ジ●リ的なアレ
※残酷な戦闘シーンがあります。ご注意ください。
この世界の顔面偏差値が高すぎて目が痛い』9巻及び、ジュニア文庫2巻も発売中です。コミカライズ企画も進行中。よろしくお願い致します!
通販その他の情報は、活動報告をご覧になってくださいませ。
※書籍9巻の特典です※
◆書籍書き下ろしSS:『その雑草ホーリーにつき』
◆電子書籍書き下ろしSS:『クロス伯爵家の家令は見守りたい』
◆TOブックスオンラインストア特典SS:『いつか貴女に騎士の誓いを』
◆応援書店特典SS:『アンテナショップは「ぷるっちょ」と共に』
大聖堂を飛び出した瞬間、高音の衝撃波を矢のように放つ者。ティルのように雷撃を放つ者。瞬間移動のような素早い動きで切り付けてくるもの。重力を操り剛腕をふるう者……と、帝国の騎士や刺客達は、己が持つ『魔眼』の力と属性魔法を遺憾なく発揮し、私達へと一斉に襲い掛かってきた。
「ヒューバード!マロウ!薙ぎ払え!!」
「「はっ!!」」
学院長様の下知を受け、ヒューさんとマロウ先生が左右から同時に、『風』の魔力でもって敵を吹き飛ばした。……しかもご丁寧に暗器を混ぜて。
一瞬、私達の周囲から敵がいなくなった。と同時に、学院長様が掌に魔力を込め、地面に手を突く。
「大地に眠る熱き力の源よ 我が身の盾となり鉾となりて敵を滅す力となれ。『堅牢なる守護者』
学院長様の詠唱の後、まるで防波堤のように地面が地響きを上げ、私達を囲むように盛り上がっていく。そして防波堤は、天高く聳え立ったと同時に無数の石礫に変化すると、外側に向け、まるで弾丸のように打ち放たれたのだった。
凄まじい轟音と土埃。そして怒声と悲鳴が周囲に響き渡る。
その威力は凄まじく、ヒューさん達の攻撃を免れた敵の殆どが攻撃の餌食となって討たれ、僅かに生き残った者達も、騎士達が瞬殺していく。
すかさず、オリヴァー兄様が私の顔を自分の胸元に押し付けた。……うん。チラリと見ましたが、直視するにはちょっとアレな光景ですもんね。お気遣いありがとう御座います。
それにしても学院長様。普段は荒事とは無縁とばかりにおっとりとした雰囲気なお方なのに、いざ戦闘となった途端、この凄まじくも容赦のない攻撃……。流石は王家直系!!そして長年に渡り学院長を務めているお方だ!!
「大叔父上が血路を開いてくださった!このまま城内に一気に突き進むぞ!!」
「「「「「「「はっ!!」」」」」」」
アシュル様の号令に、全員が『黒城』へと侵入し、疾風のごとき速さで城内を突き進んでいく。
当然と言うか、城内を守っていた帝国の騎士達が私達を止めようと襲い掛かってくるが、身体強化を使って駆け抜けていくアルバ王国の精鋭中の精鋭達に、ある者は『魔眼』を発動する間も無く弾き飛ばされ、ある者はそのまま刃の餌食となる。
ただし、アシュル様とフィン様は『邪神』と対峙した時の攻撃の要である為、体力と魔力を温存しなくてはならない。その為、攻撃はもっぱら、学院長様を筆頭に騎士達、『影』であるヒューさん、マロウ先生、シーヴァー様が行っていた。
勿論、それは『大地』の魔力を持つ私にも言える事で、クライヴ兄様を筆頭にマテオ、アーウィン様、ジルベスタ様、そして彼らの指揮下に入った騎士達が、私と私を抱いて走るオリヴァー兄様を護りながら戦ってくれている。
あ、因みにですが、オリヴァー兄様もただ守られているだけではなく、遠隔操作で暗器を投げつけてくる帝国の刺客の目を一瞬で蒸発させちゃったり、クライヴ兄様が騎士と切り結んだ瞬間、相手を火だるまにしたりしている。
そして、「流石はオリヴァー・クロス!『影』以上にえげつなくも容赦ない蹂躙っぷりだ!!」と、傍で並走していたマテオに絶賛(?)され、静かにブチ切れていた。
オリヴァー兄様。あれって『影』であるマテオなりの褒め言葉だと思いますから、ここは素直に受け取っておきましょうよ!
