【登場人物紹介】
※ネタバレ要素があると思いますので、ご注意ください。
◇◇登場人物紹介◇◇
【バッシュ家関連】
●エレノア・バッシュ
バッシュ侯爵家の一人娘。ヘーゼルブロンドの髪と、インペリアルトパーズのような黄褐色の瞳を持つ美少女。『土』の魔力保持者であり、転生者。
9歳の時、唐突に前世を思い出す。元は日本人で『真山里奈』という19歳の少女だった。9歳までエレノアとして過ごした記憶や常識などを一切忘れてしまった為、無駄に顔面偏差値の高い男性陣に囲まれ、傅かれて奉仕される事にはいまだに困惑している。
前世において、彼氏いない歴=実年齢という喪女であった為、兄達の顔面破壊力にやられ、鼻血を噴く事もしばしば。周囲に常軌を逸した美形が多い為、自己評価が限りなく低い。エレノアを溺愛する兄達や父達の策略で、外に出る時はわざと不器量な外見にさせられている事も、自信が持てない一因となっている。だが、この世界の女性では有り得ないとされる、初々しさや恥じらいを持ち、更に優しく素直な性格な為、接する男性達のことごとくを虜にしている。
●オリヴァー・クロス
クロス子爵家の長男。カラスの濡れ羽色とエレノアに称される、艶やかな黒髪と黒曜石のような瞳の、絶世の美貌を持つ青年。『火』の魔力保持者で、エレノアの筆頭婚約者。
エレノアの異父兄であり、クライヴの異父弟。眉目秀麗で、知力、魔力、思慮深さは他に追随を許さず、社交界において「貴族の中の貴族」と称されている。若いご令嬢方の憧れを一心に受けるが、本人はエレノア一筋で、他の女性には目もくれない。
とても穏やかな性格で、全ての者に対して優しく丁寧に接するが、エレノアに害を成す者や、エレノアを奪おうとする者に対しては『火』の属性そのままに、容赦なく牙を剥く。実際は『火』の属性そのままの気性なのを、父親を反面教師に徹底的に自制しているとの事。(クライヴ曰く「かっこつけしい」)
父親の事は尊敬しているが、父親から受けるからかいに辟易しており、事あるごとに言い合いをしている。
●クライヴ・オルセン
オルセン名誉男爵の一人息子。輝く銀髪とアイスブルーの瞳を持つ青年。『水』の魔力保持者で、エレノアの婚約者&専従執事。
エレノアやオリヴァーの異父兄。オリヴァーの異母弟であるセドリックの事も、実の弟のように可愛がっている。
オリヴァーと張る程の怜悧な美貌を持っているが、母親を含む、女性全般を苦手としている。エレノアの事も最初は嫌っていたが、エレノアが転生者として覚醒した後、関係が良好となり、エレノアの婚約者となる。今では心の底からエレノアの事を愛しく想っている。
粗野でぶっきらぼうに見えるが、その実人情に厚く、優しい性格をしている。その為、リアムに対して冷たい態度に徹し切れていない。だが『敵』だと判断した相手には冷徹になり、一切容赦をしない。エレノア曰く「自分達兄弟妹、全てのオカンポジ」
『ドラゴン殺し』の異名を持つ英雄を父に持ち、剣技や武術に秀でている。また魔力量もずば抜けており、いずれ英雄の父をも超えると噂されている。父親は尊敬しているものの、うっとうしくも思っている。
●アイザック・バッシュ
バッシュ侯爵家の現当主であり、エレノアの父親。鮮やかな赤い髪とエレノア同様、インペリアルトパーズのような黄褐色の瞳を持っている。『火』の魔力保持者で次期宰相。
穏やかで優しい性格をしており、協調性と話術に長けている為、誰とでも上手く接する事が出来る。また、かなりの切れ者でもあり、現宰相のワイアットから直接次期宰相職を譲りたいと打診されていた。だが本人は「娘との時間が無くなる」と言って断り続けていた。
とにかく娘であるエレノアを溺愛しており、周囲をもドン引きさせる程のレベルである。
王家の信頼も厚いが、本人はエレノアを奪われるのを警戒している為、王家に対しては割と辛辣。というか、国王であるアイゼイアと常に「クビ上等!」なガチバトル(言い合い)を繰り広げている。
メルヴィルとグラントとは、王立学院時代からの親友。
●メルヴィル・クロス
クロス子爵家の現当主であり、オリヴァーとセドリックの父親。オリヴァー同様、カラスの濡れ羽色のような艶やかな黒髪と、黒曜石のような瞳を持っている。『火』の魔力保持者で、宮廷魔導師団長。
