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【書籍9巻&ジュニア文庫2巻発売中】この世界の顔面偏差値が高すぎて目が痛い【web版】  作者: 暁 晴海
第二十章 帝国との対決編

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玉座の間

この世界の顔面偏差値が高すぎて目が痛い』9巻及び、ジュニア文庫2巻も発売中です。コミカライズ企画も進行中。よろしくお願い致します!

通販その他の情報は、活動報告をご覧になってくださいませ。


※書籍9巻の特典です※


◆書籍書き下ろしSS:『その雑草ホーリーにつき』

◆電子書籍書き下ろしSS:『クロス伯爵家の家令は見守りたい』

◆TOブックスオンラインストア特典SS:『いつか貴女に騎士の誓いを』

◆応援書店特典SS:『アンテナショップは「ぷるっちょ」と共に』

『…………!!』


重厚な扉が開き切った途端、そこから漏れ出てくる凄まじいまでの魔力と殺意に、思わずゴクリと喉が鳴った。


「……行くぞ」


けれども動揺しているのは私だけで、アシュル様を筆頭に、この場にいる全員が恐れる事無く、しっかりとした足取りで扉の向こう側へと踏み込んだ。


『これは……!中世のゴシック建築で造られたような……』


そこは黒を基調とした、まるで前世におけるノートルダム大聖堂のような荘厳かつ優美な装飾が施された巨大ホールだった。


勿論、大聖堂ではないので巨大なステンドグラスは無いけれども、天井もあり得ない程高く、あらゆる場所に芸術品のような彫刻と壁画が施されている。そして、巨大なシャンデリアを中心とした幾つものランプが薄暗い室内を照らし、幻想的な雰囲気を演出しているのだ。


そして、艶やかな漆黒のビロードに、血のように赤い深紅の刺繍が施された巨大な絨毯が、玉座が配された高御座へと向かい、一直線に敷かれている。


間違いない。ここが黒城の心臓部であり、歴代皇帝が座し辣腕をふるっていた『玉座の間』なのだ。


「――ッ!?」


私達が玉座に向け足を進める度、硬質なガラスが次々と割れていくような音が響き渡る。


驚いて周囲を見回してみる。でもどこにも割れている装飾品は無いし、そもそもこの部屋には窓が無い。だとするとこの音は一体……?


「オリヴァー。多重結界をそのまま展開し続けよ」


「御意」


――あっ、そうか!この音は、オリヴァー兄様が私達の周囲に張った防御結界が破壊されている音……!


という事は恐らく、この結界はクライヴ兄様やフィン様をもってして「えげつない」と評されていた、殺傷能力が桁違いなあの結界なのだろう。

でもその結界が絶え間なく破壊されていってしまっている。……つまりこの室内には、我々に対する明確な殺意と、それに見合った強大な魔力が渦巻いているのだ。


ふと、異質な気配が膨れ上がり、全身の肌が泡立つ。


「……あっ!」


すると、まるで闇の中から浮かび上がるように、私達が足を進める端から次々と、武装した騎士達がその姿を現していく。


「オ、オリヴァー兄様……!」


「しっ。大丈夫だからね、エレノア。……それと、ここで君の『力』を使ったら駄目だよ?」


息を呑み、動揺する私を見下ろしながら、オリヴァー兄様がフワリと、場違いな程優雅に微笑んだ。それに対し、条件反射的にコクコクと頷いてしまったが、何故ここで『大地』の魔力を使ってはいけないのだろうか?


「君の『聖女としての力』は、おそらく奴らに最も警戒されているだろう。同時に未知数であるがゆえに、迂闊に手を出せないに違いない。だからこそ、手の内は極力見せない方が良いんだよ」


「そうだな。ましてや、ここには『魔眼』の天敵である、『光』と『闇』の魔力を操る王家直系が二人もいる。下手にお前を攻撃して藪をつつく事になるより、既に属性が知れているアシュル達の方を集中攻撃してくるだろう。……その時こそ、お前の出番だ」


「オリヴァー兄様。クライヴ兄様」


そ、そうですよね!私の魔力、どうやら『魔眼』に効くみたいだし、相手がアシュル様とフィン様に集中している間に、花冠作って目潰ししちゃえばこっちのものだ!!


「ただし、ここでお前の能力を発揮するのは最終手段だ。我々の使命はあくまで、『邪神』を叩き潰す事だからな」


「は、はいっ!クライヴ兄様!」


「……残念ながら、この場に皇帝も『邪神』も居なかった。が、アシュルがこの場に俺達を導いたという事は、ここが『邪神』の元へ辿り着く最短ルートだという事……!」


空の玉座を睨み付けながら、クライヴ兄様が刀の柄に手を掛ける。見れば、アシュル様、フィン様、学院長様以外の全ての人達が、次々と抜刀ないし抜剣していっている。


そして、高御座にあと十数メートルで近付く……といったところで、闇のような人影が次々と浮かび上がる。そして、それは徐々に豪華な礼服を身に纏った壮年の貴族達の姿へと変わっていったのだった。


