第十八戦闘示唆 観測と言う名の事実
〜ゴールドの場合〜
——ワシは兵器として産まれるハズぢゃった——
——ぢゃが、蓋を開けてみれば開発途上にあったワシの身体はこじんまりとしており、人間大のサイズに縮小されておった——
「——ワシはHi-aIと言う人工知能がインストールされており、“観測機”としての役割りを持たされたコトで、産まれ落ちる前から人類の思考の学習に余念が無かった。結果、産まれてから数秒もしない内に高度な会話から低俗な会話の全てを網羅し、対話する人間に合わせた会話が出来た。
その点は、同型機のホワイトより優れていると思っておる。
さて、ワシは兵器として開発されながら、多分戦隊ジャスティスファイブの一員となったワケぢゃ。
まぁ、ジャスティスファイブの五人は既に“観測機”としてのワシの“目”でも発見出来ず、同型機のホワイトと二人でジャスティスファイブとして活動するハメになったワケぢゃが、その相手は因縁のアクトウダンなのは言わずとも分かるぢゃろう?
アクトウダンはジャスティスファイブが消えたお陰で、国に対して平然と悪事を働くようになっておった。
困り果てた日本政府は他の大手戦隊ヒーローや新参戦隊ヒーローに要請する形でアクトウダン殲滅を目指したのぢゃが、その全てが返り討ちになってしまい、逆に悪の組織は肥大化したのぢゃ。
アクトウダンは他の名だたる悪の組織を併合し、その勢いは日本だけに留まらず世界に広がって行った……そしてこれが、人類滅亡のカウントダウンになったのぢゃ。
アクトウダンは世界中に散らばる“核”に目を付け、結果として自分達ではなく、そのボタンを押すコトが出来る者に押させる事に成功した。
瞬く間に世界は核の炎に包まれて行ったのぢゃが、それでもしぶとくその後百年くらいは人類は生き存えておったかのう。
核の炎はこの地球を汚染し、大気に海、大地……とありとあらゆるモノを穢し……あぁ、そうぢゃ。それは今も浄化されておらん。この世界に今いる種族やその他の動植物は核汚染を克服しておるが、もしも過去から来た人間が「生身で生きられるか?」と聞かれれば答えは一つ。「不可能ぢゃな」としか言えんわい!
そんな新たな種族達ぢゃが、それを創ったのは“神”と呼ばれるモノぢゃ。“神”は人類が絶えてしまうと自分らの存在意義を失ってしまう。ぢゃから信仰の為に新たな種族を創生したが、先の人類と同じ轍を踏むまいと、人口抑制や種の保存など様々な制約を設けた。
ワシはその辺りの時間軸では眠りに付いておったから、観測機としてのワシが観測した結果を話しておる。
しかし、“神”は一つだけ間違いを犯したのぢゃ。行うコト全てが“是”である“神”の最大にして最後の間違いが、新たな種族に“信仰を与えるコト”を忘れたコトぢゃろうて……。
結果として人類に続いて“神”も潰えたのぢゃ——」
〜ブラックの場合 其の拾参〜
「スポンサーが多分戦隊ジャスティスファイブを解散に追い込んだ理由は、悪の種が発芽していた私達に気付いたから……なのか?」
「そのようぢゃな。そして、お前達五人は“悪の因子”を増幅させる鎧を与えられてしまった……。お前達が違うスポンサーの元で戦隊ヒーローとなっていたなら、こんな悲劇は起こらんかったかも知れんが、人類が滅亡する未来は不変ぢゃったろうよ」
私はとても遣る瀬無い気持ちになっていた。全ての発端は日本という国であるかも知れないと思ったからだ。だが、そもそもはアクティブスーツを悪事に使った者達が悪いと言えなくもない……が、犯人探しをしたところで何も解決はしないだろう。
「ぢゃがな、ブラック……。ワシが観測した中で……お前達の中で……一人だけ死んでおるのも事実ぢゃ」
「ハァっ?それは一体……と言うかその前にジャスティスファイブの五人はこの時代に全員いる。死んだ人間がこの時代で生きている筈が……まさか!?」
「そうぢゃ、“悪の因子”の影響ぢゃろう。ブラック、お前は覚醒した時の記憶を有しておるな?」
「あぁ、そうだ。覚醒した時の名は、スペルプライ。傲慢の因子の名……だろうな」
「レッドは記憶をお互いに有してはおらん。ピンクは特定の記憶だけ有しておるようぢゃ。そしてブルーは悪の因子の記憶だけが強い」
「その話しだと、死んだのはイエロー……なのか?」
「流石はブラックぢゃな。そこから導くか」
私はただ消去法で探したに過ぎない。元々の本体がその者の記憶を有しているならば、「死んだ」と言う事にはならないからだ。だが、イエローは「自我が無い」それは即ち、本体が死んでいると示唆しているのだと直感したに過ぎないのが理由だ。
「イエローは日本政府に殺された事になっておるが、正確にはアクトウダン幹部、バロン男爵の手で殺されたのぢゃ。アクトウダン幹部、ダチェス女公の娘を助けた後で……な」
「いや、それは流石に意味が分からん」
「その後でイエローは姿を消し、続々と残りの四人……即ちお前達四人が消えた」
「待ってくれ!イエローの死が私達をこの時代に呼んだ……とでも言うつもりか?」
本当に意味が分からない。イエローが死んだ事で私達が呼ばれるなんて事があり得るのか?旧来の親友であるならいざ知らず、ジャスティスファイブに入るまで知りもしなかった面々だ。呼ばれる義理も無いだろう。
「恐らく……な。ぢゃが、三千年後とはなかなかオツぢゃろ?」
「ハァッ?!な、なぁ、ゴールド……今は西暦何年なんだ?」
「ざっと計算して、五千百二十一年くらいぢゃな」
私は驚きの余り言葉を失っていた自信がある。私達が暮らしていた時代からさらに三千年が経っていると言う事は衝撃でしかない。
有史以来の人類史を更に上回る年月が経っていても尚、文明レベルは滅んだ人類史のそれより低い。これによって、悪意を以って“神”が新たな種族を創生したと理解出来たからだ。
「さて、ワシが観測したコトも含めて、これまでの“歴史”は話し終えたワケぢゃが、ブラック……お前はこれからどうするんぢゃ?」
「私は……ゴールドに会っていなければ「マの国」に戻り、絶望に打ちひしがれていただろう。だが今は、先に為すべき事が分かった気がした」
「ジャスティスファイブに会いに行くのか?」
「私達がこの時代に呼ばれた事の意味は分からない。だが、ホワイトは過去の人類が行った事をこの時代でやろうとしている気がする。ならば、それを止めるのが「セイギノミカタ」の宿命なのだろう?」
「お前達、多分戦隊ジャスティスファイブは正義のヒーローではなく悪のヒーローにもなれんかった、“異端”ヒーローぢゃがな」
「私は残りのジャスティスファイブの面々と会い、ホワイトを止める。それが叶った後に、その先の道を探すさ。それがこの時代に生きていた種族の為に私達がすべき事なんだと思う「セイギノミカタ」として」
「“異端”ぢゃがな」
確かに“異端”だろう。だがそれでいいと思った。“異端”だろうと“正統”だろうと、この世界に「セイギノミカタ」はいない。要するにヒーローなんていないのだ。
だったらその「在り方」に拘る必要などないだろう。




