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戦隊ヒーロー異常アリ!?  作者: 酸化酸素
転機は天気と共に

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第一戦闘示唆 オナカブラック

〜ブラックの場合〜



「ここは火山の中……なのか?」


 私は気付いたら知らない場所にいた。マグマが流れている洞窟に寝ていたからだ。流石にそんな場所が既知の場所である筈が無い。

 しかしどうも腑に落ちなかった。マグマが私のすぐ真横を流れているにも拘わらず、熱さすら感じないのだから、どうにも解せないとしか言いようがない。



「あぁ、これ(アクティブスーツ)のお陰……か。だが、これ(アクティブスーツ)はスポンサーに返した筈だ。何故これを私が身に着けているというのだ?」


 私は手に嵌っているグローブを見ただけでこれ(アクティブスーツ)が何なのか分かった。まぁ、それもその筈だ。数ヶ月前までこの(アクティブスーツ)を着ていたのだから……。




 私は多分戦隊ジャスティスファイブのオナカブラックとしてヒーロー活動をしていた。だが()()()()()()()ジャスティスファイブは解散してしまった訳だ。

 闘っていたアクトウダンがその後どうなったのかは分からない。それに他のメンバーがどうなったのかも知らない。私には興味が無い事だ。


 私は戦隊ヒーローから足を洗い、解散して数日と経たない内に、前々から話しを貰っていた芸能プロダクションと契約を結んだ——


 生きて行く為には稼がないといけないのだから、仕事をするのは当然の事だ。


 それから早くも二ヶ月が経とうとしていた。契約後は演技や歌唱力、ダンスのレッスンに励んで来たが、達成感など得られる事も無かった。

 仕事らしい仕事は特に無く、生活費はジャスティスファイブの時の貯蓄を切り崩していた。



「今日はデビューイベントだった筈。テレビ局とプロダクションが仕組んだドッキリだろうか?駆け出しアイドルにそんな事をするとは思えない……が」


 私は契約を結んだ大手芸能プロダクション「ジ・ア・イ・ド・ル」が開催してくれる予定の、新人アイドルお披露目デビューイベントに出る為に始発電車に乗って、地方の遊園地に向かっていた。

 しかし気付いたらマグマが流れる洞窟の中。ただ宛も無く洞窟を進んでも意味がない事は分かっている。だから頭の中でマッピングしながら先を進んで行った。



「二日……か……長かった。だが、あそこまで行けば外に出られる」


 私は洞窟内で二昼夜歩き通し、やっと外界へと繋がる出口を発見する事に成功した。本来ならこんな過酷な環境では数日たりとも生きて行く事は不可能だろうが、これ(アクティブスーツ)が持つ機構……水や食料が無くても数ヶ月は延命出来る“生命保護機構”の性能に拠って、生き(ながら)えていた。

 睡眠時間ですら不足していても、そこまで重大な影響を巻き起こさない程、優秀な機構だ。


 しかしいくら“生命保護機構”で守られていても、流石に喉は渇くし腹も減る。眠気も無い訳では無い。

 だからこそ、それら全てを身体が欲しているのは分かっていた。拠って外界に出たら真っ先に水と食料を探す事を念頭に歩を進めて行った。



「なん……だ……ここは?ここは、日本じゃないの……か?」


 私の眼下に広がるのは、灰に埋もれた街並み。空は降灰のせいか暗く、薄日も射していない。私の知る日本とはあまりにも遠くかけ離れた景色だ。



「降灰に因って荒廃した街……か。こんな街に人が住んでいるとは思えないが、先住の人達が残して行った食料や水があるかも知れない」


 私は膝下まで灰色に染まりながら街へと踏み入り、一軒一軒家の中を物色して行った——




()()()……あの街に行けば」


 私は荒廃した街で結局、()()()()何も得られなかった。だから水と食料を求めて、行く宛の無い歩を更に進める事にした。


 荒廃した街を後にして四日余り経った頃、私は新たな街を発見する事に成功したのだ。



「怪しいヤツめッ!ここから先の立ち入りは許可されていなくば不可能だ。帰れ帰れッ!」


「少しでいい。水と食料を分けて貰えないだろうか?」


「水も食料も貴重品だ。キサマのような怪しいヤツに恵んでやる事など出来ぬ!」


 新たな街を発見した私の前に立ちはだかる衛兵と思しきモノ。その身なり風体は、ただのコスプレ野郎にしか私には見えなかった。

 そんなコスプレ野郎に「怪しい」と言われてしまった私だが、その事で口論する積もりは毛頭無い。争っても何も生み出さず、状況を却って悪化させるのは分かっているからだ。



「その方を通してあげなさい」


「世迷い言をッ!このような怪しいヤツを通せと……ハッ?!貴女様はッ!」


「わたしがその方をお招きしたのです。何か文句がありますか?」


「申し訳ありませんでしたッ。ささっ、お客人。どうぞ中へ」


 私は見ず知らずの女性に助けられ、街の中へと入る事を許された。しかしこの女性、先程「わたしが招いた」と言っていたが、私にはこの女性に招かれた記憶は無い。



「助けて頂き、感謝する。しかし良かったのか?あのような嘘をついて」


「えぇ、構いません。わたしが貴方様を助けたかった事に変わりはありませんから。それよりも先程、「水と食料を」と仰っていましたよね?もし良ければわたしの家に来ませんか?少しで良ければ差し上げる事も可能ですよ」


 この女性を衛兵が見た途端に態度が急変した事は、この女性がある程度の地位にいると示しているだろう。だからこそ私は女性に誘われるまま後に付いて行った。


 しかしやはり腑に落ちない点は多々ある。先程の衛兵をコスプレ野郎と断じた私だが、前を行く女性もコスプレしているようにしか見えない。

 更に言えば、街中を進む私に対して好奇な視線を向けて来る者達全てがコスプレしている光景は異常と言えば異常だろう。


 頭には角があり耳は長い。服という服は着ておらず、ファーのような毛皮を胸と下半身のごく一部に纏っている。腕と脚の全域に奇怪なタトゥーを描き、下腹部にはこれまた奇怪な紋様が施されていた。

 そして極め付けは尻尾だ。まるで生き物のように自在に動く尻尾をすれ違う者達皆が身に着けている。

 これがコスプレでなかったとするならば、ここは日本では無い事が容易に想像出来るだろう。



「さぁ、着きました。ここがわたしの家です。中には誰もいませんから、お気になさらずご自由にくつろいで下さいね」


「ご厚意には感謝する……が、その……貴女のようなお綺麗な女性が、みだりに男性を招いて良かったのか?それに、そのような発言は男を勘違いさせるから、気を付けた方がいいと思うのだが……」


「貴方様はわたしを手籠めにされるお積もりがあるのですか?」


「私は助けてもらった恩を仇で返すような事をしない」


「それならば良いではありませんか?それにわたしは、誰でも家に招く訳ではありません。ご心配して頂き、有難うございます」


 私はこの女性に対して少なからず好感を抱いた。聡明にして知性溢れる物言いに……だ。

 見た目も美しいがそれを際立たせる雰囲気がこの女性にはある。背は高く、髪は黒く長い。エメラルドに輝くその瞳は妖艶にして清楚な魔性(ましょう)性を感じさせる。



 斯くして私は、この女性……シャクマの家に居候する事になった。

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