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戦隊ヒーロー異常アリ!?  作者: 酸化酸素
多分戦隊ジャスティスファイブ

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第四戦闘配備 蒼き夢の幻聴と紅き葛藤の狭間に

〜ブルーの場合 其の弐〜



「そこから、逃げて……早く逃げて……」


「えっ?誰?僕に言ってるの?」


「早……く……逃……げ……」


 夢だった。僕は気付いたら寝落ちしてたみたいだ。もう同じ景色も見飽きて、ひたすら歩いてたから疲労困憊(ひろうこんぱい)だったのは認めるよ。


 砂漠って昼と夜の気温差が凄くあるって聞いてたのに、昼間でも夜でも凄く快適な体感温度だった。それだから安心して寝れたって言うのもあるんだけど、あの夢は妙にリアルだったな……。

 でも、声だけだったからどんな人が話し掛けて来てたのかは分からない。声質は女性っぽかった。


 僕は自慢じゃないけど母親以外の女性と話した事があんまり無い。それこそ片手で収まるくらいしか記憶に無いね。“元”ジャスティスファイブのピンクとも話した事がなかったし……。

 昔から女性を前にすると緊張してあまり声が上手く出せなくなっちゃうんだよね。だから今まで誰とも付き合った事なんてないし、ブルーチェリーってレッド達からは呼ばれた事もあった。

 意味を聞いたら教えてくれなかったけどね……。


 だからあの時、レッドが解散するって言った時、ピンクから名前呼ばれた時は凄くドキドキしてた。でも、何も言えなかった。ピンクってなんか、話してる時に凄く人の事をバカにしたように話すから尚更話したくなかったんだけど……。

 まぁ、今となってはどうでもいいか。



「それにしても、お腹空いたな……。部屋の前に置き去りにしたご飯をちゃんと食べておけば良かったな」


 僕は寝たから身体が少しだけスッキリしてた。お腹は空いてるし、喉も渇いているけど砂漠でそれらが満たせるなんて思ってないから取り敢えず、砂漠から抜け出したかった。

砂漠以外なら何か食べる物や飲める物がある気がしてたからだ。



 空は明るくなりだしていた。どれくらい気を失っていたかは分からないけど、流石に夜中に砂漠を歩くよりは太陽が出てから歩く方がいいとは思ってる。

 日中の気温もそこまで高くないから、それなら明るい方が尚更いいに決まってるよね?昼間が死にそうなくらい暑ければ考えるけど、今の所は大丈夫そうだ。

 だから僕は再び歩き始めていた。



「逃げて!そこから早く!逃げないと食べられちゃうわ!」


「えっ?」


 僕は耳を疑った。夢だと思っていたのに同じ声を聞いたからだ。今回聞こえた声ははっきりと女性だって分かった。でも、直接頭の中に響いて来るような感じの声だったから、幻聴だって言えなくもない。

 はっきり聞こえる幻聴なんて初めてだから、飲まず食わずを数日繰り返すとこんな感じになるんだなって感心してたんだけど、やっぱり幻聴なんかじゃないって事はこの後直ぐに起きたんだ——




〜レッドの場合 其の参〜



「あぁ、飲んだ飲んだ。久し振りに腹がパンパンだッ」


 小川の水をこれでもかって言うくらい飲んだ俺は、暫く満腹過ぎて動けなかった。いや、動きたくなかったって言える。だってそうだろ?考えなきゃいけない事が山ほどある気がしたからだ。


 この場所がどこか?って事もそうだが、俺がチノイロレッドの(アクティブスーツ)と一体化してる事もそうだし、それ以前に唯一使えそうな仕様(ギミック)ボタンを押すかどうかもだ。

 この仕様(ギミック)ボタンは武器(ヒーローウェポン)のボタンだ。俺の記憶にあるのが正しければ、押せば俺の専用武器(ヒーローウェポン)が手元に現れるハズ……。


 だが敵がいないこの状況下で、無駄に武器(ヒーローウェポン)を手にしたくなかった。でももしも、敵が目の前に急に現れたとして、その時に仕様(ギミック)ボタンを押しても武器(ヒーローウェポン)が現れなかったら……その時に俺の心の準備がどうなるか……を考えた結果、念の為にボタンが使えるかどうか()()でも確かめる事にした。


 俺の手元に現れた武器(ヒーローウェポン)を俺が手に取らなければ、それはそのまま消える……つまりキャンセル扱いになるってのがセオリーだったからだ。



「えいッ!」


ぽちッ


 しゃららららーん

ぼわんッ


「出た……俺の武器(ヒーローウェポン)。あの時のままだ……」


 まぁ、見たくなかったと言えばその通りだ。俺にとってはチノイロレッドはもう過去の遺物みたいなモンで、スポンサー切りにあった事実がある以上、忘れ去りたい過去だからだ。

 でもそれと同時に闘う事が出来る武器(ヒーローウェポン)があるって事だけは心強かった。もしも仮にこのジャングルで大型の肉食獣や爬虫類に襲われでもしたら、素手と武器(ヒーローウェポン)があるのとじゃ大違いだからだ。

 過去の遺物と安心感を比べるなら、安心感の方が勝ってお釣りも来る。


 って、そんな事を考えていたら本当に何かが迫って来ていた……。



「変わった臭いに釣られて来たら、変なのがいるよ?どうするアッヌ、狩る?」


「そうね、見た感じは全然美味しそうじゃないけど、アンタは偏食だから、アンタだけは美味しく食べそうね?まぁ、いいわ。狩って姉さん達の土産にしましょ。姉さん達が要らないって言ったら、一人で食べていいわよ、ヌッコ」


「わーい、楽しみ楽しみ!美味しいかな?美味しいかな?じゅるる」


「じゃあ、二人同時に行くわよッ!ヌッコ合わせて」


だッ



 レッドを狙っていたのは二人の少女。ヌッコと呼ばれた比較的背の小さい少女とアッヌと呼ばれた少女だ。そして二人はレッドの頭上……即ち高い木の上からレッドの動向を監視していた。


 だがその二人の姿は見るからに人間のそれではない。まともな服と呼べる物を身に纏っていないが、年端の行かない少女が全裸でいる訳でもない。

 身体は深い体毛に覆われているから大事な場所は色々と秘されているが、胸の膨らみが女性特有の特徴と言える。更に二人の少女のお尻からは尻尾が生えている。

 更に更に付け加えると頭のてっぺんには耳が生えており、鼻からは動物特有と言えるヒゲが生えていながらも四足ではなく、人間のように二足歩行をして言葉まで交していた。



 この二人はこの世界で「獣人(けものびと)」と呼ばれる種族であって、その二人がレッドに向かって致死の一撃による挟撃を繰り出していた事を、この時点でレッドはまだ気付いていなかったのだった。

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