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【書籍9巻&ジュニア文庫2巻発売中】この世界の顔面偏差値が高すぎて目が痛い【web版】  作者: 暁 晴海
第二十章 帝国との対決編

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大精霊の緊急要請

ジュニア文庫2巻が発売となっております!

一巻同様、書籍版と違ったかっこ可愛らしい登場人物達や、書籍にはなかったシーンの挿絵なども多数掲載されております。

そして、書籍版も9巻まで発売されております。興味のある方は是非!!(詳細は、近況報告をご覧になったくださいね)

「何を考えているんだエレノア!!」


「その通りです!いくらここが帝国における『忌み場』であったとしても、首都……つまり、皇帝の膝元でそのような事をすれば、あ奴らにお嬢様の存在が知られてしまうやもしれません!!」


「そうっすよ、お嬢様!……お嬢様だけであれば、俺らが(タマ)張ってでもお守り出来るっすけど、ここには他にも非戦闘員(女子供)がいるんっすよ!?」


……予想どおり、オリヴァー兄様とイーサンから怒涛の反対を受けてしまった。というかティル。いつの間にゼフちゃん連れて、シレッと輪に混ざってきてんだ!


「エレノア、イーサンやティルの言う通りだ」


「オリヴァー兄様」


「こんな右も左も分からない……しかも、もし帝国の標的が君だったとしたら、そんな状況下で『力』をふるうのは自殺行為だ。それに君一人だけならともかく、チェルシー殿やゼフ嬢までをも守り抜く事は、現段階では非常に厳しいだろう」


「…………」


チラリとゼフちゃんの方へ視線を向ける。すると、不安そうな表情で私達のやり取りを見つめている姿が目に入った。チェルシーさんも同様で、そんな二人を安心させるように、ハーゲンさんが肩を抱いている。


オリヴァー兄様の言う通りだ。


ハーゲンさん達が帝国の追手から逃れられたのは、この霊園に飛ばされたからこそだし、正しい状況を把握出来ていない今の段階で目立った行動を取るのは、自殺行為に他ならない。


なによりここには私だけでなく、チェルシーさんとゼフちゃんという非戦闘員がいるのだ。いくら兄様やイーサン達が強くても、敵の本拠地(ホームタウン)という、魔眼持ちがワラワラいる場所での所在バレは絶対避けなくてはならない。その事は私だって十分理解している。


――……けれど……。


俯き、黙り込んでしまった私を、オリヴァー兄様は優しく抱き締め、宥めるようにそっと背中をさすった。


「君が、ここの女性達を救いたい気持ちは痛い程理解している。僕達だって、気持ちは一緒だ。でもまずは態勢を整えるところから始めよう。そして帝国を叩き潰した暁には、彼女達を開放してあげようね」


「……はい……」


オリヴァー兄様に諭され、無理矢理気持ちを飲み込もうとしたその時だった。


『いいえ!今すぐ彼女達を浄化してあげてちょうだい!!』


「「うわっ!!」」


いきなり頭上から聞き覚えのある声が降って来て、兄様も私も驚きのあまり、思わず声が上がってしまった。……って、頭上……!?


恐る恐る天井を見上げると……。そこにいたのは、キラキラと神々しく光る半透明の……カメ!?


「お、奥方様!?」


「大精霊様!?」


『ああ、良かった!ようやっと見つけたわ!!貴方達、全員元気そうね!』


そう言いながら、ふよふよと空中に浮かんでいる半透明の白いカメを、イーサンやティルだけでなく、ハーゲンさん、チェルシーさん、ゼフちゃんも目を丸くしながら見つめている。


ゼフちゃんに至っては、カメ自体を見るのが初めてだったようで、「変なボールが喋ってる……」と呟いていた。いや、ゼフちゃん。アレは無機物ではなく動物なんですよ。……え?なんで動物が空を飛んでいるのかって?まあ、厳密にいえば奥方様、動物ではなく精霊なんだよね。


というか奥方様。半透明という事は、今の奥方様って精神体なのかな?


『ええ、その通りよ』


私の思考を読んだ(であろう)奥方様が、コクコクと頷いた。……こんな時だけど可愛い。


『厳密に言えば、今ここにいる私は、ウラシマに憑依した精神体を分断したうちの一つね。本体は今現在、息子達やクライヴ君達のところにいるの!』


「――ッ!!」


ずっと気になっていた事が奥方様の口から告げられ、思わず息を呑んだ。


「アーウィン様方やクライヴ兄様達のところに!?お、奥方様!!皆は無事なんですか!?」


『ええ、安心しなさい。皆無事よ!』


その言葉に、私だけでなくオリヴァー兄様やイーサン達もホッと安堵の溜息をついた。……ん?あれ?ちょっと待って!!


