第十一戦闘配置 セイギの結末
〜ブルーの場合 其の“ Ⅲ ”〜
「——ハッ……この身は生きて……いるのか?」
「Zzz……ごがっ……Zzz」
「クジ……ちゃんと守り切ったようですね」
「ギョリ様……いや、ちゃんと守れた感じはしなかったんですがね……」
完全に八方塞がりだったクジにブルーの“静技”を防ぐ事は出来なかった……筈だった。
だが、クジはこうして目覚める事が出来、それは守り切ったという結論に達するのだが、クジは納得が行ってない様子……と言える。
ちなみにブルーは高イビキをかいて寝ており、クジは一度だけ視線を向けるとギョリを見て話し始めた。
「ギョリ様が、この身を救って下さったので?」
「クジがそう考えたなら、わたくしを今後はちゃんと讃えて崇め奉る事ですね。わたくしとしては無遠慮な配下がいなくならなかった事を残念に思っておりますし、先程の不敬に対する罰をいつ与えようかウズウズしておりますけどね」
「あぁ……じゃあ違いますね。ギョリ様がそんな殊勝な心掛けを、この身にする訳はないですもんね」
「本当に殺しますよ?」
「でもま、ありがとうございます。それだけは言っておきます」
クジは独力で守れない事が分かっており、ギョリが何かをしたのだろうと考えるしか現状で生き残っている事に説明が付かなかった。だが、その方法は明かされ無かったので、イヤミを言いながらも感謝を示した……と言う事になる。
お互いがお互いに対してひねくれているので、よく分からない会話になっているが、二人が素直な気持ちになれればこの国は、もうちょっと纏まりがあるのかも知れない。
「ところでギョリ様。一つ提案なのですが、宜しいですかな?」
「何かしら?クジがまっとうな事を言うとは思いませんけど、聞いて差し上げます」
ちらっ
「ギョリ様がアイツとの間にお子を為せば、この国は更に強くなるのでは?」
「クジ……それを本気で言ってますか?死ぬ覚悟も出来ているのでしょうね?——などとクジは脅迫されると思っているのかも知れません、身構えている辺り……」
「違うので?」
どくんッ
「かっ……は……ギョリ……様……怒っ……て、いらっしゃ……る?」
「当然です。わたくしがブルーのような者の子種を受け入れなければならない程、嫁の貰い手がいないとでも?」
「ち……がうの……で?」
「本当に死にたいのですね、クジ……」
「がはッ……げほっ……げほッ……本当に殺されるかと思いましたぞ」
水人族は単為生殖能力を持っている。故に生殖行為を行う必要性は皆無と言える。ただし、男女間に於ける性行為に拠って相手の子種を受け入れる事で、爆発的な個体性能を持つ者が産まれる場合がある。
ギョリはその事を知っている。何故ならば、自分がそのようにして産まれた者だからである。
一方で有用な手段と思いつつも、ギョリは男性に対して少なくとも嫌悪感を抱いている。だが為政者としては、そのような事は公言出来ない。
故にこの手の質問は愚問であり、クジは虎の尾を踏んだと言えよう。
「わたくしの相手は自分で選びます。ブルーのようなモノの子種など、欲しくもないッ。——そうだ!それならばいっその事、そのような提案をしたクジが子種を求めれば良いのです。一週間程、そこに入れたままにして差し上げますから、ねんごろになって下さっていいのですよ。それじゃッ!」
「えっ?ギョリ様?今……なんと?ギョリ様?ギョリ様?ギョリーーーーーーーッ!」
口は災いの元。こうしてクジとブルーの同居生活は始まったのである。
〜ピンクの場合 其の“ Ⅴ ”〜
「うふふ。チッカちゃん、こんなんじゃアタシは遊べないから、もっとグショグショにしないと」
くちゅっ
「くっ……全てはピンク殿に任せる……あっ……。ピンク殿の好きな……ように……はぁんッ……余の肢体を……弄ぶが……イィッ」
