第三戦闘配置 第三種戦闘開始 断末魔
〜ピンクの場合 其の“ Ⅰ ”の“ ⅲ ”〜
どがんッ
ばごごんッ
「爆撃……だと!?この城の直上から?あの群れは蟲族共の陽動だったとでも言うのかッ!」
「ならば、チッカさん。アタシがアレもヤっちゃっていい?」
「あぁ、頼めるか……ピンク殿」
「えぇ、まーっかせてッ!第二投目、突いて突いて突きまくってぇ、くるくる前方転回か〜ら〜の〜……行っけえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」
ドっひゅんッ
ばばばばばばばばばばばばばばばッ
「たーまやー」
「たまや?何だソレは?」
ねぇ?「たまや」って言うわよね?なんでチッカさんは知らないんだろ?まぁ、そんなコトよりアタシって凄くない?もう天才美少女って言ったらアタシ以外いないっしょ?
それくらい頑張ったってアタシの大っきいナイスバディな胸を張って言えるし!
ひゅッ
「ピンク殿、危ないッ」
「えっ?」
どんッ
しゅばんッ
「ぐっ……」
「チッカさん!」
音だけだと何も分かんないと思うから説明してあげるし!アタシのアタシの綺麗なボールで、上空にいたデッカいトンボを倒したと思って浮かれてたら、今度はなんか大きいスズメバチがアタシをロックオンしてた……みたいな?
そんでもって、チッカさんがアタシを突き飛ばして庇ってくれたけど、その代わりに負傷した……みたいな感じ!
もう、アタシ的には「何このイケメンッ!」って感じでジンジン来ちゃってイっちゃうかと思ったし!もうチッカさんに「抱かれたい」って思ったくらいだし!
でも、女性なのよねぇ……。
「ピンク殿……あれは将軍・ヴェスピーネだ。四刀聖全員でやっと打ち果たせるかどうかの蟲族。そんなモノまで動員してくるとは……」
「ジェネラルヴェスッ?いやいや、あれはスズメバチっしょ?でもイケメンにケガさせるなんて、あったま来た!アレもアタシが倒しちゃってもいいのよね?」
「頼めるなら頼みたい……が。強いぞ?」
「大丈夫!アタシならヤれる」
「ならば、見事倒せたら褒美を考えねばなるまいな」
「ご褒美くれるの?じゃあ尚更張り切っちゃう!」
「コラッ、スズメバチ!アタシが相手よ、降りて来なさいッ!」
相手はデカいスズメバチ。スズメバチだから針に刺されたチッカさんが心配だけど、周りには誰もいないからとっとと倒して、チッカさんを運ばないと!
でもスズメバチはアタシの上空をブンブン飛び回って降りて来ようとしないしッ!アタシはイライライラ。ハチはブンブンブン。
仕方無いから、アタシも空を飛ぶしかないっしょ!
「アタシの可愛いリボン!行っくわよー」
ぶんぶんぶんぶんぶんッ
アタシはブンブン煩いハチを真似したワケじゃないし!ただ両手にリボンを持って片方で空を飛んで、片方は硬化させてリボンとして使うだけだしッ!
ブンブンブンブン
「コイツ、ちょこまかとッ!アタシは方向転換が難しいっての!とっとと斬られなさいッ」
しゅんッ
しゅしゅんッ
アタシは硬化させたリボンで斬ろうと思ったけど、なかなか近寄って来ないスズメバチには届かない……だから天才美少女紅一点ピンクはリボンを剣じゃなくて、先ずはリボンとして使ってスズメバチを落とす事を考え付いたし。
やっぱりアタシって天才!
ぱしんッ
「キシャシャッ」
ひゅるるるるる〜どごぉぉぉぉぉぉんッ
アタシのリボンは変則的な動きでフェイントして、スズメバチの羽をもいでやった。やったし!流石アタシ!
羽をもがれたスズメバチはそのまま城の中庭へと落ちてったから、アタシはそのまま追い掛ける事にした。イケメンを傷付けたオトシマエはちゃっかりきっかり取らせないとねッ!
