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【書籍9巻&ジュニア文庫2巻発売中】この世界の顔面偏差値が高すぎて目が痛い【web版】  作者: 暁 晴海
第二十章 帝国との対決編

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探す者とやってきた者

『この世界の顔面偏差値が高すぎて目が痛い』9巻発売中です!

通販その他の情報は、活動報告をご覧になってくださいませ。


※書籍9巻の特典です※

◆書籍書き下ろしSS:『その雑草ホーリーにつき』

◆電子書籍書き下ろしSS:『クロス伯爵家の家令は見守りたい』

◆TOブックスオンラインストア特典SS:『いつか貴女に騎士の誓いを』

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グン……と、今では慣れてしまった浮遊感の後、一瞬で視界が開けた。


「……ここは……!?」


視界に飛び込んできたのは、『豊穣を司る女神様の足元で祈りを捧げる聖女』を題材にした、巨大なステンドグラス。


彼女達の表情は、どこまでも荘厳でありながら優しく穏やかで。薄暗い大聖堂の中、ホッとするような温かい光を周囲に降り注いでいる。


「クライヴ!!フィン!!」


「クライヴ兄上!!」


名を呼ばれ、振り向いた先にいたのは、何時もの威厳に満ちた微笑ではなく、必死の形相を浮かべた親友(アシュル)と、同じく蒼白な表情を浮かべたセドリックだった。


「アシュル!それにセドリック!無事だったのか!?」


親友と弟の無事な姿に、クライヴが安堵の溜息をついたその時だった。


「……ちょっと、どいてくれない?重いんだけど」


「は?」


『下』の方から不機嫌そうな声が聞こえ、視線を下げてみる。するとそこには、自分の身体の下敷きになって不貞腐れているフィンレーの姿があった。


「うわっ!!も、申し訳ありません!!」


クライヴは慌てて飛び起きると、フィンレーの手を取り、慎重にその身体を起こした。


ザッと見た感じ、打ち身や骨折を負った様子はない。その事にホッと安堵した後、クライヴはフィンレーに対し、深々と頭を下げた。


「フィンレー殿下が助けてくださったのですね。感謝いたします」


「……君も、僕を助けようとしてくれただろ。お互い様だよ」


ガッチリと手を握り、互いを労い合う異色の組み合わせを、セドリックとアシュルが興味津々といった様子で見つめる。


「……アシュル殿下。なんかクライヴ兄上とフィンレー殿下、凄く打ち解けてませんか?」


「そ、そうだな。……まあ、二人とも元気そうでなによりだ」


が、次の瞬間。クライヴとフィンレーはお互いハッとしたように固まり、ザーッと青褪める。そして一瞬後、目にも留まらぬ早さでアシュルに詰め寄った。


「アシュル!!エ、エレノアが!!オリヴァーもここにいないんだよ!!どこいったんだー!!あいつら!!?」


「アシュル兄上!!どうしよう!!これって、魔眼の所為かな!?外の変な魔力の所為だよね!?あいつらぶっ殺せば、エレノア返ってくると思う!?ねえ!!?」


「お、お、お、お前ら!?や、やめ……ち、ちょっ!お、落ち着けっ!!と、いう、かっ!エレ、ノア……と、オリ、ヴァーが……ど、うし、たっ!?」


目を血走らせながら、支離滅裂な言葉を捲し立てる二人にガクガクと揺さぶられるアシュルは、舌を噛まないよう必死に声を上げ、なんとか落ち着かせようとする。だが、クライヴとフィンレーは益々ヒートアップしていってしまい、成す術がない。


セドリックや周囲にいた学院生達。そして教授陣が二人を制止しようとするものの、鬼のような形相のクライヴと、自分の背後に闇の触手を荒ぶらせているフィンレーを見た瞬間、『今、彼らに手を出したら一瞬で床に沈められる!!』と悟る。


その結果、誰もが二人を止められず、オロオロとその光景を見守るしか出来ずにいた。


「アシュル兄貴!!」


「アシュル兄上!カメが……って、クライヴにフィン兄上!?なにやってんの!?」


その時。血相を変えた様子のディランが、マテオを引き連れたリアムを背後に従え、こちらにやってくる。そして、クライヴとフィンレーに高速で揺さぶられているアシュルを見て唖然としたような表情を浮かべた。


