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【完結】魔石精製師とときどき魔王 ~家族を失った伯爵令嬢の数奇な人生~  作者: きゆり
第4章《旅立ち~獣人国ガルヴィオ》編

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第199話 潜水艇

 天気も良く、海も澄んではいるが、横穴に打ち付ける波は激しく泡立つ。そのせいか、横穴一帯の海面はあまり深くまでは見えない。

 こんなに見辛い海中でサパルフェンを発見することが出来るのか心配になるが、ひとしきり辺りを確認した後、私たちは湖に戻った。


 湖に戻り、少し遅い昼食として保存食を食べていると、ちょうど潜水艇を運ぶ魔導車が到着した。


 ヴァドが魔導車を運転してきた獣人たちに挨拶をしている。そして四人がかりで潜水艇を下ろし湖に浮かべる。

 潜水艇は球体の下半分ほどを隠すくらい水面に沈み、ゆらゆらと揺れている。


「今日はもう暗くなるからまた明日にでも一度潜ってみるか」


 ヴァドがニッと笑い、リラーナの目が輝いた。


「あいつらに海側で見張りを頼んだから、俺たちは湖の調査と待機だな」


 チラリと獣人たちに視線を投げたヴァドは手を振り、獣人たちも手を振り返したかと思うと四人とも海へと向かって行った。


「明日はじゃあ一度潜ってみるのね!?」


 リラーナが興奮気味にヴァドに詰め寄る。そんなリラーナの姿に笑いつつ、ヴァドは頷いた。


 そしてしばらく野営をすることになりそうだ、ということで、寝袋や夕食の準備に入る。ちなみに魔導車でやって来た獣人たちも常日頃から野営出来るだけの準備はしてあるのだそう。普段から余程ヴァドに無茶ぶりされているのかしら、と心配になるわね。


 これからの予定を話し合いながら夕食を準備。明日はヴァドとオキとリラーナが潜水艇で湖底へ。私とディノとイーザン、ついでにルギニアスもだが、陸上でもう少し湖の周りを調査することにした。それと湖底に魔力感知を行いつつ、いつでも対処出来るように魔力の動きがないか注意しておくことに。


 夜になると森のなかは静まり返り、微かに海の音が聞こえて来た。星空が広がり、辺りには魔導具のランプの灯りだけ。

 時々現れる野獣などの対処をしつつ、ヴァドは捕まえた野獣を豪快に焼いて食べていた。夕食を終え、片付けをしてから二人交代で休んでいく。ヴァドとオキ、リラーナとイーザン、私とディノ、ルギニアス付き。


 ルギニアスは小さくなり私の肩に乗りつつ見張りをしていると、ディノがルギニアスを見て笑った。


「サパルフェンがどんなやつか知らんが、ルギニアスがいたら俺たち必要なさそうだよな」


 そう言いながらアハハと笑う。ルギニアスはフンと興味なさそうに横を向いた。


「うーん、でもルギニアスって我慢出来なさそうだしねぇ。魔石を精製する前に消されても困るし……」


 チラリとルギニアスを見たら、ビシッと頬を叩かれた。


「そんなことするか」

「えー、だって前に自分が攻撃したら辺り一面吹っ飛ぶって言ってたじゃない」

「あのときは……面倒だったからだろ。今は……」

「今は?」


 じーっとルギニアスを見ていると、チラリとこちらを見たかと思うと、ぐいっと顔を押された。


「なんでもいいだろうが」


 フンと鼻を鳴らしたルギニアスに笑った。そもそもルギニアスが見境なく一面を吹っ飛ばしたりなんかするはずがないことは分かっている。

 ドラゴンのときだって、魔傀儡のエミリーと対峙していたときだって、加減をしてくれていた。私が止めたら、攻撃するのだってちゃんとやめてくれていたし。


「フフ」


 そうやって笑っていると、ディノがなぜかじとっとした目でこちらを見ていた。


「ん? ディノ? どうかした?」

「……いや、別に……」


 なにやらふてくされたような、ムスッとしたようなそんなディノに首を傾げるのだった。




 翌朝、朝食を終えると、ヴァドが早々に潜水艇の準備を始めた。水面に浮かぶ潜水艇は湖岸にロープで繋がれている。それを頼りにヴァドは潜水艇の周りをなにか探しているのか、さわさわと触り出す。すると、ある個所で手が止まると、『ゴゴゴゴ』という鈍い音を立て、球体が上部から四角く開いた。果物の皮を剥くかのように開き下がって来た壁面は、水上で橋のように下がり切ると、湖岸と繋がった。


「おぉ」


 全員が声を上げ、ヴァドがその橋に乗り上げなかへと入った。私たちはそれを見守る。しばらくするとヴァドがなかから顔を見せ、ニッと笑った。


「良いぞ。リラーナとオキ、乗って来い」

「やった!!」

「はぁぁ」


 リラーナは意気揚々と駆け寄り、オキは溜め息を吐きながらやれやれといった顔で歩いていく。あまりに違う態度に笑ってしまった。


「さて、じゃあ、俺たちは湖底の様子を見てくるよ」


 ヴァドが残る私たちに手を振る。


「うん、気を付けて」


 手を振り返すと、ヴァドは奥へと消えて行った。そして再び『ゴゴゴゴ』という鈍い音と共に、潜水艇の扉が閉じた。



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