第九戦闘配置 “精技”と“性技”
〜ブルーの場合 其の“ Ⅱ ”〜
「ギョリ様……この身の身体をアイツに弄ばせろ……と?」
「先程、わたくしも既に実験材料だと言いましたよね?わたくしがブルーにこの身を捧げた……とでも言いたいのですか?」
「えっ?違うので?自分がアイツに貞操を奪われたから、その腹いせにこの身まで道づれにしようとしてるのかと……」
「ほう?クジ……アナタのどこにそのような魅力があると言うのですか?」
ぐさっ
「アナタのように大柄で……」
ぐさっ
「ガサツで……」
ぐさっ
「色気も無く、横柄で、気遣いも出来ず、大飯喰らいで、女性らしさも無く、そのクセ——」
ぐさぐさぐさぐさぐさっ
「ぐはぁッ。ギョリ様……それ以上はこの身が保ちませ……ばたッ」
クジはギョリに完敗した。それ以上、もう何も言うまい。
「——嫁の貰い手に困ると……ぐちぐちぐちぐち……あら?クジ、どうしたのですか?そんな場所で寝ていてはいけませんよ?」
「もう……いいです。この身を捧げろと言われても、喜んで捧げさせて頂きます……」
「ふぅ……。わたくしは満足致しましたので、冗談はこれくらいにしてですね、本題に戻りましょうか」
離宮の前、地面に突っ伏してそこに水溜まりを作る勢いのクジに対して、ギョリはスッキリした顔で事の仔細を話していく。
事の起こりはブルーが離宮に移された翌日の事だった。たまたま罠に掛かった蟲族を捕らえに行った折、ギョリは罠に掛かっている蟲族の反撃に遭った。
その際咄嗟に思念を使って防衛したが、その威力は自分が知っているモノとは程遠く、捕えた蟲族を見る陰もない程に吹き飛ばしたのである。
その日よりギョリは自分の身の上に何が起きたのか仮説を立て、立証するべく研究に勤しんでいった。そして遂に、一つの結論に至る。
「それが、ギョリ様が浴びた“精技”のせいだった……と?」
「えぇ。その後、再びブルーの元に行き、同じ事を再現しました。それを二回、三回と繰り返した所……」
「見ただけで人を殺せる程のバケモンになった……と?」
「もう一度、息の根を止めて欲しいようですね?」
「いえいえ、ギョリ様、とんでもめっそうも御座いません!」
「ブルーには再三手を尽くしました。しかし女を与えても手を出そうとせず、酒に酔わず、毒も効かず、効くのは唯一、わたくしの思念のみ……」
「アイツはそもそも男なので御座いますか?」
「えぇ、わたくしの胸をイヤラシそうに見ていたので、間違いはないでしょうね……ごほん。話しを戻しますか?それとも……今度はクジのその脂肪の塊でブルーを誘惑したいですか?」
ギョリの瞳は再び笑っていない。クジは首を勢い良く横に振り、話しを戻す事を促していった。
「再三に渡り、ブルーをわたくしの思念の影響下に置き、もはやブルーはわたくしの意のままに「“精技”を使う奴隷」とする事に成功しました。クジが中に入り、ブルーと対面したらわたくしがブルーに“精技”を使うように促します。後はアナタがそれに耐えるだけです」
「それが先程の「心を守れ」で御座いますか?」
「えぇ。ブルーの“精技”は精神が肉体を凌駕します。実際に肉体は外界の影響を受けていなくても、精神が勝手に影響を受けていると“誤認”するのです」
「うへぇ……先程のギョリ様が使った、見ただけで息の根を止めるのと同じじゃないですか?」
「クジ……死にますか?」
「いやいや、滅相もない。この身はそんなに「死にたがり」では御座いません」
「“精技”の効果時間は数分から数十分。時によってまちまちですが、耐えた時間が長ければ長い程に自分の思念強度が増します。それを使ってわたくしは、いずれこの国を強くするつもりです」
