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私の幼なじみ  作者: 美咲優也
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初投稿です!

昔の作品ですが読んでもらえたら嬉しいです。


「ねぇ紗智、高橋くんって彼女居るの?」


 突然友人に聞かれた私、小島紗智コジマサチは眉をひそめた。


「高橋って、高橋春希?」

「そう♪ 春希くん」

「いないよ、いるわけないじゃん」

「いないんだ~」


 高校入学してから、幾度となく聞かれた質問。私は不思議で仕方なかった。


 高橋春希タカハシハルキ4月生まれの16歳、身長175センチ

体重60キロ、少し濃い目の茶色い髪に、顔は…、まぁ普通? 

 私の幼馴染の春希は、気が小さくて泣き虫な男の子だった。あ、子供の頃の話ね。

 今は泣く事はなくなったけど(たまに泣くけど)女の子に騒がれる様なタイプではないはず…。

 母親同士が親友で、生まれた時から一緒に居る私にとっては、最近の春希の人気っぷりに納得がいかなかった。

 クラスも分かれて、小学生・中学生の時みたいに四六時中一緒って事は無くなったにしろ

 家は隣でほぼ毎日顔を合わせる春希が、そんなに成長しているように見えなかった。


「高橋くんって、どんな子が好きなんだろ~」


 隣で妄想に夢膨らませている友人を見て、私は聞いてしまった。


「春希の何処がいいの?」


 友人はうっとりしながら


「かっこいい♪」


 そうか?


「紗智って幼馴染なんでしょ? いいなぁ~、あんなかっこいい幼馴染がいて」

「別に、春希が幼馴染でいいことなんか無いよ」

「えー? なんでー?!」

「なんでって…。小さい頃は泣き虫だったし、よく近所の子にイジメられてたよ。

そのたびに助けるの私だったんだから」

「うそー、高橋くんそんな風に見えないよ~」

「見えなくてもそんなんだったんだよ」


 信じられないって顔した友人。私はあんたの見る目の方が信じられないよ。


 私、小島紗智﹙コジマサチ﹚7月生まれの15歳。身長165cm、体重……、秘密。標準より少し痩せてるって言われるわ。

 そう、痩せてるのよ! 黒髪のショートカット。周りからは「可愛いね」ってよく言われるわ。

 でも私は「可愛い」より「綺麗」って言われたいのよ!

 そんなことはいいとして、隣に居る友人の様に春希に恋心を抱いている女子は結構居るらしい。


「春希の何がいいんだかね~」


 夏休みも終わり、秋らしさがグッと出てきた今日この頃。衣替えをしたばかりの教室は、紺色のブレザーを着た生徒達でいっぱいだった。


 授業も終わり部活も早く終わった今日私は、寄り道もせずに家に帰った。


「ただいま~」


 玄関を開けると、そこには見覚えのある靴が一足。


 春希だ。


 私は居間の扉を開け中に入った。でもそこには春希は居なかった。


「あれ? お母さん春来てるんじゃないの?」

「おかえり、春ちゃんならあんたの部屋に居るわよ」


 夕食の支度をしていた母は、振り返りもせずに言った。


「は~? 何で?」

「眠いんですって」


 開いた口が塞がらない。眠いなら自分の家で寝れ!

 私は急いで自分の部屋がある2階に上がった。


 ――バタン!! 勢いよくドアを開けると、自分のベッドで寝ているかの如く、スヤスヤと熟睡している春希が居た。


 コイツ、よくも人のベッドで……。


「は~る~き~!」


 私は自分のカバンを放り投げ、寝ている春希にまたがった。


「……っ!」


 いきなり腹に乗られた春希は、苦しさから声にならない叫びを上げた。


「勝手に人のベッド占領した罪は重い!」


 私は両手をワシャワシャと動かしながら、春希の腹をくすぐってやった。


「うひゃひゃ! や、やめ、やめてくれ!!」


 くすぐりに弱い春希は、体をよじらせ涙目になりながら笑った。

 これでもか! ってくらいくすぐってやった私は、満足して春希を開放しベッドから降りた。


「思い知ったか!!」

「はぁ~」


 笑いつかれた春希は、腹を抱えながら一息ついた。


「なんだよ、別にいいじゃんか」


 ちっとも悪いと思ってない態度に、私は


「何? まだくすぐられたい?」


 手を再びセットして春希に詰め寄った。


「や、もういい。ゴメンナサイ」

「分かればよろしい」


 両手を下ろして、放ったカバンを机の上に乗せた。


「今日、帰りが早いね」

「今日は部活終わったの早かったんだ」

「早かったのか、遅ければもっと寝れたのに……」

 

 ボソっと言った春希の言葉を、私は聞き逃さなかった。


「何か言った?」


 少しトーンを落として言う。


「ううん、何も」


 引きつった笑いで、ごまかす春希。私は、春希の顔をマジマジと見た。


 コイツがもてるのが分からん。


 視線に気付いて春樹が首をかしげる。


「何?」

「ん、なんでもない」


 春希は、わ~っとあくびをしながら時計を見た。


「そろそろ夕食できる頃かな♪」

「何? 祥子﹙ショウコ﹚さん今日も遅いの?」


 祥子さんとは、春希の母親だ。


「そ、今日も帰りが遅いので千夏﹙チナツ﹚ちゃんの手料理ご馳走になりに来たの」


 千夏ちゃんは、家の母ね。昔からお互いの親を名前で呼んでいた。そうしないと親達が怒るのだ。

 ちなみに春希の父親は、智治﹙トモハル﹚さん。家の父の事は彰三﹙ショウゾウ﹚さんって呼んでいる。


 そして春希の予想は当たっていた。


『春ちゃ~ん、さっちゃ~ん、お夕食できたわよ~』


 下から母の声が聞こえてきた。


「やり! 俺腹ペコ!」


 言うなり春希はベッドからピョンっと飛び降りて、素早く下に向かった。


 お母さん、何故私より隣の家の息子の方を先に呼ぶのですか?


 ちょっと腑に落ちないが、私は春希に負けじと急いで部屋を出た。




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― 新着の感想 ―
[良い点] とっても良かったです!私はさちに向かって何で体重知ってんだっ!って誰もいないのにつっこんでしまいました。 [気になる点] 本当に良かったんですけど、もう少し続いてもいいかなーって思いました…
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