「じゃあ、トドメ刺さなくっちゃ!チッカさんアタシは行くけど、一人で大丈夫そう?」
「あぁ余にとってはこの程度……かすり傷だ。将軍の始末を頼む」
「やっぱりイケメンは嘘つき……。じゃあアタシは行って来るし!ちゃんと療養して早く良くならないと皆悲しむんだからねッ。でも……助けてくれて、ありがと」
アタシはリボンで飛びながらスズメバチが落ちてった方へと空を降りて行った。チッカさんが心配だけど、落ちてったスズメバチが生きてたらそれはそれで厄介そうだから先を急ぐコトにしただけだし!
すちゃッ
「キ……キシャ」
「やっぱりまだ生きてたし……でも……その姿、いたぶり甲斐がありそうね?」
じゅん……
にたぁぁぁぁぁぁぁ
「ねぇ、アナタの頭は何色かしら?アタシに見せてくれるわよね?まぁ、拒否してもちゃぁんと解剖してアゲル。そしてちゃんと覗いてあげるから覚悟してねぇん」
城の中庭に落ちたヴェスピーネは落ちた衝撃から立ち直っていた。しかし立ち上がったばかりのヴェスピーネの、その目と鼻の先にピンクは降り立ったのだ。言うなれば直ぐにでもヴェスピーネが強襲して来ないとは言えない状況だった。
蟲族は外骨格の為に衝撃には強い種族だが、それでも落ちた高さが高さ故にフラフラしていた。そして、ピンクに破られた羽を一生懸命羽ばたかせ飛び立とうとしていたが、飛べる筈もなかった。
拠って、強襲しようにも出来ない状態……ピンクがそれを見越していたのかは定かではない。
「キシャッ」
しゅっ
「遅い遅い!遅過ぎるッ!」
びりりッ
「キシャァァァァァァ」
先制はヴェスピーネが突き出した針だった訳だが、それを難無く躱したピンクはカウンターと言わんばかりにもう一枚の羽をその手でむしり取っていった。
その後にはお決まりの絶叫のようなナニカ……。流石に蟲族の言葉は分からない。が、状況からして叫び声だと類推出来る。
「へぇ?いい声で鳴けるんじゃない。いいわぁ、もっと聞かせて?もっともっと、ちょうだい。アナタの断末魔の叫びでアタシを絶頂させてッ」
ざしゅッ
ばりッ
「キシャ……ギギ」
がりがりッ
びきッ
「ギシャ……キキキ」
ピンクの猛攻。それは甚振るように浅く緩く致命傷にせず、苦痛だけを与えるように全てピンクの“手”だけで行われた。ピンクの手刀で斬り付けられた外骨格は弾け、外骨格の裂け目からその中身を更に露出させ抉って行く。
その行動は異常としか言えない。ヴェスピーネはこの状況を不利と判断した様子でピンクと距離を取ろうとするが、そんな事をピンクが許す筈も無い。
離れても即座に距離を詰め、ピンクは生爪を剥がすようにジワジワとヴェスピーネを弄んでいった。
ぼたッぼたたッ
「キ……キキシャ」
「アッハハハ、マジウケる!何言ってるか全ッ然分かんない。でも随分と可愛らしいカッコになったじゃない?余分な腕もゴツい鎧もアナタには不釣り合いよ。さってと、そろそろ飽きたからとっとと終わらせてあげるわ。ちゃぁんと頭を切り開いてあげるから安心してイッてね」
「キシャ……」
しゅばんッ
「……アッ」
ころんっ
「へぇ?ちゃんと頭の中身……あんのね?」
ヴェスピーネとの闘いはピンクの圧勝に終わった。その残虐非道な闘いぶりを窺っていたのは、チッカでもテーバメでもセズーメでもなく、チッカに知らせる為に空を疾走っていたキーラスだった。
「ば……化け物……。あの将軍を甚振り殺すなんて……あの化け物を迎え入れてしまったのはワテクシ達の失策……急ぎチッカ様に知らせなければ!」
ピンクの尋常為らざる闘い方は……その嗜好が持つその残虐性は……一部始終を見ていたキーラスの身体を震わせていた。
ヴェスピーネが果てた頃に戦場では鏖殺が終わり、テーバメとセズーメが率いる部隊は城に戻りつつあった。そしてキーラスの部隊もまた城に戻る途上であり、一足早く城に戻ったキーラスは展望台で倒れているチッカを見付けたのである。