『それにしても……』
この城内の誰もが『魔眼』持ちだと聞いていたし、実際、シリルやその配下であったアリステアは凄まじい力を持っていたけど……。今対峙している者達に関して言えば、どう見てもアルバ王国の精鋭達よりも力が劣って見える。
それに引き換え、同じ『魔眼』持ちであったボスワース辺境伯は物凄く強かった。
なんせ不意打ちだったとはいえ、あのグラント父様を戦闘不能にした挙句、クライヴ兄様とアシュル様の二人がかりでなんとか互角に戦えたぐらいなのだから。ひょっとしたら、シリル達よりも強かったのではないだろうか。
一体、その差はどこから……。
『……あっ!そういえばボスワース辺境伯って、同じ「魔眼」持ちでも、帝国民じゃなくてアルバ王国の人間だったっけ!』
そうか。いくら同じ『魔眼』持ちであったとしても、片や日々ストイックに精進し続け、魔獣討伐や国境線上における隣国との紛争に明け暮れる歴戦の猛者(しかも、レディーファースター魂を持つ選ばれしDNA保持者)。
そして片や、チート能力で労することなく人を操り陥れるのを得意とする、自称『尊き血統を持つ選ばれし民』。……成る程。そもそも素地から違い過ぎる。
そう一人で納得していると、クライヴ兄様が『氷』の魔力を乗せた刀でもって繰り出した斬撃により、次々と帝国の騎士達を凍らせていく。そこにすかさず、マテオが『風』の魔力をぶつけると、凍り付いた騎士達はそのまま氷の粒子となって、キラキラと輝きながら消滅していった。……不謹慎ながら、とても美しい連携技である。
対して、アーウィン様とジルベスタ様の連携はというと、これまた物凄い大技を次々とブチかましていた。
アーウィン様もジルベスタ様も、どちらも、オリヴァー兄様の『火』の魔力属性同様、『水』属性が血統魔法となっている貴族家の直系である。
けれども、ジルベスタ様のソレはクライヴ兄様と同様、『氷』という亜種属性に特化している。
『水』と『氷』。
『水』の属性の特徴でもある、質量と変幻自在さ。そして『氷』の属性が持つ圧倒的な殺傷能力。それらが合わさる事により繰り出される攻撃は、敵の外側だけでなく内側をも破壊出来るのだ。
たとえば、液体が瞬時に氷塊になったり、クラッシュアイスになったり。更には無数のマキビシ状の氷の粒子が混ざったフローズン状態の魔力が襲い掛かってくるのである。
もし仮に防御結界に特化した『魔眼』を持っていたとしても、ナノミクロン程の傷一つつけられてしまえば、『水』の魔力は容易く結界の中へと侵入してしまう。そして後は、『氷』を使ったスプラッタショーの始まり……という訳だ。
『こ……恐っ!!』
私は騎士達が、『内側』から無数の氷で串刺しにされている姿を見ながら震えあがった。騎士達は既に凍っていたから、スプラッター状態にならなかったのだけが救いである。
あっ!クライヴ兄様とマテオが「あれ、いいな」「試しにやってみるか?」なんて話し合っている!!あ、新たなる惨劇が誕生する予感……!!
『こ、こういった拷問系のえげつない攻撃って、「影」がよく使う戦法だったよね……』
そういえば以前、セドリックから「初めての授業の時、シーヴァー先生が『まだまだだね……。君達は半分も己を捨て切れていない』って言っていたんだ」って聞いた事があったんだけど、その『捨てきれていない』ものって、どうやら『騎士道精神』らしい。
アルバ王国って、『正々堂々相手を蹴落とす』ってのが国是ってぐらい、騎士道精神溢れる戦い方が主流なので、その『奇麗な戦い方』が『卑怯かつ汚い』戦い方を得意とする帝国と、相性最悪だったんだそうだ。
だからこその、『影』の戦法伝授だったんだろうけど……って、あれ?ヒューさんやシーヴァー様方、マテオはそもそも『影』だから、そういう戦い方は当然として、アーウィン様とジルベスタ様って教授枠だよね?
更にクライヴ兄様に至っては、オリヴァー兄様の護衛騎士として学院に通っていたんですけど……。いつの間に『影』の戦法を学んだんだろうか?
「エレノア。そもそも上位貴族の嫡男は皆、『影』の戦法を習得するのが義務付けられているんだよ」
すかさず、私の疑問を読み取ったオリヴァー兄様からのお言葉に、思わず「えええっ!?」と声が上がってしまう。
「次期家長となり、家門や領地を守っていく者は、清濁併せ呑む度量と実力が求められるからね。ああ、因みにクライヴだけど、幼少期の頃、いつの間にかグラント様に叩き込まれていたらしいよ?」
「うえぇっ!?」
オリヴァー兄様によればクライヴ兄様、『あのクソ親父の所為で、普通の騎士の戦い方に矯正するのが大変だった』って、滅茶苦茶ぼやいていたんだとか。グ、グラント父様。貴方って人は……!!
