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戦隊ヒーロー異常アリ!?  作者: 酸化酸素
転機は天気と共に

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第二戦闘示唆 推挙の裏側

〜ブラックの場合 其の弐〜



「わたしはブラック様をこの国の国王陛下に推挙したいのですが……もし宜しければこの国で働きませんか?」


「シャクマさん、お気持ちは有り難いですが……はたして私がこの国で勤まるとお思いですか?」


 私を家に招き入れてくれた女性はシャクマ・スンゼンと名乗った。私はこの家でこの世界の事を彼女の口から教えられ知った。


 正確な世界地図などは無い為、どういった地形なのか分からないが、私が住んでいるこの地は()ソラエラス・()ルムガルドシュテイ()と言う地名らしい。略してニホンと言われた時は頭が痛くなったものだ。


 更にこの地に住む人達の事も聞いた。シャクマ達は魔人(まのひと)族と呼ばれる種族で、この()()()には他に二種類の種族がいるのだと言う。付け加え北と南にそれぞれ一種類ずつ、計五種類の種族の他に「蟲族」と呼ばれる共通の敵がいるとも聞いた。

 ちなみに北と南は長ったらしい“ニホン”ではない呼び名があるそうだ。



 この国は「マの国」と呼ばれ、人口が千人強しかおらず火山からの降灰のせいもあって豊かな実りは無いと言う。

 この国の東には広大なジャングルがあり、獣人(けものびと)と呼ばれる種族が治める「ハの国」、西には広大な砂漠に守られた「スの国」と呼ばれる水人(みずひと)の治める領地があるらしい。


 各国に友好関係は無く、領地を巡るトラブルなども起きていないと言う。それは(ひとえ)に他国に侵略するメリットよりも、定期的に襲って来る蟲族の被害が大きく関わっているらしい。



「ブラック様は聡明な御方です。話しをしている内に、この国の国政を任せられると考えました。無理にとは言いませんが、国王陛下に会って頂ければ嬉しく思うのですが……」


「シャクマさん、私は魔人族ではありません。他の種族の者が国政に関われば必ずや問題が起き、それは国家の(いしずえ)を覆す程の大波となって国を滅ぼし兼ねません」


「それはそうかも知れません。ですが、この国は数年前に起きたあの大噴火に拠って遷都せざるを得ない程に壊滅的な被害を負いました。そして遷都の際にも蟲族達の執拗な攻撃に遭い、人口は半減してしまったのです」

「——この国の国王陛下は戦乱にあっては奸雄ですが、治世に於いては能臣の言を聞かず、国政に於ける優秀な人材を見限る始末……」


「それならば、私を推挙されても国王が国政を預ける程の厚遇を許すとは思えませんよ?」


 シャクマの言いたい事は痛い程分かる。この国の行く末を案じているからこそ、清楚な様相からは考えも付かない程の熱量を感じさせる物言いをしているのだろう。



「ですが、シャクマさんの元にいつまでも居候(いそうろう)をしていると言うのも格好が付きませんから、自分の食い扶持(ぶち)くらいは自分で稼ぐべきでしょうね」


「ブラック様……わたしはいつまででも、ブラック様のお世話を喜んでしますけど……。ですが、推挙される事に賛成頂き、有難うございます」


 こうして私はシャクマと共に「マの国」の城へと向かった。途中で衛兵に呼び止められる事も無く、すんなりと国王に対する謁見を許されたのだった。



「貴様をシャクマが推挙したい……とな?貴様、名を何と言う?」


「私の名はブラックで御座います国王陛下」


「ブラック……か。変わった名だな。して、貴様の目にはこの国がどう映る?」


「貧しい国かと。民は貧困に喘ぎ、外敵からの侵入を防ぐ強固な防壁も無い。一度や二度なら耐えられましょうが、立て続けに幾度も攻め入られれば容易く陥落する程に脆い」


「王たる者を前に豪胆な事だ。しかしこの国はあの()っくき火山に拠って窮地に立たされた。誰のせいでも無い。故に滅びを待つなら滅びるのが世の摂理と言うものであろう?」


