第十五戦闘配置 秘めない秘め事
〜ブルーの場合 其の“ Ⅴ ”〜
「あら?ブルーが起きてるなんて、珍しいですね。さぁご飯の時間ですよ」
「あれ?ギョリ、今日は多くない?そんなに食べていいの?」
「あぁ、これはそこで寝てるサボり魔の分です」
ぴくぴく
「そうなんだ?」
「もしブルーが食べたいのであれば、食べても構いません。「働かざるもの喰うべからず」とも言いますし」
「じゃあ、頂きま……あれ?なんで取り上げるのさ?」
「だってブルー、わたくしはさっき「働かざるもの喰うべからず」と申しましたでしょ?だからブルーにもちゃんと働いて貰います。さぁ本日三回目の日課の時間です。わたくしに“精技”を使いなさい」
こうしてクジが寝たフリをしている間にブルーはギョリに対して“精技”を行い、ギョリが耐えている間にブルーは与えられた食事を平らげていった。
「くっあっああぁぁぁぁぁぁぁッ」
「ホンッとにギョリはマゾっ気強いよね。“日課”なんて言いながら、イジメられに来てるんだから」
「くぅぅぅぅぅぅッ」
「まぁ、僕としては三食昼寝付きだから、どうでもいいけどさ」
「くふぅ……はぁ……はぁ……はぁ……ブルーは人が反論出来ない状態になると途端に饒舌になりますね」
「そうかな?反論されると面倒臭いじゃん?」
「本当にいい趣味ですね」
「では、次は明日の朝食の時に。そうだ、どうせだったらそこでサボってる役立たずを襲って孕ませてもいいですよ?」
「嫌だよ。面倒臭いし。別に僕、女性に困ってるワケじゃないし。それに「孕ませたい症候群」みたいな病気でもないからさ」
「そうですか……。まぁ、それならば無理強いはしません。ですが……。それならそれで女として魅力が無いとか、嫁の貰い手が無いとか、可愛げが無いとか、ブルーのサドっ気を満たすオモチャにして構いません。いやむしろ、そうして下さい」
ぴくぴく
「それは面白そうだから考えておくよ」
ぴくッ
ギョリは最後に一目、クジに視線を送ると離宮を後にして行った。散々揶揄ってみたものの、食い付きが全くない様子に詰まらなくなったと言う話しもある。
要するにクジが寝たフリをしてるかどうかを試したのだ。
本当に不貞寝しているのであれば、それはそれで構わない。今の所、この国は有事では無い。武官であるクジが平時に於いてやれる事は少ない。
それにクジが側にいるとギョリは何かとやろうとする事を阻害される事が多い。だからこの現状は、クジへの休暇と人払いならぬクジ払いという一石二鳥の計画なのだ。
まぁ「このような形での休暇など要らない」と言われそうな為、本人に直接言う事は絶対に無いのだが……。
「くっそぉッ!言いたい放題いいおってからにッ!今に見てろ、必ずあのキレイな顔を歪めてやるッ」
「まぁ、ギョリはワザと煽ってた気しかしないんだけど……。まぁ、いいや。クジが乗り気になってくれたなら、僕としては好都合だ」
「この身を強くしてくれるんだよな?あのギョリを倒せるくらいに強く!」
「あぁ、いいよ。その代わり交換条件がある」
「交換条件?さっきはそんな事を言ってなかったが。まさか、やはりこの身を捧げろとか言うまいな?」
「なんなのさ、これでクジの身体は要らないとか言えば、プライドを傷付けるなとか言うんだろ?クジは本当に面倒臭いね」
ぐさッ
「そそそ、そんな事は頼まれても言わない。それで交換条件とは何なのだ?」
「交換条件次第では話しに乗る」それはブルーにとって「必ず話しに乗る」のと同義だった。何故なら、ブルーはクジの心が読める。心が読める相手に対する交換条件の意味はあって無いようなモノだ。
要するにノルカソルカ、ゼカヒカ、クロカシロカだけで充分だった。
ブルーはクジに対して条件を話す前に口角をゆっくりと上げ、嗤っていた。
〜レッドの場合 其の“ Ⅶ ”の前のロ〜
「サッカ……その手に持ってるナイフは……?」
「うふふふふ。新王陛下、これはこう使うのですわ」
あぁ……なんてこった!俺が不能なばかりに、サッカがヤンデレって奴になっちまった。刃傷沙汰の修羅場なんて、日本にいた時は味わった事がない。
アクトウダンの人質になった人を助ける事はあったが、この状況は俺が人質だ。俺を助けてくれるヒーローが現れない限り、俺は絶体絶命ってヤツだ。
ってか、「俺がそのヒーローだろ」とかツッコまないでくれよ?悲しくなるから……。
ぶしゅあぁぁぁぁッ
「なッ!サッカ、何を……なんで、自分の首を?ゔわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ」
「見ィィィィィィィィィたァァァァァァァァァァぞォォォォォォォォォォ」
サッカは手に持っていたナイフで自分の首を切った。切られた首から迸る鮮血。その鮮血を見た途端にレッドは意識を失った。
「あぁ、だんな様……。今一度、お会い出来てアテシは幸せで御座いますわ」
「トンデモねぇ女だな、子鹿ちゃんは。まさか、自分の首を掻き切るなんざ、思っても出来やしねぇよ」
「見えない場所を切っても、だんな様に見せなきゃ意味がありせんわ。それに、アテシは獣人。このような傷を負っても直ぐに治まりますもの」
どくどくどくどく
「それにしても、血を見ると入れ替わるなんてな……いや、そんなハズは無い。血はトリガーにはならねぇハズだ。だが、俺様はここにいる。良く分から無いな……」
「そんな事よりも、だんな様。アテシ、もうガマンが出来ませんわ。早くッ!一刻も早くグチョグチョになってしまったアテシの恥ずかしいココに挿れておくんなましッ!これ以上、アテシをガマンさせないで下さりませ」
斯くして意図的にレッドは入れ替わりを果たし、覚醒させられた。
レッドとしては「血」以外に原因があると思っており、その事について深く考えようとしたが、据え膳が目の前にある状況で据え膳から急かされ思考を停止させた。
「まぁ、考えるのは俺様の性に合わないからな。俺様を無事に呼び出したご褒美に俺様のマグナムをくれてやんよッ!」
「あぁん、なんて雄大なお姿……。待ちに待った挙句、夢にまで見て泣いて過ごした日々も今日で終わりますわ……。だから早く早くッ、そのそそり立って雄々しいマグナムをアテシにッ!アテシにおくんなましッ」
「そんじゃあ、イッィィィツァ・ショオォォォォォォォ・タアァァァァァァァイムッ。子鹿ちゃんが気の済むまでイかせてやんぜッ!」
こうして真っ昼間の政務室から、サッカの激しい喘ぎ声とレッドがオラオラ叫ぶ声が木霊して行った。外に誰かがいたとしたら、その激しくぶつかり合うような音と共に響く、甘い声と淫らな息遣いに、赤らめた顔を背けて早歩きでその場を通り過ぎるか……。はたまたドアに張り付いて中の様子を窺うか覗こうとするかも知れない。
そんな本能的な欲求に支配され淫靡で激しく、卑猥で直情的でふしだらな情事の真っ最中に政務室に来た者がいた事を、中の二人は知らない。
その者は顔を背ける事無く、様子を窺う事無く、ただその場から走り去ったからだ。
その瞳に大粒の涙を浮かべて……。