「――ッ!!」
咄嗟に、オリヴァー兄様が防御結界を展開した直後、一人の刺客が振り下ろした凶刃がその結界に弾かれ、そのまま後方に飛びずさる。
「オリヴァー!!」
咄嗟にクライヴ兄様とマテオがオリヴァー兄様が前方に躍り出ると、刺客に斬りかかった。……が、刺客は二人の刃を紙一重でかわしただけでなく、そのまま次々と分裂していく。
「分身……。ならば、全てを切り刻んでやろう!!」
その言葉の通り、マテオの『風』の魔力が増えた刺客達全てを切り刻む。……だが、切り刻まれた筈の刺客の姿はその場で霞のように溶け、消えていってしまう。
「――ッ!?」
「きゃあっ!!」
次の瞬間、私達に向け四方八方から暗器が飛んでくる。
幸いというか、オリヴァー兄様の防御結界が私達だけでなく、クライヴ兄様とマテオの周囲にも展開していたおかげで、暗器は私達に当たる事無く地面へと落ちていった。
「――チッ!『幻視』の類の『魔眼』持ちか!?」
クライヴ兄様が忌々し気に舌打ちする。先に進もうにも、どこから刺客が現れるのかが分からないので、迂闊に動けない。
『そうだ!こういう時はフィン様の「闇」の魔力で……って!いつの間にか、フィン様達の姿が見えない!!アーウィン様とジルベスタ様達も!』
いつの間に分断されていたんだろう。……いや、ひょっとしたらお互いを見えなくされているだけ……!?
「……今迄の『魔眼』持ちとは格が違うようだ。という事は、確実に中心部に近付いているって事だね」
「オリヴァー兄様」
――そ、そうか!本丸を守る人達だから、精鋭中の精鋭がいるって訳ですね!?
「ああ。十中八九、『魔眼』を使った目眩ましだろう。どうやら、同士討ちを狙っているようだな。相変わらず嫌らしい戦い方を仕掛けてきやがる!」
「クライヴ兄様……」
確かに。今迄は襲い掛かって来る敵をちぎっては投げ、ちぎっては投げしていれば良かったけど、『幻視』を使う相手に対し、闇雲に攻撃を仕掛けられない。下手をすればクライヴ兄様の言った通り、味方を攻撃してしまう事になってしまうのだから。
『こういう相手には時間をかけて対処すれば、いずれ突破出来るだろうけど……』
でも、ここで足止めされている間にも、帝国の崩壊は確実に進み、『邪神』の復活が近付いていってしまう。
『――!!そうだ!こんな時こそ私の出番!!』
『魔眼』持ちの天敵は『聖』属性。ならば、見えない相手だろうがなんだろうが、私の『大地の魔力』をぶつけたら効くんじゃないかな!?しかも彼らならば、確実に敵を捕らえ咲き誇ってくれるに違いない!
『本当は私の力、温存しなくちゃいけないんだろうけど……でも、少しぐらいなら……。それに万が一味方に向けて誤発射しても、花人形になるだけで実害は無い!!(筈!)』
「そうと決まれば……」
「エレノア?」
――とりゃっ!!敵の身体に満開になぁれ!!
そう心の中で祈った次の瞬間。つんざくような悲鳴と共に、複数の男達が両手で目を押さえ、「目が……目がぁ!!」と言いながら、ゴロゴロ転がってきた。よく見てみると、彼らの頭にはしっかりペンポポスミレの花冠が咲いていた。
……というか。
『リ、リアルラ●ュタ!!』
思わず「バ●ス!」と言いたくなるような、実にいいリアクションである。
「あっ!!」
視界がクリアになったと同時に、他の刺客達がアシュル様方へと襲い掛かっているのが見えたので、咄嗟に「ペンペン!!」と叫んだ。
すると、どこからともなく生えたペンペン達が、投げ縄のように刺客達の足を捕らえ、グルグルッと巻き付いた。
「えっ!?」
「なにっ!?……って、ぐわっ!!!」
突然の攻撃(?)に、刺客達は思わずつんのめり、ビターン!!と顔面から床に激突してしまった!あれは痛い!!
しかも、「次は我々だ!!」とばかりにタンポポとスミレが、のたうち回ったり、衝撃と痛みで動けなくなった帝国の刺客達の身体に次々と生えていき、その身体を瞬く間に花人形へと変えていく。
「ぐぅあああぁっ!!」
「うぐ……ぅ……!!」
刺客達は断末魔のごとき悲鳴を上げた後、ピクリとも動かなくなった。や、やったぞ!!……勝った!!
「あれ?」
ふと周囲を見てみると、学院長様もアシュル様達もクライヴ兄様達も、全員ガックリと脱力していた。いや、若干一名「さ、流石は姫騎士様!!尊い!!」って言いながら祈りを捧げている。……流石はマロウ先生。ブレませんね。
「……素晴らしいよエレノア。流石は僕の聖女様だ」
そう言いながら、笑顔で私を見つめるオリヴァー兄様。けれどもその笑顔、なんだかとても生温かい。しかもマテオに至っては「こんなにもアホで気の抜ける勝利は初めてだ」なんて言っているし!!みんな、酷い!!
雰囲気クラッシャーは健在です!
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