王家直系二人の登場に、その場の誰もが「救世主が来た!!」と、胸を撫でおろす。


「おいおいおい!落ち着けよお前ら!!」


焦ったディランが、アシュルからクライヴとフィンレーをベリッと引き剥がした。そして、興奮し荒ぶっている二人の脳天に拳を叩きつけ、大人しくさせる。


「す、済まないディラン。ところでどうしたんだ?」


「あ、ああ。実は、ヴァンドーム公爵家のカメの色が緑から白に……」


「「!!?」」


途端、クワッと目を見開いたクライヴとフィンレーは、ディランを物凄い勢いで突き飛ばし、「母上ー!?」「母上!?お気を確かに!!」という声が聞こえてくる人だかりの先へと、文字通りすっ飛んでいった。


するとそこには、必死に呼びかけるアーウィンの腕の中で、仰向けになりながらグッタリと脱力している白いカメが一匹おり、それを目にしたフィンレーは、アーウィンの腕の中からカメをひったくった。


「ちょっと、カメ!!エレノアは!?エレノアがどこにいるのか、知ってる!?ねえ!!黙っていないで返事しなよ!!」


「公爵夫人!!事は一刻を争うのです!!知っている事を全て吐……お話しください!!!」


必死の形相でカメ(公爵夫人?)をガクガクと揺さぶるフィンレーと、その傍でやはり必死の形相でカメに話しかけているクライヴに、ヴァンドーム公爵家の兄弟達は一瞬呆然とした後、慌てて自分達のカメをフィンレーから奪い返した。


「ちょっと!!そのカメ返しなよ!!」


「返すわけないでしょうが!!」


「フィンレー殿下!!貴方、私達の母親に何してくれやがるんです!?」


「いくら王家直系でも、大精霊たる母に対し無礼でしょう!?」


「フィンレー殿下!!動物虐待とはいただけませんね!!」


白いカメを奪い返そうと、襲い掛かってくる『闇』の触手を、リュエンヌ(カメ)を庇いながら、アーウィン、シーヴァー、ベネディクト、はてまでは、カメを心の底から愛する男ジルベスタが、障壁や槍を『水』魔法で作りながら必死に応戦する。


その戦いの最中、ディランに羽交い絞めにされ、少しだけ正気に戻ったクライヴに事のあらましを告げられたアシュルは、顔面蒼白になりながら慌てて「フィンレー、止めろ!!アーウィン!!カメ……いや、公爵夫人をこちらに!!」と声を張り上げる。


「でも!アシュル兄上!!」


「いいから、鎮まれ!!……アーウィン!母君を!!」


「ぎ、御意!!」


ぐんにゃりとした白いカメを、アーウィンからそっと受け取ったアシュルは、自身の『光』の魔力を展開した。


「兄貴!?それは……!」


「黙れ、ディラン。今は非常事態だ。……それに、大精霊に並みの治癒魔法(ヒール)は効かない」


『聖女』アリアやエレノアが祈りを捧げる時と同様、眩い黄金色の魔力がアシュルの身体から腕の中のカメへと注がれていく。


その波動は、『聖女』が持つ『光』の魔力が放つのと同じもの。


それを『男』であるアシュルが放った事により、大聖堂にいる学院生達や教員達が驚愕の表情を浮かべながら、食い入るようにその光景に見入る。


……そうして暫く経った後。


固く瞑っていたカメの瞼がパチリと開き、澄みきった海のごときサファイアブルーの瞳が現れた。


「あらっ!アシュル君!?やだ!ひょっとして私を癒してくれたの!?ありがとー!助かったわ!!」


そう言いながら、ピッと片ヒレを上げた白いカメ……もとい、大精霊(リュエンヌ)の姿に思わず脱力しかけたアシュルだったが、すぐに真剣な表情を浮かべた。


「大精霊様!エレノアが……。いえ、失礼致しました。貴女様は今のこの状況、どこまでご存じでいらっしゃるのでしょうか?」


最愛の存在(エレノア)の安否を確認したい衝動をグッと堪え、現状報告を求めたアシュルに対し、白いカメ……もといリュエンヌはコクリと頷いた。


「ええ、まさしくそれを伝えようと、ウラシマに精神体を飛ばしたのよ!でもまさか、あんな『モノ』が復活していただなんて……!おかげでウラシマに憑依する前、ここら辺一帯に渦巻く邪悪な魔力から身を守る為に、魔力の殆どを失ってしまったわ!!」


