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戦隊ヒーロー異常アリ!?  作者: 酸化酸素
転機は天気と共に

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第五戦闘示唆 “聖技”

〜ブラックの場合 其の伍〜



「ふっふはははははッ!私は()()にして、不遜なる王。自儘にして、虚構を真実に変える者」


「ブラック……様……」


「コー・ジターマ、貴様のお陰で私は覚醒する事が出来た。その褒美、取らせて進ぜる。だがその前にシャクマ、褒美は貴様が先だ。この炎を受け取れ、これぞ我が()だ」


ぼぼぼッ


「愛?これが、ブラック様の……愛?」


「これぞ私の“聖技(せいぎ)”。受け取れ、シャクマ」


 シャクマの前に差し出されたのは一片の炎だった。その炎は青白く煌めいており、神々しささえ感じさせる輝きでもあった。

 しかしながらブラックから、それが「愛」だと言われた以上、ブラックを慕っていると語るシャクマがそれを拒否する事は、シャクマ自身がそれを許す筈も無く、その炎に対して手を恐る恐る伸ばして行った。



ぼっ

 ぼぼぼッ

  ボボボボボッ


「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ。熱い熱い熱いッ!わたしの身体が……燃える……何故?ブラック……さ……ま……」


 シャクマがブラックの差し出した炎に触れた瞬間、シャクマの手のひらから腕へ、そして瞬く間に全身を包み込み、シャクマの肢体を激しく燃やして行った。

 その場に響きわたって行くのはシャクマの悲痛な叫びと、盛んに燃え広がり拡大して行く炎の音。そして、業火に身を焼かれ疑心暗鬼に陥ったシャクマの悲しげな問いだった。



「シャクマよ。その炎に耐えてみせよ。さすれば貴様は無類の力を得る事が出来る」


「耐える?この身を焼かれる痛みに?この身を蝕む激痛に?」


「そうだ。それこそが、私の愛の痛み。その痛みに耐えてこそ、シャクマは私の(きさき)に相応しい」


「分かりました。この痛みに耐える事がブラック様の愛に応える事になるのであれば、わたしは耐えてみせましょう。——お慕い致しております、ブラック様」


「あわわわわわわわわ」


 ブラックの“聖技(せいぎ)”、それは魔を打ち払う聖火であり、魔人(まのひと)の天敵とも言えるモノだった。だがそれを分かっていながら、ブラックはそれをシャクマに与えシャクマの覚悟を試したと言える。

 そしてシャクマもその期待に応えるよう、苦しみ激痛に耐え忍び、そして……見事炎を(ぎょ)したのである。



「こ……これは……わたしの力が……」


「聖火に耐え抜き、見事新たな力を手に入れたようだな、シャクマ。貴様は新たな力を手に入れる事が出来た。それでこそ、不遜なる王たる私の妃に相応しい」


「ブラック様……いえ、()()()。わたしの本当の名前は、オーマ。オーマ・ガトーキーで御座います。そして、これが本当の姿。これから末永く、わたしの事を愛して下さりませ」


「良い、オーマよ、私はオーマを愛す。貴様も私を愛し、私の為に尽くせ」


「はい。仰せのままに、()()()


「あわわわわわわわわわわわわわわわわわわ」


「さて、次はコーだな」


「いえいえいえいえ、あだすは魔王陛下の愛に身を焼かれたいとは思いませんです!ですから、平穏無事にこの場から立ち去る褒美を賜りたく存じ奉りましゅ……ますッ!」


 ブラックの“聖技(せいぎ)”のヤバさと言うものを目の前で見せ付けられたコーは尻込みしていた。いや、尻込みだけなら可愛げもあり、この場から逃げ出す事も容易だったかも知れないが、実際のコーは腰を抜かし腰を下ろした床を盛大に濡らしていた。

 拠って自力でこの場から逃げ出す事は勿論、立ち上がる事でさえ出来ず、たとえ立ち上がる事が出来ても産まれたばかりの子鹿の様に歩く事もままならなかっただろう。


 そんなコーに対して、ブラックはオーマと同じように炎を差し出して行った。

 オーマは自分の手でその炎に触れたのに対して、コーはその炎に対して受け取りを拒否し首を「ぶんぶんぶんッ」と激しく振っていたが、炎は容赦無くコーに接近して行く。

 結果としてコーの豊満な胸のあたりで残酷なる炎が接した結果、コーもまた見事に炎に包まれたのである。



ぼっ

 ぼぼぼぼぼぼぼぼぼッ


「ぎゃわわわわわわわわわわわッ。痛い熱い痛い熱い熱い痛いッ!魔王陛下、どうかお許しをッ。お許し下さりませ。あだすに死刑は無いと、死刑にはしないと約束されませんでしたか?そのお約束を、あだすに!その約束が偽り無い事を、あだすにッ」


「よく喋る。だが、それだけ喋れるなら、炎を(ぎょ)す事も容易かろう?腹に力を入れ、見事耐えてみせよ」


「魔王陛下、痛いし熱い事に変わりは無いんでしゅ。あだす、泣きますよ?泣いたら炎が弱まりましゅか?それでしたらたくさん泣いて鎮火させましゅ事も、容易いと思いましゅ」


「ふっ。私の炎を御す速さはオーマにも勝る……か。既に熱さも痛みもあるまい?」


「えっ?あっ!確かに……平気です。まだ燃えているのに熱さを感じません!凄い凄い凄いッ!」


 ブラックが言っての通り、“聖技(せいぎ)”の炎を御したのは、コーの方が早かった。そしてその事はオーマの顔を引き攣らせていた。

 だが、ブラックはその事に気付いてはいなかった。



「さて、オーマ。そしてコーよ。貴様らに次なる指示を下す。心して聞くが良い」


「はい、()()()。そこのコーの首を締めるのであれば、わたしは喜んで実行致します」


「えっ?シャクマ様……いえ、オーマ様?あだすを、なんで?」


「コー、わたしはアナタに、“オーマ”と呼んでいいとは一言も言っていませんよ?」


「あわわわわわ」


「オーマ、戯れはそこまでだ。——オーマは残る二人の四王剣を呼んで参れ。どんな手段を用いても必ずや呼び付けよ。次にコー、貴様は新たに得た力を使い、オーマが連れて来る二人を見事倒してみせよ」


()()()畏まりました。必ずや二人を()()()の前に連行致します」


「あわわわッ!魔王陛下、あだすに四王剣二人のお相手が務まるとは思えません。どうか、平に平にご容赦下さりませ」


「コーよ、貴様は私の炎に耐えた。それだけで貴様の実力は跳ね上がっている。自信を持つが良い。どれ自信を付けるがてら、私が相手をしてやろう」


 ブラックはそう言うと立ち上がり、コーの前に立ちはだかったのだった。オーマはその様子を楽しそうに見学する積もりだったのだが、自分に出された指示を(まっと)うするべく、二人の模擬戦が始まる前に微笑を浮かべながら姿を消して行った。


 一方のコーは、先程同様に脚をガクガクと震えさせながら、目の前に立ちはだかるブラックに対して額を床に擦り付けて泣きじゃくっていた。

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