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戦隊ヒーロー異常アリ!?  作者: 酸化酸素
新たな力を宿すモノ達

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32/85

第八戦闘配置 桃への褒美と蒼への実験材料

〜ピンクの場合 其の“ Ⅱ ”〜



「チッカ()()()、どうやら無事のようね?」


「ピンク殿か……余は……なんでここに?」


「チッカちゃんがアタシを助けてくれた代わりに、チッカちゃんが傷を負ったってコト。ありがとう、チッカちゃん」


「ふっ……歯痒いな……ところで、ピンク殿がここにいると言う事は将軍(ジェネラル)・ヴェスピーネは無事に倒せたと言う事なのだろうな」


「そぉね。あんなスズメバチ。アタシの敵にもなれやしないわよ」


 ヴェスピーネを甚振り殺したピンクだが、その後ピンクがチッカの元に()()()()()()()には既に、チッカの姿はそこには無かった。

 チッカは倒れている所をキーラスによって発見され、そのまま医務室へと運ばれたからである。



「あの手のスズメバチは毒を持ってると思ったけど、チッカちゃんには効かないワケ?」


「効いたさ。だが、長い年月を掛け……鳥人族は毒に対して高い耐性を持つ事に成功した。それでもあのヴェスピーネの毒は余の膝を床に付かせる程だった……と言う事だな。改めて礼を言わせて欲しい」


「アタシとしてはお礼言われるより、ご褒美の方が嬉しいんだけどなぁ?」


「そうだったな……確かに約束した。それで何が望みだ?」


「そぉねぇ、それじゃあテーバメちゃんとセズーメちゃん。昨日と同じで明日の朝まででいいわ」


「ふむ……今はおそらく戦後処理に駆けずり回っているだろうから、終わったらピンク殿の部屋に行くように申し伝えておこう」


「おっけー。じゃあアタシは部屋にいるから」


 ピンクは鼻歌を歌いながら医務室を後にして行く。チッカはそんなピンクの後ろ姿を見送った後で物思いに耽っていた。



「先の戦闘中、余の鷹の目(ホークアイ)はテーバメとセズーメの技が格段に成長したのを見た。昨日行われたピンク殿との模擬戦に於いて、二人が()()()()()()()()()()()()()()、その後二人に何かが起こり、その結果、剣士として成長したと考えるのが妥当……か」


 チッカは冷静に分析し、一つの結論を出すに至る。だがそれは、触れてはいけない、開ける事を許されていないパンドラの箱のような感じがして止まなかった。



「実際に夜、何が行われているのかこの目で確かめる必要がありそうだな……」




〜ブルーの場合 其の“ Ⅰ ”〜



「やはり……ですね」


「ギョリ様、何が「やはり」なのです?」


「クジ……盗み聞きは良い趣味とは言えませんね」


「いえいえ、たまたま通り掛かった折、ギョリ様が一人呟いておられたのが、()()()()()()()()までで御座います」


 砂漠にある「スの国」そこの執務室で女王ギョリは一人呟いていた。そしてそんなギョリに対して茶々を入れているのはギョリの配下にして四聖剣の二番手クジ・ラニモリである。