「――!?」


その誰もが、見事なまでの漆黒の髪と瞳を有している。しかも、その身の内から放たれる禍々しくも強大な魔力が、彼らが只者では無い事を証明していた。


「アルバ王国の者達よ。このような場所までようこそ」


私達が警戒しているなか、その内の一人が、貴族達の間から一歩前に進み出る。


「我が名はネイハム・ブルスロード。栄光あるこの大帝国にて、宰相の地位を預かる者。そなたらの来訪、心より歓迎致そう」


静かな口調でそう告げた後、ネイハムの漆黒の瞳は、まず王族であり天敵たる『聖』魔力を持つアシュル様とフィン様を見定める。そしてその後、後方にいる私を捕らえた。


『この人が……帝国の宰相!?』


痩身で、いかにも切れ者な文官……といった風貌。けれども、威風堂々と立つ姿といい、その身から溢れ出る覇気といい。アルバ王国の宰相閣下であるワイアット前公爵様と比べてみても、まるで遜色が無い。


彼の視線から私を隠すように、クライヴ兄様やアーウィン様達が私を腕に抱くオリヴァー兄様の前面に出た、その一瞬前。


「……『大地の聖女』。そうか、貴女が……」


『え?』


思わずといったように呟いたネイハムの言葉が耳に届く……が、その口調に僅かに違和感を覚える。


彼らにとって『大地の聖女』とは、彼らの祖先をこの大陸の果てへと追いやり、絶対神たる『邪神』を封印した忌むべき宿敵。……にもかかわらず、何故か彼のその言葉には、私に対する憎しみや悪意が一切感じられなかったのだ。


「帝国宰相ネイハム・ブルスロード。帝国へのお招き感謝する。……まあ、その招き自体が急過ぎた上に、有り得ない程の過分なもてなしを受けた。それゆえ、このような場に見合う出で立ちではなくなってしまったが、その事については目くじらを立てないで頂きたいところだ」


アシュル様。『まったくもって、よけいな事しやがって!このクソ野郎共が!!』という罵詈雑言を、思い切り貴族言葉に変換しましたね。そして確かに、私達かなりボロボロですよね。


でも、ご安心ください。皆さん、たとえ服がズタボロであろうと埃まみれであろうとも、その美しさは少しも損なわれていませんから!


「……ふ、言いよる。アルバ王国の男と言えば、清廉潔白、品性高潔を謳い、どんな悪辣な女であろうとも女神と同様に崇め傅く。そのような腑抜けた面白味の無い連中だとばかりと思っていたが。……これは、考えを改めねばならぬかな?」


うん、台詞の前半部分は、アルバ王国の男性達をよく表している。だけど、『腑抜けた』とか『面白味が無い』だとかいうディスり言葉の方はいらん!!


「は!生憎と、そのようなおめでたい思考回路でいては、生存競争を勝ち抜いていけないのでね」


アシュル様が、相手の言葉を馬鹿にするような口調で一刀両断し、オリヴァー兄様達もネイハムを睨み付けながら、同意する様に小さく頷く。


……でも実際のところ、アルバ王国の男性陣は真実己を律し、品性高潔かつ正々堂々と『種を残す』熾烈な戦いを繰り広げながらDNAを高めて続けてきたのだ。


だからこそ、他の追随を許さない程の優れた、全身が『美しさの凶器』とも言える男性達で溢れかえる、素晴らしい国となったのである!

女性が欲しくなったら、他所の世界からホイホイ泥棒していたあんた達とは根本的に違う!舐めないでもらいたい!!


……にしても、てっきり回廊と同じく、『問答無用!』とばかりに襲い掛かってくるものだと思っていたんだけど、まさかここにきて、アルバ王国Vs帝国の言葉攻めがくるとは思わなかったよ。ひょっとしたらこの世界、高位貴族同士では万国共通このやり取りが様式美なの!?


「それと我々も、帝国の連中は自分達以外の者は『利用する為の家畜』と信じている、自称『尊き血統』な外道ばかりだと思っているのだが。……これは考えを改めるべきかな?」


「……!!」


不敵な笑みを浮かべながら発せられたアシュル様の挑発に、四方八方から凄まじい殺気が魔力と共に噴き上がった。


私の方からは見えないけど、特にネイハム達の方からの威圧が凄まじく、オリヴァー兄様が張った多重結界が一斉に音を立てて消えていく。


「……そろそろ、このような不毛なやり取りは止めるとしよう」


「それはそうだな。我々もこの後、『邪神』の討伐に向かわねばならないからな」


「戯言を。我らが神の御許に、貴様らを行かせるとでも思っているのか?それに、どうやって『魔神』様の元へ辿り着く気だ?我々の口を割らせようとしても無駄だぞ」


「割らせるまでもない。……フィン?」


「うん。だいたい当たりがついたよ」


フィン様の言葉にハッとして周囲を見回す。するとフィン様の足元を起点に、極細の糸のような『闇』の触手が、薄暗い室内に溶け込むように張り巡らされているのが見えた。そしてソレは、瞬く間にフィン様の元へと戻り消えていく。


「――!!……なっ!?」


ひょっとして、アシュル様がネイハムと言葉の応酬を繰り広げていたのは、この謁見の間から『邪神』の元へと向かう場所がないかをフィン様に探らせていたから?


