第十六戦闘配置 疑惑
〜レッドの場合 其の“ Ⅷ ”〜
「ここかな?アッヌに聞いたら、今日のレッドはここにいるっ……ッ!?」
「——あんッ。あんッ。あんッ。だんな様、もっともっと奥まで突いてッ!もっとだんな様を感じさせてッ」
「えっ?これって……う……そ……」
「——ダメッ。ダメッ。もっと、もっとぉッ。壊れちゃう、イ……イっちゃ……うぅぅぅ。らめえぇぇぇぇぇぇぇッ」
「——子鹿ちゃん、俺様の“凄技”はまだまだこれからだぜッ。イっちまってもそのまま続けてやんよッ」
「あんあんあんあんあんあんッあぁああぁあああぁああああぁッ」
「サッカお姉ちゃん……と、アイツが中に……?」
ダッ
ぽたたっ
レッドに「助けてくれてありがとう」と言いに来たヌッコは政務室の前に辿り着いた折、中から聞こえて来たふしだらな声に驚きを隠せないでいた。
気持ち良さそうに喘いでいるサッカの声は、嫌な思い出を想起させ、覚醒したレッドの声を聞いた途端にヌッコはあの夜の出来事がフラッシュバックして行ったからだ。
ヌッコは無我夢中でその場を離れる事しか出来無かった。その時、ヌッコの中にさっきまで言おうとして考えていた言葉は、ガラガラと言う音と共に崩れ去り、ただ大粒の涙がその音とは裏腹に可愛らしく散って廊下に小さな染みを作って行った。
「なんで?なんで?なんであの時と同じ事をしているの?もうアイツはいなかったのに!レッドじゃないアイツを、サッカお姉ちゃんが……なんで?」
「もう、ヌッコは分からないよ……」
ヌッコは城の廊下を走り抜け、城外へと出るとそのまま西の城門から無断で外に出て行った。
その様子は多くの人に見られ、外で道路復旧の現場指揮にあたっていたアッヌは、その帰り道で話しを聞いたのだった。
こんこん
「あるじ様?あるじ様は中にいるか?」
がちゃ
「あら?アッヌじゃない。一体どうしたと言うのですわ?」
「サッカ姉はまだ政務室に?——そんな事より、あるじ様に急ぎ話しがある。あるじ様は中にいらっしゃるか?——微かに血の臭い……?」
「んぁ……ふわあぁぁぁぁ。あれ?俺……寝てた?——アッヌ、慌ててどうしたんだ?」
「あるじ様、大変だッ!ヌッコが……ヌッコが……」
「ヌッコ?アッヌ、落ち着け!ヌッコが一体どうしたんだ?」
「ヌッコが家出したらしいんだ」
俺は政務室で寝ていたらしい。疲れが溜まっているのかも知れない。それに変な夢を見た気もする。
サッカがヤンデレになる夢なんて、怖過ぎて正夢にならない事を祈る事しか出来ない。
でもそんな事はどうだっていい。今大事なのは、ヌッコが家出したって事だ。
「家出?アッヌ、詳しく教えてくれ。ヌッコに一体何があったって言うんだ?」
「アタイが現場指揮から帰って来る途中、ヌッコが西の森方面に泣きながら走って行ったって聞いたんだ。まさかと思って家に帰ってから探したらヌッコがいなくて……」
「ヌッコが泣きながら?誰かにイジメられたって言うのか?」
「レッド様、ヌッコは四天王……誰かにイジメられる事は無いと思うのですわ?」
「ッ?!——あぁ、そうだよな。でも泣きながらってのが気になるな……」
焦った。俺は正直焦った。だってサッカが俺の事を「新王陛下」でも「だんな様」でもない呼び方をするモンだからさ……。
何か心境の変化でもあったのか?
だけれども今は、ヌッコの事が先決だ。
「俺がこれからヌッコを探して来る」
「レッド様、危険でございますわ。これから夜になろうと言うのに……」
「危険と言うなら、ヌッコの方が危険だ。何かあってからじゃ遅い。アッヌ、もしも俺が二時間経っても帰って来なければ捜索隊を指揮して捜索に出るんだ。サッカは俺が捜索に出ている間、この国を頼む。ヌッコは俺がなんとしても連れ戻ってみせる」
「あるじ様……」
俺はサッカ達同様にヌッコの事も大切に思っている。それは妻の一人……だからって訳じゃない。
両親を亡くした四人姉妹がバラバラなんて事には絶対にさせないッ!