「いいわ。クジはいつもそうですからね。ところでクジ……」


「はい、お断り致します」


「まだ何も言っておりませんよ?」


「ギョリ様が口元を歪めていらっしゃる時は、大抵良からぬ事を考えている時……ですから謹んでお断りさせて頂きます」


「アナタの思念(サイコ)の効果範囲は如何ほどですか?」


「ギョリ様……人の話しを聞いていませんね?はぁ……。まぁ、そうですね……この国の領地の半分って所ですかね?」


「1/3の間違いではありませんか?」


 クジの判断は概ね正しい。ギョリの悪巧みを見抜いたからこそ、そこから切り抜ける策として過大評価を示したのだ。

 だが結果は、失敗だったとしか言えない。



「ギョリ様、お人が悪いですぞ?分かりきった事を聞かれるなら、この身に問う必要はありますまい」


「クジ……アナタが如何ようにわたくしの「良からぬ事」から逃げようとしても逃しませんよ?」


 牽制に対してイヤミと牽制を重ねたギョリの方が一枚上手(うわて)であり、クジは言葉に詰まる事しか出来ない様子だった。

 ギョリは更に歪なまでに口元を上げて行く。クジは嫌な予感しかしなかったと言えるだろう。



「ねぇ、クジ?アナタの思念(サイコ)の強度が増やせるなら、アナタはそれに乗りますか?」


「何やら面白そうな「良からぬ事」ですが、この身を実験材料(モルモット)にしたい……と?」


「既にわたくし自ら実験材料(モルモット)です。そしてわたくしの思念(サイコ)の強度は順調に右肩上がり……いえ、もう過去にこの国を治めた誰よりも強いと言えます」


「ご冗談を……ギョリ様がご自身の危険を顧みず、自分自身を実験材料(モルモット)にする筈がありますまい」


「えぇ、クジ……いい覚悟ですね」


 クジにはギョリの言葉が冗談にしか聞こえていなかった。だがギョリのその琥珀色に輝く瞳は決して笑っておらず、睨み付けるようにクジを見据えていく。



「ぐっ……こ……れは……ま……さか、ギョ……リ様の……?以前ま……でと……は、比ぶべ……くも……な……」


「どうですか?これでわたくしの話しを信じる気になりましたか?」


「はぁ……はぁ……はぁ……相手の呼吸すら止める程の思念(サイコ)……はぁ……はぁ……確かにたった今、殺されかけましたので信じるしかありませんな……はぁ……はぁ……はぁ……」


「宜しい。それではクジ、今からアナタも実験材料(モルモット)になりなさい」


 過去にクジがギョリと闘った時……それは四聖剣の序列を決めた時である。この「スの国」に於いて、四聖剣の序列の一番手はこの国のトップとなる。

 女性であれば女王。男性であれば王となるその闘いの折、クジはギョリの放った思念(サイコ)によって身動きを封じられ何もする事なく破れた。

 たった今浴びせられた視線は、見ただけで相手そのものの呼吸すら止めてしまう程の思念(サイコ)であり、序列を決めた時に浴びたモノとは桁違いだと言う事をクジは身を持って思い知らされたのである。



「付いて来なさい、クジ」


「さぁて、付いて行った先はどんな地獄か想像も付きませんね。この身としてはなるべく平和な地獄が好みなんですが……」


「クジ……アナタをこれより実験材料(モルモット)にして差し上げます。だけどその前に、わたくしの親切心から一つだけ忠告しておいてあげますね」


「ギョリ様が親切心で仰るなら、この身を実験材料(モルモット)にして頂けないと仰ってもらった方がよっぽど嬉しいんですがね」


「心を守りなさい」


「相変わらず人の話しを聞かずに意味不明な事を……」


「クジ、ここです。親切心からの忠告を努々(ゆめゆめ)忘れてはなりませんよ。忘れればアナタはただの「赤ん坊」です」


「不可解な……って、ここはッ!まさか、アイツに対してこの身を捧げろと仰るのですか?」


 二人が付いた先は城内の離宮……即ち、囚われたブルーの住処(すみか)として与えられた場所だ。

 ただでさえ「ブルーは危険だ」と警鐘を鳴らしたクジは、離宮に近寄ろうとすら考えておらず、近寄りたくない場所の筆頭にある。


 ここでブルーの住処に入ると言う事は、ギョリが先に提案した「女を与え、酒池肉林に沈める計略」に対して、自分が「ブルーに与えられる女として実験材料(モルモット)にされる事になったのか?」と考えるに至る。

 拠ってクジは、その両手で大柄な自分の身体を抱きしめて少しばかり震えていた。

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