「奥方様!皆はどこにいるんですか!?」


『エレノアちゃん達と同じく、この帝国にいるわ』


アッサリと告げられた新事実に、目が限界まで見開かれる。


「えええっ!!?わ、私達だけではなく、皆も帝国に!?」


「そんな……!!それは一体!?」


「大精霊様!それは誠で御座いますか!?」


私に続き、オリヴァー兄様やイーサンも動揺したように声を上げる。という事は、帝国の狙いは私だけじゃなかったっていう事!?


『ええ。寧ろエレノアちゃんがくっついて来たのは、あちらにとって想定外……いえ!それはひとまず置いておくわね。貴方達も色々聞きたい事があるだろうけど、とにかく時間がないの!だから急いで説明するわね!』


そう言って私達を黙らせると、奥方様は矢継ぎ早に説明をし始めた。


それによれば、突然王立学院に黒い城の一部が出現したのだそうだ。


その報は、ヴァンドーム公爵家並びにアストリアル公爵家にも速やかに伝えられ、奥方様はヴァンドーム公爵様と共に、いち早く王宮へと駆け付けた。

そして、状況確認の為に先発していたデーヴィス王弟殿下方やグラント父様、メル父様方を追い、王立学院へと向かったんだとか。


『私とアルロが到着した時には、既に百人以上の帝国人とおぼしき軍勢と王弟達が戦闘を繰り広げていたわ』


その帝国人達は、騎士服や魔導師は元より、一目で高位貴族達であろう事が分かる者達が全員、豪奢な漆黒の衣装を身に纏っていたんだそうだ。しかも女性達もそれなりの数がいた上に、全員が大なり小なり『魔眼』を有していたらしい。


普通だったら、そんな連中が百人単位でいきなり出現したら絶望しかないだろう。……だがそこにいたのは、天下のアルバ王国が誇る選ばれしDNA達。


国の頂点たる王族達に加え、『ドラゴン殺し』の英雄たるグラント父様。そして、『天災級』と称される大魔導師メル父様という、化け物レベルの戦闘力と魔力を持つ集団が相手だったのが、帝国軍にとっての悲劇だった。


アルバ王国側は、最初は様子見とばかりに、帝国軍をいなしながら戦っていたんだそうだ。


でも、帝国軍の大体の力量や戦闘状況を把握した瞬間、互角に見えた戦況をあっさりとひっくり返し、一方的な蹂躙に転じたとの事。


そもそも『魔眼』とは、精神感応系の魔力。


屈強で清廉な心身を誇るアルバ王国の精鋭相手では、壊滅的に相性が悪かったらしく、高位貴族であろう連中を守っていた騎士や魔導師達等は、瞬く間に殲滅させられてしまったんだとか。


そして決定的だったのは、雷撃の『魔眼』を使う若い青年の放った一言だったそうだ。


「この場にいた奴ら全員、今頃は帝国で嬲り殺しにされているだろうよ!!ハハハ!クソ女神の下僕共めが!ざまぁみろ!!」


その言葉に、奥方様含めたその場にいたパパさんズがブチ切れ、残っていた帝国人達を全力でフルボッコにしたんだそうだ。

勿論、抵抗したり攻撃を仕掛けた女性達も(奥方様が)容赦なく戦闘不能にしたとの事。まさにオーバーキル状態!


そして奥方様は、「ざまぁ」発言をしていた青年を「あの男、この一連の状況を知っているようだ」と判断し、水球の中に捕らえると凄まじい拷問を繰り返し、何故このような状況になったのかを洗いざらい吐かせたんだそうだ。


精霊の拷問……。な、なんか本当に凄そう……。


それによると、彼は帝国の第一皇子である事。そしてこの場の全員が、皇族かそれに準じる高位貴族達で、帝位継承権一位となった第三皇子セオドアが帝位乗っ取りを企てた事により、アルバ王国へと強制的に『転移』させられたんだとか。


しかもその際、第三皇子は『「こちら側」にやって来る者達は、我らが丁寧にもてなす』と言っていたらしい。


『第三皇子は「互換」とも言っていたらしいの。つまり、帝国の中でも選りすぐりの高位魔力保持者であろう者達百人以上。それに見合うだけの者達と「入れ替える」事で、彼等は王立学院に強制転移させられたんだと思うわ』


――ッ……。そんな……!!


