり、いや悪食が過ぎる。実に腹立たしい限りです!」
「ハラヘッタアァァァァァッ!」
ぎいぃぃぃんッ
「流石に無敵の盾は食せないようですね?流石の悪食でも無理なようで安心しました」
「でもそれなら、僕の攻撃は受けれないでしょ?」
ぶぉんッ
どごぉッ
「グはッ」
この状況、一対三であるかのように見せ掛けてその実、一対一対二と言うのが正解だ。何故ならばイエローは敵味方関係無く捕食対象にしか見ていない。近寄り過ぎればブルーも同じ憂き目を見る事になる。
拠ってブルーはイエローから視界を切らさず一撃離脱を以って距離を取っていた——
「本当にクソがッ!こうなったら再び、ジャスティスプラチナムに変形して、キサマらを踏み潰してくれるッ!ヤツガレの元に来いッ、ゴールドッ!」
「無駄だ。そして終わりだ、メモハモホワイトッ!」
ホワイトは最後の手段に出ようとした。だが、その場に現れたのはゴールドでは無かった——