〜ピンクの場合 其の“ Ⅷ ”〜
「ワテクシ、アナタにお願いがあるのですけど、お時間宜しくて?」
「アタシに?別にいいけど?」
「単刀直入に話します。ワテクシに“調教”を為さって下さいません?」
「ぶふぉッ。ちょっとキーラスさんどうしたの急に?」
アタシは飲んでたお茶みたいな飲み物を噴き出しちゃった。てへっ。ちなみに飲んでたモノは見事に噴き出されて、あとちょっとでキーラスさんに掛かる所だったし!
その場合ってアタシが悪くなるワケ?掛かってないから別にいいけど。
それにしても、キーラスさんみたいな美人さんが「調教して欲しい」なんて、カレシとマンネリしてて刺激が欲しい……みたいな?そういや、鳥人族にオトコはいないんだっけ。
それじゃあなんでよ?最初からそう言う趣味だったとか?でもでも、アタシみたいな超絶可憐キュート美少女に「調教して」なんて頼む?
普通、そういったコトは女王様的なオーラ出してる人に頼むモンじゃない?
まぁ、この国に女王様いないけど……それでもでも、アタシはそんなキャラじゃないよ?どっちかって言うとする側よりは、される側。挿れる側よりは挿れられる側。だってアタシはイケメンのテクニックで、イかせて欲しいんだモンッ!
まぉ可愛い女の子があんあん言ってる姿を見るのも好きだけど……。
「テーバメとセズーメから、アナタに調教されたと聞き及んでいます。言い逃れは出来ませんよ?ワテクシにもその“調教”をして下さいますよね?」
「えっ!?ちょっとキーラスさん、近い近いッ」
「ワテクシにも“調教”をして下さると約束頂けなければ、ワテクシはアナタの側を離れません」
何なのこの人……。でもその前に、アタシがテーバメさんとセズーメさんを「調教した」とか言っててマジウケるんですけど!
確かにテーバメさんはイケメン素養のショタっ娘だし、セズーメさんは純粋ロリで、ストライクゾーンにビシバシド直球だけど……って、そう言えば、二人がアタシの事を「お姉様」とか呼び出したのって、アタシが記憶失くした日からだっけ……。
そう言えばその後も、二人がアタシの部屋にいた事があったなぁ……。
アタシが二人をホントに調教したとか?いやいやいや、そしたらアタシ、夢遊病みたいにフラフラしながら女の子を調教しちゃうかなりヤバいヤツって事じゃん?
それってマジヤバじゃない?マジで笑えないくらいマジウケなんですけど!
「どうしても駄目なんですか?それならワテクシと勝負なさいッ!ワテクシが勝ったらちゃんと“調教”してもらいます!」
「キーラスさん、落ち着いてッ!ってかそれだと、アタシが勝っても全然得しないんですけど?」
「分かりました。それならアナタが勝ったら、ワテクシ秘蔵の酒をご馳走します」
「それって幻のブランデーとか、一本ひゃくまんくらいするワインとか?それともビンテージもののウィスキーとか?」
「それが何かはワテクシには分かりませんが、ワテクシが持ってる酒の中で最高のモノを差し上げます」
「乗った!勝負するするッ!今からする?場所はここ?」
アタシは秘蔵とかビンテージとか幻とか大好物だしッ!だってそんな高級酒なんて、お金持ちの超絶イケメンしか奢ってくれないモン!
ムッサキモのオッサンじゃ手も足も出ないお酒じゃん?そもそもそんなオッサンには、飲まれる酒の気持ちになってみろ!とか言ってやりたいモン!
それくらいイケメンと高級酒って似合うしッ!でも、残念なのはそんなイケメンがこの国にいないってコト。
でもでもでも、アタシ程の超絶美少女ナイスバディレディになれば、バスローブ姿でブランデーグラスを手に持ってるだけで雰囲気出せるし、雰囲気酔いを楽しめるからいいんですけど!