第二ラウンド開始した直後、ピンクはチッカの自由を奪った。それはさながら「まな板の上の鯉」であり、チッカは配下が見たら為政者としての威厳も権威も失墜せざるを得ないような、あられもない姿にされていた。
「チッカちゃん、ハジメテだろうから優しくしてあげたいんだけど、アタシはそのイケメン顔をもっと淫らな感じにしてあげたいの。だから、ちゃあんとおねだり出来るまで、アタシの指先テクニックだけで焦らしてア・ゲ・ル」
くちゅっ
くりっ
「————ッ!!」
ピンクは“性技”を使わない事を示唆していた。それくらいの「遊び甲斐」をチッカに見出していたと言える。だが、チッカとしてはピンクの“性技”にこそ用事がある。
それがなければ、身体を委ねるような真似はしないし、身売りをするような真似が出来る筈も無い。
ピンクの思惑とチッカの思惑……二つの思惑が交錯する中、攻め手と受け手の力関係など、言わなくても決まっていた。どう頑張っても、まな板の上で乱れるだけの淫らなマグロになっているチッカの思惑など通用する筈もない。
「た……頼む、ピンク殿……余を……気持ち良くしてくれ……中途半端に攻めるのだけは……止めて……ほしい」
「チッカちゃん、さっきも言ったでしょう?ちゃあんと、お・ね・だ・りしないと、イかせてあげなぁい」
「ピンク殿……お願いします。余の事を、気持ち良くして……下さい」
「まだ固いけど、さっきよりはいいわぁ。でも……もっともっと乱れてくれないとアタシが興奮出来ないの。……だけど、チッカちゃんが少しだけ頑張ったから、少しだけイかせてア・ゲ・ル」
ピンクに拠って焦らしに焦らされたチッカは、徐々に陥落しつつあった。既に水たまりが出来ているベッドではなく、部屋のソファの上で強引に股を開かされた状態で拘束されているチッカだが、本来ならば羞恥心を感じる事は無い。
凛として威厳の塊のようなチッカだからこそ、羞恥心すら自制している。いくら辱めを受けようと、そんな素振りなど示す事は無い。そんな自負すらあったのだ。
だが、初めて感じる自分の身体を奔り抜けて行く快感に……初めて感じるビリビリと痺れるような快楽に……初めて感じる思考が麻痺し気持ち良さだけを求める本能に……チッカは純粋な絶頂を欲するようになったのである。
「ピンクどの……イかせて……。余はもう……ガマン出来ない。頭の中が、気持ち良くなる事だけで一杯になって、もう何も考えられない。早く、早くッ……もっと気持ち良くならせてッ……お願いだから」
にたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
「チッカちゃん、良く出来ました。じゃあ、そろそろ本気でイかせてア・ゲ・ル。“性技”岩清水!」
「—————ッ—————あーーーーーーーーッ—————」
チッカにとってそれは衝撃的な初体験としか言いようがなかった。
ピンクの“性技”を一足早く味わっていた、セズーメとテーバメを恨む程の孤立感。「このような気持ち良さがこの世にあったのか?」と知らなかった自分を後悔しても足りず、今すぐに地面に張り付き穴を掘って埋まりたくなるくらいの挫折感。
まだ欲しい、もっと欲しいもっともっともっと……と、次から次へと湧き上がってくる陶酔感。脳が揺れ視界に映る光景が全て一面の白銀に覆われた別世界になってしまったかのような恍惚感。
それらを味わってしまったが故にチッカは無秩序な笑みを浮かべていた。
「もっと……もっともっと……さっき見た、テーバメやセズーメ達が余に見せ付けたような淫靡な快楽を味合わせて欲しい。余のココに早くッ、挿れて……下さい」
「にへらっ。チッカちゃん、ようこそ快楽の沼に……」
斯くして夜は更に深まり、今まで味わった事のない快楽にチッカは溺れてイったのである。