 私はこの王の味わった苦しさは分からない。だがこの王は既に亡き骸のように見える。乱世の奸雄とまでシャクマは言っていたが、その容貌は既に無いように思えた。

 恐らく王は王なりの最善を尽くして来たのだろう。だが、私の目の前にいる王は()()()()()()だ。覇気もなければ精気も弱い。



「人は糧があれば生きていける。人は希望があれば生きていける。どちらか一方を失ったとしても、どちらか一方が残っていれば生きていける。だが、この国の現状は如何に?人は貧困と絶望に喘いでおり、生きて行く為に必要な、そのどちらも残っていない。為政者はそのどちらか一方でも民に与える為に奔走してこそ……ではないだろうか?」


「ブラック……と言ったな?貴様に何が分かる。民を飢えさせまいと考え、国を守ろうと考えた結果が今だ!もう万策尽きた後なのだ」


「左様ですか。それは国王陛下自らが考え、自らが行動に移した結果だと言うのですか?」


「そうだ。王たる我が、我が民を思って考え行動した結果だ。それ以上の最善がどこにあるッ!」


 私は直ぐに見付ける事が出来た。この王は勘違いをしている。「国は王が造る」そう考える事が一番の大問題だ。国は一人では成し得ない。故に広く意見を取り入れ、皆で苦労を分かち合ってこそ成し得るものだ。

 王が民の為にと思って行ったその全てを否定したくはないが、それこそ完全なるエゴイズムの塊としか言いようがない。



「国王陛下。率直ながら進言させて頂く。陛下は王たる器では無い。奸雄は治世の能臣にはなり得ない。蟲族が襲って来る事を除けば今は治世と言える。その治世に奸雄はあってはならない。陛下が為せる唯一の事は、奸雄が奸雄足り得る世でなければならない」


「王たる我が、王たる器を持っていない……だと?大人しく聞いておれば好き勝手ほざきおって……その命、惜しくな……」


すつーッ

 ぼたっ


「ヒィィィぃぃ、陛下!陛下あぁぁぁぁぁぁッ!誰ぞおる?シャクマが連れて来た者が陛下を暗殺した。これはシャクマに拠る陛下の弑逆(しいぎゃく)である。謀叛(むほん)である。この者達を捕らえよッ!」


「静まりなさいッ!国王陛下は()()()()()()()()()()です。しかしながらこれより先は魔人族の掟に従い、強き者を頂きに置くのが最優先の必定。この中に四王剣たる、わたしに勝てる者がいますか?」


 私は逆上させる事で王の冷静さを失わせた。その結果、容易く命を奪う事に成功した。私は武器(ヒーローウェポン)を素早く取り出すと王に向けて薙いだ。

 だが私の武器(ヒーローウェポン)()()()()()()()()()()()とだけは申し伝えておこう。


 しかしその衝撃波に因って王の首は身体と泣き別れ床に転がった。それだけだ。しかし首だけになった王のその瞳は「驚き」すら無く、表情は怒りに満ち満ちたまま曇っている。要するに何かを思う暇さえ無いまま、痛みを感じる間も無いまま、命を失ったと言う事になる。



 一方で私が国王を殺す事をシャクマは知っていたかのようなタイミングで、騒ぎ立てる家臣に対して奸言を(ろう)していた。しかしシャクマが言う「四王剣」の残りはこの場にいない。残りの四王剣は前もって呼ばれていなかったのかもしれない。

 そもそも四王剣が国政に携わる者だとするならば、呼ばれる呼ばれない以前にこの場にいない事自体も問題だろう。

 要するにこの国は根本からして「詰んで」いるのかも知れない。


 拠ってこの場で王の選定をするなら、シャクマしか適任はいない事になる。

 ただ不思議な事にシャクマは私の方を見詰めていた。

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