「あんな……『モノ』?」


アシュルが眉を顰める。その姿を見ながら、リュエンヌが再び口を開いた。


「皆、落ち着いて聞いてほしいんだけど、貴方達が今居るのはアルバ王国ではない。……帝国よ」


「て、帝国!?」


アシュルの叫び声と同時に、大聖堂がどよめきに揺れる。


「そう。……しかも最悪な事に、ここは帝国の中で最も危険な場所……。皇帝や皇族が住まう『黒城』よ。貴方達はそこに、王立学院の一画ごと飛ばされたの」


大精霊の口から語られる、信じられない言葉の数々に、大聖堂の中は水を打ったように静まり返った。だが、「それとね……」と続けられた言葉を聞いた瞬間、大聖堂中の人間が凍り付いた。


「今現在、この帝国には『邪神』が復活している」


「『邪神』……だと!?」


「そ、そんな……馬鹿な!!」


「母上!!それは本当なのですか!?」


アシュルやクライヴ、そしてアーウィンの言葉に、リュエンヌはコクリと頷く。


『邪神』とは、遥かなる過去において魔族を配下とし、この世界の全ての種族を蹂躙及び支配しようとした、世の中に蔓延る全ての『悪』を凝縮し、具現化したような存在……と伝えられている。


だが、その存在と野望は過去の戦争において、女神の代弁者たる『大地の聖女』によって打ち砕かれ、滅ぼされたと言い伝えられていた。

そんな存在が、よりによって帝国と戦争中の今この時、この世に再び復活してしまったなどと、悪夢以外のなにものでもない。


「……アルバ王国の方には、まるで貴方達と交換するかのように、この『黒城』の一部と帝国貴族達が、王立学院に現れたの。……現在、あちらは王弟率いる王国軍と交戦中よ。だから、聖女アリアに頼まれ、私がこちらに駆け付けたの。……それにしても、まさか『邪神』が復活しているだなんて……。完全に誤算だったわ。流石の私も、『神』の名を持つ存在とまともに戦って勝てるとは思えない」


「そ、そんな……!!」


「我々は……どうしたら!?」


続けられたリュエンヌの言葉に、その場に絶望に似た空気が流れる。アシュル達やクライヴ達も、告げられた内容のあまりの重さに絶句した。……だが。


「でもまさか、エレノアちゃんまでもがこっちに来ているだなんて思わなかったわ!これも女神様の采配なのかしらね?尤も、『邪神』の力に弾かれちゃったみたいで、今現在ここにはいないみたいだけど」


「「「「「「「「は!!?」」」」」」」」」


再び言い放たれた衝撃発言に、その場の全員が目を丸くした。

カメの色=緑→白でした。

そしてエレノアですが、「お前、いらね!」とばかりに弾かれてしまったもようw


観覧、ブクマ、良いねボタン、感想、そして誤字報告有難う御座いました!

評価して頂けるとモチベに繋がります!

次回更新も頑張ります!

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◇書籍1巻表紙です◇
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◇書籍2巻表紙です◇
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◇書籍3巻表紙です
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◇書籍4巻表紙です
i806366

◇書籍5巻表紙です
i835027

◇書籍6巻表紙です
i890730

◇書籍7巻表紙です
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◇書籍8巻表紙です
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◇書籍9巻表紙です
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― 新着の感想 ―
リュエンヌ様の話を聞くと、エレノアはアルバ王国にいるのかと思いましたが..... エレノア....「お前いらねっ」ってされちゃったんですね....オリヴァー兄様がいないってことは、オリヴァー兄様強いか…
カメ様、実は緑と白のしましまとか水玉とか想像していたのは内緒(*ノωノ) でも、奥方様とウラシマ君がいてくれて心強いですね! 帝国側の戦力としては、こっちの方がヤバそうですし……。 エレノアちゃんは…
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