第五戦闘行動 オーマの陰
〜続々・今は無きモノの視点〜
「慣れればコイツらラクショーッ!ほらほら、イックよ〜!」
「おいこら、色欲!俺様の分まで奪るんじゃねぇッ!」
ぴゅんッ
じゅッ
「熱っつ!なんだコレ?」
嬉々としてシン蟲族を血祭りにあげている二人の行動を阻害したのは、突然起きた。先ずはレッドが異変に気付き、驚き飛び退いたのだった。だが、そのレッドの胸元は焦げていた——
「そのモノ達は、ヤツガレが必死に作り上げたシン蟲族。裏切り者のアナタ達に代わる、安心安全なこの国の住民達です。これ以上の暴挙は特に腹立たしい。実に腹立たしいッ!——ですが、新たなサンプルを連れて来てくれた事には感謝します」
「コイツは?!」
強欲はメモハモホワイトの事を知らない。先程ブラックが説明したのは、レッドでありピンクなのだ。今ここにいる二人は見た目こそ同じだが、中身は別人であり記憶の共有も出来ていない為に、メモハモホワイトの事を知っている筈も無い。
「レッド、そいつが蟲族の王、メモハモホワイトだ」
「キッ……先ずはその腹立たしいアナタから殺してあげましょう!サンプルは後で必ず回収しますが……ねッ」
どげしッ
「ぐっ……邪魔をされるのは腹立たしいですよッ!」
「傲慢はアタシのモノなのッ!メモハモホワイトだか、メモホモハワイアンだか知らないけど、アタシが相手になってあげるわ」
「ブルー、ホワイトを足止めしてくれッ!ギョリ殿、サッカ殿、ホワイトは貴女達を狙っている。くれぐれも連れ拐われないように」
斯くして突然に且つ、唐突に現れたホワイトと対峙する四人。イエローは新たな食料を求めて奥に向かった事からこの場にはいないが、代わりにゴールドとギョリ、それにサッカの計七人がホワイトと対峙している。
ホワイトの周りに蟲族はいない事から一対七の構図だが、油断が出来る状況では無いとブラックは自認していた。故に皆で連携を取るべきとブルーに促したのだった——
「面倒臭いなぁ、精技——」
「カキカ……キキケクコ」
ぼおッごおぉぁぉぉぉぉぉぉぉッ
「なッ?!一体何が?まさかこれは魔術……か?」
「おや?ヤツガレを助けに来てくれたのですか?ですが、アナタは貴重なサンプルでもあります。余計な事をして命を散らされると、ヤツガレは腹立たしくなります。下がっていなさい!」
ブルーを燃やしたのは、魔術であり、魔術を蟲族が使った事に対してハラワタが煮えくり返ったのは言わずともブラックである。
「ホワイトオォォォォォォ!オーマに何をしたあぁぁぁぁぁぁッ!」
「カキカ……キキケクコ」
ぼおッごおぉぁぉぉぉぉぉぉぉッ
ブラックは悟ったのだ。目の前にいるシン蟲族は、龍人のシン蟲族とは違うモノだと。そしてそれを産んだのが、「マの国」から連れ拐われたオーマなのだと。故に普段から冷静なブラックであってもその怒りを止められなかった。
しかし、ホワイトに向かって駆けた直後にブルー同様に業火に包まれたのである——
「魔術を浴びれば、私も覚醒出来ると思っていたのだが、残念ながら違ったようだ。しかし、キサマは絶対に許せない、認めない!私が引導を渡してやる」
「その前にヤツガレが冥土に送って差し上げますよ」
「ピンク、レッド、連携してメモハモホワイトを討ち果たすぞッ!」
すーーー
じゅッ
「激昂しホワイトに突貫すれば再び魔術を使って来るだろう。その時が覚醒に至る好機だ」と、考えた上での行動だった——
その結果、ブルー同様にブラックも魔術を浴びた訳だが、ダメージはほとんど無い。だがその身体は今もなお燃えている。それは熱さを感じない程度の炎であるが、視界は揺らぐ炎に因って遮られていた。
そこにホワイトのレーザーが照射されたのだ——
魔術の炎は熱くなくても、ホワイトのレーザーが熱くないとは言えない。視界を遮られたブラックにとってはレーザーだけは死活問題と言える。瞬時に両断はされずとも焼かれ続ければ必ず死に至るだろう——
だが……
「カカカ……カカカ……」
「な……ぜ?私を助けた?」
「カカカ……カカカ……」
ブラックをレーザーから助け代わりに焼かれたのは、ブラックに魔術を使ったシン蟲族だった。
ブラックはその行動の意味が分からなかった。自分が何故助けられたのか分からず、自分に対して必死に何かを伝えようとしている、目の前の蟲族の言葉も理解出来なかった。
そして、ブラックの口に何かが触れた——
「オーマ……なのか?やはり、お前はオーマ……なのか?何故、そうなら何故ッ!私を助けた?私はあの程度の攻撃ならば耐えられる。だが、お前じゃ……」
「カカカ……」
ぼとッ
「腹立たしいですよ、出来損ない!産みの親のヤツガレに逆らって、ブラックを助けるなんて。あぁ腹立たしい腹立たしいッ!サンプルの分際でぇッ!」
「オーマ……うっ……これ……は……」
どくんッ
どくんッ
——どくッ——
「ふっふはははははッ。私こそ私!私こそが傲慢!私は全てを見下す者ッ!だがホワイト、キサマだけは私を見上げる事すらも許さん。そこの生首と同じ末路にしてくれるッ!」
「凄技!“超絶怒刀報復絶刀”」 / 「見様見真似!“ツバメガエシ”!」
ブラックが覚醒と共に上げた咆哮。それを合図にレッドとピンクの斬撃がホワイトの身体に刻まれた瞬間だった。
だが二人の斬撃であっても、ホワイトを行動不能にする事は容易ではなかった様子である——
「やってくれました……ね。ヤツガレに対して一撃入れるなんて、実に腹立たしい!腹立たし過ぎて、ヤツガレは@#$%&*☆¥※〒ッ!!」
「おいおいどうした?なんかブッ壊れちまったのか?俺様の技がキマり過ぎたってコトか?」
「それを言うならアタシの……でしょ?勝手に手柄盗ろうとするのヤメてもらえる?」
どおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ
「「「なっ?!」」」
「我が名は憤怒。キサマらは万死に値する」
この場にいる中で、ブラックだけが理解出来なかった事象だろう。何故ならばホワイトは“悪の種”を受け、発芽させた筈が無い、元“兵器”であって人間ではないからだ。
だが懸念としては、ジャスティスファイブ同様に鎧に“悪の因子”が含まれている可能性は往々にしてある。その“因子”だけで発芽に足るかどうかは別物だが、実際に起こらない筈の事態が起きた以上、認めざるを得なかったとしか言えない——