だからこそ、崩壊した王立学院の中に生存反応が全く無かったのだと、奥方様は語った。つまりは『等価交換』の原理でもって、こちら側とあちら側の人員を入れ替えたって事なのか。


「……信じられない。そのセオドアという男、なんという凄まじい『力』を有しているんだ!」


オリヴァー兄様の言葉に頷きながら、奥方様は更にとんでもない事を口にした。


『でも、いくら稀有な能力を持っていたとして、そこまでの力を普通の人間が持つなんて有り得ない。……多分だけどその男、「邪神」の力も使っていたんだと思うわ』


「「「「「邪神!!?」」」」」


チェルシーさんとゼフちゃんを除いたその場の全員が、奥方様が放った信じられない言葉に驚愕する。


ち、ちょっと待ってください!『邪神』って確か、遥かなる昔。『姫騎士』によって倒されたっていう、魔族達を統べていた神の名前ですよね!?


『そこら辺のところは、あの男……第一皇子は詳しくは知らないみたい。ともかく私は、その事実を国王に伝える為、戦闘から一抜けしたの』


そして息子達の無事を確かめる為、奥方様は単身、精神体で帝国へ飛んだ……のはいいんだけど、『邪神』の張った魔力の壁を強引に突き破ってしまった結果、魔力の大部分を消耗してしまい、危うく消滅しかけちゃったんだそうだ。奥方様……無茶しちゃダメですよ!?


そんな奥方様だったが、私が王立学院の至るところに付与していたペンポポスミレの魔力により魂の消滅を免れ、更にアシュル様の『光』の魔力に治癒され、無事復活したとの事。


しかも、そのペンポポスミレの魔力が結界となり、今現在クライヴ兄様達を『邪神』による魔力干渉から守っているんだとか。おおっ!なにげに凄いなペンポポスミレ!!


それを聞いたイーサン、目頭をクッと指で押さえながら、「流石はエレノアお嬢様……!その類まれなる御業、まさに女神様の御使い……いえ、女神様の化身とも言うべき尊さです!!」と滂沱の涙を流しながら床に片膝を突いている。


そんな上司(イーサン)を見ながら、「これが、ティルの言うところのガチ勢……!」と言ってドン引きしていたハーゲンさんが印象的でした。


うん、でも頑張って付与しておいて本当に良かった!まさに『備えあれば患いなし』だね!


『エレノアちゃんもこっちに飛ばされたって聞いた時にはビックリしたわ!でも、エレノアちゃんの眷属であるウラシマに憑依したから、エレノアちゃんが無事なのは分かっていたの。エレノアちゃん命の激ヤバ筆頭婚約者であるオリヴァー君なら、絶対一緒にいると思っていたし。……でもまさか、こんなにオマケがいるとは予想外だったわ。きっと、主に対する執念が凄まじいのね』


オマケと呼ばれ、ムッとするかと思ったイーサンとティルだけど、「光栄です」「あざっす!」と、寧ろ誇らしげだった。オリヴァー兄様も「当然です!」とばかりに表情がドヤっている(気がする)。……そろそろ、クライヴ兄様の容赦なきツッコミが懐かしく思えてきました。


そんなこんなで、奥方様は皆の要望を受け、アシュル様の『光』の魔力で精神体を保護してもらいながら、私の気配を探していたんだそうだ。


「大精霊様!ではクライヴ達は、皇帝達が住まう『黒城』にいるのですね!?」


『ええ。アルバ王国側では、敵陣営を制圧しだい、帝国に援軍を送る事になっているの。……でも、いくら『大地の魔力』の結界だとして、「邪神」相手にいつまで保つか分からないわ。今も一部、付与が甘かった箇所から崩されていっているもの』


「――ッ!!」


その言葉を聞き、自分の身体から血の気が引くのが分かった。オリヴァー兄様も顔色を変え、驚愕の表情を浮かべる。


「イーサン!ティル!今すぐ王城へ向かうぞ!!ハーゲン!お前はここに留まり、チェルシー殿達とエレノアを守れ!」


「「「御意!」」」


「オ、オリヴァー兄様!まっ……」


すぐにでも駆け出していきそうなオリヴァー兄様達を止めようとした瞬間、奥方様が放った魔力が兄様達の動きを封じた。


「――ッ!?」


「大精霊様!?」


『待ちなさい!今こちらに貴方がたが来たとしても、事態は好転しないわ!……それよりもエレノアちゃん』


「は、はいっ!?」


『さっきも言ったけど、今すぐこの場に彷徨う魂達を浄化してあげてちょうだい!!』


「……はい!?」


奥方様の言葉に、私を含めたこの場の全員が信じられないといった表情で宙に浮く白カメを見つめた。



エレ:「クライヴ兄様、カモン!」

クラ:「行けたら行っとるわ!!」


観覧、ブクマ、良いねボタン、感想、そして誤字報告有難う御座いました!

評価して頂けるとモチベに繋がります!

次回更新も頑張ります!

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