第三戦闘配置 第二種戦闘開始 桃色装備第二弾
〜ピンクの場合 其の“ Ⅰ ”の“ ⅱ ”〜
「敵は弱いッ!臆するな掛かれーッ!」
鳥人族の城から数百mほど先では戦闘が繰り広げられていた。蟲族の混成群はひと塊となって城目掛けて飛翔しながら向かって来ており、空を黒く染め上げている。
対する鳥人族は少ない兵士を三つに分け、四刀聖の三人がひと塊の群れに向かって三方向から挟撃する手段に出ていた——
群れの正面から突っ込んで掻き乱して行くのは先陣を切るテーバメであり、セズーメは群れの左方から右方に向けて鮮やかに蟲族を屠って行く。残るキーラスは下方から攻め入り上方に向かって空を自在に駆け抜けて行った。
三名それぞれが率いているのはたかだか数百名の兵であり、対する蟲族は4000余り……。数で劣る闘いに於いて、皆が死力を尽くし獅子奮迅の闘い振りで蟲族の群れは刻まれ、その躯は眼下の大地へと降り注いで行くのだった。
絶対的な数の暴力に対して“苦戦”を強いられてはいたが、個体の力量に於いて鳥人族の方が勝っている事から快調な序盤戦だったと言える。問題は各々に疲れが見え始めた頃合いだった。
だがそんな中に於いて、二人の者だけは様子が違っていた……。
「伍の太刀・軽鳥!捌の太刀・嚇鳥!漆の太刀・影鳥!」
ずざざざざざざざざッざんッ
「やっぱりだ……技の威力が上がっている。以前までとは遥かに比ぶべくもない程に……一体何故?」
「テーバメ様、危ないッ」
「なッ?!上から奇襲……だと!?」
テーバメは何故だか分からない内に技の威力が上がっていた事に驚いており、戦場に於いて注意力が散漫になっていた。そして気付いた時には頭上から強襲して来た蟲族・アピスの針が自分の眼前にあった。
「死ッ!?間に合わ……」
ぱぁんッ
「なッ?!なんだコレはッ!アピスが破裂……した?」
ぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱぱッぱぁんッ
「テーバメ様ご無事ですかッ!こ……これは……一体何が?蟲族が次々に破裂して行きますが……」
テーバメは間一髪の場面でナニカに拠って救われた。鳥人族は自分の正中線に羽毛を纏っており、それが獣人族の体毛と同等の性質を持っている。言わば羽毛が鎧なのだ。
だが獣人族ほど毛深い訳ではない。拠って羽毛が無い部分にある肌の防御力は皆無に等しい。先程のように眼前に針がありそれが自身を貫けば致命傷にもなり兼ねないのである。
「おそらくだが……こんな芸当が出来るお方に心当たりは一人だけだ。某は“おねえさま”に生命を救われたのだな」
-・-・-・-・-・-・-
「こっからならイケそう!じゃ、いっちょヤったりますかッ!」
ぽちッ
しゃららららーん
ぼわんッ
「アタシの綺麗なボール!見せてやるしッ!第一球、突いて突いて前方転回か〜ら〜の〜……投げえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」
ドひゅんッ
アタシの武器その2。リボンの次はボール。アタシは元々、レッドとかブルーみたいに接近戦でビシバシ闘うスタイルじゃなくて、可愛い女の子らしく後方で応援……みたいなポジションをスポンサーは考えてたみたいな?
ちなみに殴られ役はイエローで、ザコ相手にドヤるのはレッドとブルー。ブラックは強火力で一気に殲滅みたいな感じ。
そう考えると、ブラックが一番カッコいい!やっぱりイケメンは違うしッ!“ブ”とか“ドーのテー”は非モテだからザコ相手しか出来ないってワケ!
そんな中で後方応援団の紅一点美少女ピンクことアタシは、スポンサーからたぁっくさん、武器をふんだくっ……じゃなかった、用意してもらったからカッコいいブラックと一緒にドンパチしてたみたいな?
「な……なんなのだ……アレは?」
「アレはアタシの綺麗なボールよ。自動追尾自動判定自動殲滅でザコを根こそぎ一網打尽にするアタシの武器。アタシの武器はまだまだあるんだからッ」
「みるみるうちに、蟲族が消されていく……だが何故蟲族共は破裂していくのだ?」
「さあ?アレはバイブするからそれで気持ち良くなって破裂してるんじゃない?」
アタシは武器の構造なんて知らないし!だから「なんで破裂するのか?」なんて聞かれても分かるワケないし!でもバイブするのはホント。もうピンポイントで当てれば気持ち良くなって、頭の中が蕩けちゃうんだからッ!
「セズーメ様!これは……蟲族達を壊滅させる程の技……なのでしょうか?」
「いいえ、これは恐らく、おねえさまの武器の力。でも討ちもらしたのが少し残っていますから、散開して鏖殺します」
「スズに付いて来た兵士達よ、聞きなさい!これは好機です。蟲族を一匹たりとも生かして帰してはいけません」
左方から入り群れの腸を食い破り右方へ到達しようとした矢先にセズーメ達は、数の暴力に圧殺されそうになっていた。
セズーメは必死に技を放ち、テーバメ同様に威力や精度が飛躍的に向上している事に気付いたのだが、それについて考えていられる程に蟲族の猛攻は緩くなかった。
拠ってテーバメ同様にセズーメの窮地を救ったのもまた、ピンクが投げたボールの力だった。
そして、ピンクが救ったのはもう一人いた。群れの下方から攻め入り上方に向かったキーラスである。
キーラスもまた数の暴力に屈し掛けていたが、突如として周囲の蟲族達が破裂した事に拠って、多少の傷を負ったくらいで助かっていた。
だが、そんなキーラスに対して追い打ちとも言えるモノが更に上空から降ってきたのである。
ひゅーるるるるるるるるる
どごんッ
ばがんッ
「ぐっ……。これは爆撃?更に上空に何かが?——ッ!?あれは、シンペトゥルム!まさかッ!この群れは囮……?本命は……城と城にいるチッカ様?そうか城を爆撃するつもりなのですね……。チっ……このワテクシが戦略で出し抜かれるとは……」
「兵士達よ聞きなさい。新手が更に上空にいます。ワテクシはチッカ様の元へと馳せ参じますので、兵士達は残りの蟲族達を鏖殺なさい!」
「はっ!」
キーラスが受けた爆撃は上方に向かったキーラスがいの一番に喰らった。そこには更に1000匹近い新手の群れがあり、その蟲族の六本全ての腕には爆弾が鈍く輝いていた。
蟲族との戦闘で手傷を負っており、爆撃までまともに受けてしまったキーラスだが痛む身体に鞭を打ち、チッカが後詰めで蟲族達を迎撃する予定の城へと急ぎ一路向かって行った。