「……『闇』の第三王子か。小賢しい真似を……!!」


今までの余裕をかなぐり捨てたような、ドスの利いた憤怒の声が聞こえてくる。


「小賢しい?何言ってんの?気が付かない方が大馬鹿なんだよ。自称『高貴な血統』も本当、たいした事ないね。まあ残念な事に、攻撃に転じたりしたら速攻でバレちゃうから、探索に絞るしかなかったんだけれどもね」


フィン様の煽りスキルに、ネイハム達の怒りが最高潮に高まる。


「ほざけ!貴様らはこの場で処断する!!『魔神』様と魔王様の元へは行かせぬ!!」


言い終わると同時に、オリヴァー兄様が張り直したばかりの防御結界がドロリと溶け落ちていく。


「――ッ!!」


その瞬間、溶けた結界の穴から全員が飛び出した。……が、結界を溶かしたマグマのように赤黒い塊が、すかさず私達に向かって襲い掛かってくる。


「クロス伯爵令息!姫騎士様!!」


オリヴァー兄様が『火』の魔力をぶつけようとしたその時だった。騎士の一人が私達を庇うように前に立つと、自身の魔力を込めた刀でもって襲い来る塊を切り捨てようとする。だが、刀がソレに触れた瞬間に溶け消える。


「!?」


そして塊はそのまま、まるでスライムのように騎士の身体を覆った。すると一瞬で、騎士の身体が崩れ消滅してしまう。


「――なっ!?」


「――きゃあっ!!」


見れば、騎士の身体を跡形も無く消滅させた赤黒い塊は、私達だけでなくアシュル様やフィン様にも迫っていた。ヒューさんとマロウ先生が『風』の結界を張り、魔力で切り刻もうとしても、それらは切り刻まれた端から無数に分裂し、周囲に襲い掛かってくる。


しかもその攻撃を合図に、その場にいた騎士達が次々と襲い掛かってきた。


「皆、下がれ!奴の『魔眼』の能力は『溶解』だ!!『風』の魔力での攻撃は即刻中止し、防御に全集中せよ!他の者達もだ!!いいか!奴の魔力に触れたら終わりだぞ!!」


学院長様がそう叫ぶと、床に敷き詰められていた魔鉱石を『土』の魔力で瞬時に溶解する。そして液体状になったソレでもって、次々とネイハムの赤黒い魔力の塊を包み込み封じ込めていく。更にはネイハムを含めた高位貴族達をも、次々と封じ込めていった。


『……す、凄い……!!「土」魔法を極めると、このような戦い方が出来るのか!!』


「流石は学院長!……成る程。確かにあの男の魔力に触れても、床は溶けていなかったな」


オリヴァー兄様の感嘆混じりの呟きが耳に届く。成る程、学院長様はその一瞬を見極めたのか。


「……尤も奴が本気を出せば、あの防護壁もいずれ溶かされてしまうだろうが……」


オリヴァー兄様がそう呟いたのと同時に、学院長様が声を張り上げた。


「アシュル!フィンレー!お前達の能力は、この場で使わず温存せよ!!私が抑えている間に、エレノア嬢と共に行け!!他の者達は、宰相と高位貴族達を防護壁ごと斬れ!!」


「大叔父上!!……フィン!!」


「うん、分かった!こっちだよ!!」


学院長様に封じられたネイハム達を守ろうと、次々と襲いかかってくる帝国の騎士達を、アルバ王国の騎士達と共に、ヒューさん達やアーウィン様方が倒していく。


そんな中、クライヴ兄様とマテオに護衛されながら、私とオリヴァー兄様がフィン様の後を追おうとした次の瞬間。轟音と共にネイハム達とその魔力を封じ込めていた防護壁がバラバラに刻まれ崩れ落ちた。


「……残念ながら、この先へは一歩も行かせぬ」


土埃の中。そう言い放ちながら、私達の前に漆黒の鎧を身に纏った騎士が一人、姿を現した。


最強クラスの護衛騎士、参戦です。


観覧、ブクマ、良いねボタン、感想、そして誤字報告有難う御座いました!

評価して頂けるとモチベに繋がります!

次回更新も頑張ります!

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◇書籍1巻表紙です◇
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◇書籍2巻表紙です◇
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◇書籍3巻表紙です
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◇書籍4巻表紙です
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◇書籍5巻表紙です
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◇書籍6巻表紙です
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◇書籍7巻表紙です
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◇書籍8巻表紙です
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◇書籍9巻表紙です
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― 新着の感想 ―
シリアス:なにが知らない人だ‼‼‼私のシリアス力(チカラ)を舐めるな‼‼‼邪神だけではない‼魔王だけではない‼宰相だって、いや、帝国そのモノがシリアスだ‼ エレノアちゃん:やめて‼それ以上シリアスに…
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