「ギョリ様……その言い方だと、ご自身以外にそれを試させた者がおりますね?」
「最初はブルーに与えた乳だけがやたらデカい側女。次は色気しか無いのにブルーの手付きになれぬ側女。その後は使えぬ神官、使えぬ官僚、使えぬ料理人など二十人ばかり」
「して……その者達は?」
「皆が皆、医療棟で赤子のようにスクスクと成長……する事なく眠りについています」
「その流れだと、この身も使えないと言われてる気しかしないのですがね?」
「違いますか?」
ぐさっ
「一般の者では話しになりません。ですので、勿体無いと思いながらも、四聖剣のクジに機会を与える事にしました」
「ギョリ様……フォローになっておりませぬ……」
斯くして涙が止まる事の無いクジを無理やり引き連れてギョリは離宮の中へと進んで行く。離宮はブルーを入れてから改築し、ブルーが独力で出られないよう厳重に施錠されている。
拠って、ブルーに会う事が許されているのはギョリか、ギョリと共に来た者だけになった。
ブルーがギョリの支配下に置かれてからは、側女達を与える事も止めた。食事だけは与えているがそれはギョリが行い、その際にブルーの“精技”を浴びる事を日課にした。
拠って、日に日にギョリは強くなり、もう既にブルーの“精技”でギョリは抑えられない程になっていたのである。
故にブルーは離宮に住まう奴隷となり果て、“完全体ヒキニート”として有意義に奴隷人生を謳歌していた。
〜ピンクの場合 其の“ Ⅲ ”〜
こんこん
「開いてるわぁ。自由に入って来てぇ」
「おねえさま。本日も某をお呼び下さり、誠にありがとうございます。誠心誠意、おねえさまの調教を賜りたいので、何卒宜しくお願い致します」
「えぇ、礼儀正しいテーバメちゃん。昨日みたいにとても凛々しく可愛らしくそれでいて可憐に喘いでアタシをゾクゾクさせてね」
「あの……おねえさま。スズも頑張ります。おねえさまの調教でたくさん気持ち良くして下さい。おねえさまのご期待に添えるように、たくさんおねえさまの事を考えたから、もうスズのココはガマン出来そうにありませんッ」
「えぇ、健気なセズーメちゃん。セズーメちゃんはとっても可愛くて手放したくない一輪の花のよう。そんな可愛いお花の甘〜い蜜でアタシを蕩けさせてね」
「余もお邪魔して宜しいかな?」
「えぇ、チッカちゃん。チッカちゃんもアタシの“性技”を味わいたいの?」
「いや、今日は見物だ。気になる事があってな」
「えっ?!チッカ様も同室されるので御座いますか?」
「テーバメちゃん。何も恥ずかしがる事はないのよ。見られて興奮すれば、更に快楽が増すわ。アナタの恥ずかしい場所をチッカちゃんに見てもらって……アナタが気持ち良く喘いでいる声も聞いてもらって……更に開放的になって、より一層の快感を得ればいいのよ」
「はい、おねえさま。おねえさまの崇高な御慧眼に某ももう、我慢出来そうにありません。早く早く、某に“性技”を下さりませ」
戦後処理に奔走していた二人は、それが終わる頃にチッカに拠って呼び止められピンクの元へと連れて来られていた。
チッカはチッカでまだ完全に毒が抜け切っていなかったが、テーバメとセズーメに何かが行われ、それによって二人が更に強くなるのであれば、その“行為”が今後の鍵になると思ったからこそ、無理をしてでもこの場にやって来ていた。
斯くして“行為”を楽しみ愉悦に浸ろうとしているピンクを筆頭に、それを受けたい者達及び、それを見極めたい者が各々の感情を交錯させて夜は深まって行く事になる。
快楽と欲望が混じり合い「大絶頂を味わう為」だけの大痴態が、今ここに幕を開けようとしていたのだった……。