若い頃から、ご令嬢方やご婦人方の人気を独占している程、麗しい美貌と優雅な所作を持つ美丈夫で、魔力量もアルバ王国有数。アルバ王国を代表する実力者の一人と称されている。だが本人は煩わしい事や面倒事を嫌い、国から要請されていた宮廷魔導師団長の地位や爵位上げを断り続けていた。だが現在、「エレノアを守る為には、肩書はいくつあってもいい」と、そのどちらも受けている。
エレノアの事を実の娘のように可愛がっており、あまりの可愛がりっぷりに、オリヴァーから嫉妬される事もしばしば。
息子を揶揄う事が大好きな享楽主義者。グラントとアイザックとは、王立学院時代からの親友。
●グラント・オルセン
一代限りの名誉男爵の爵位を持つ、クライヴの父親。クライヴ同様、輝く銀髪とアイスブルーの瞳を持っている。『水』の魔力保持者で、軍部総大将(将軍)。
若い頃から、メルヴィルとご令嬢方やご婦人方の人気を二分する程の魔力量と美貌を持った美丈夫だが、本人は「女より魔物討伐」がモットーの、かなりの脳筋。
世界を股にかけた冒険者であり、ドラゴンを打ち倒した程の剣技を持つ『英雄』。その功績から一代限りの男爵位を王家から賜っていたが、それ以上の地位は「めんどい」「かったるい」と断り続けていた。だがメルヴィル同様、「エレノアを守り、尚且つ傍にいられる為」に、ずっと断り続けていた将軍職を拝命する予定。
メルヴィル同様、エレノアを実の娘のように可愛がっている。その上、息子を弄ってからかうのが趣味な為、クライヴから非常に煙たがられている。
メルヴィルとアイザックとは、王立学院時代からの親友。
●ジョゼフ・マーティン
バッシュ侯爵家の家令。白髪長身、初老のナイスミドル(エレノア曰く、イケオジ)
アイザックが幼い頃からバッシュ家に仕えており、エレノアの事は密かに自分の孫のように思っている。今現在の野望は、エレノアの子供が成人するまで傍にいてお仕えする事。常に冷静沈着に物事を取り仕切る、バッシュ侯爵家のオカン的存在。実はかなりの武闘派との情報アリ。
●ウィル・ブラン
オリヴァーとクライヴに付き従い、バッシュ侯爵家にやって来た、クロス子爵家の元騎士。父親はクロス子爵家の騎士団長。茶色い髪と目を持ち、『風』と『土(こちらはごく少量)』の魔力保持者。
オリヴァーの命令で、エレノア付きの従者となる。性格は非常に温厚で優しく、エレノアも「お兄さんみたい」と言って懐いている為、バッシュ侯爵家の使用人達から嫉妬される事もしばしば。(そういう時は、皆の知らないエレノアの小ネタを披露している)
エレノアの前世的に言えば十二分にイケメンだが、この世界の基準で言えばフツメンとの事。エレノアを心から大切に思い、見守っている。気遣い魔の苦労人。
【王室関係者】
●アシュル・アルバ
アルバ王国、現国王であるアイゼイアの嫡子で、第一王子。
輝く黄金色の髪と、アクアマリン・ブルーの瞳を持っている。全属性の魔力を持つものの、主である属性は明らかにしていない。
オリヴァーやクライヴと比べても遜色ない程の甘やかな美貌を持ち、文武両道のザ・王子様というべき存在。オリヴァー達と違い、女性への気遣いや扱いは完璧で、数多の女性達と浮名を流してきた。
友人であるクライヴに対してのエレノアの態度に立腹し、リアムのお茶会の際、エレノアを侮辱する形で意地悪をする。
●ディラン・アルバ
アルバ王国の第二王弟デーヴィスの嫡子で、第二王子。
燃える様な深紅の髪と瞳を持ち、野性味溢れる精悍な美貌を持つ美丈夫。『火』の魔力属性を持つ。
王宮内にいるより、王家直轄のダンジョンや、地方の視察に出向く事が多いアウトドア派。攻撃魔法や剣技に特化しており、将軍であるグラントを崇拝している。
●フィンレー・アルバ
アルバ王国の第三王弟フェリクスの嫡子で、第三王子。
漆黒の髪とエメラルドのような瞳を持ち、怜悧で理知的な雰囲気を持つ美少年。
他人に対してあまり興味を示さず、ほぼ王宮内にある自身の塔で、魔術の研究をしている。いわゆるインドア派。(ひきこもりとも言われている)
●リアム・アルバ
アルバ王国の第四王弟レナルドの嫡子で、第四王子。
強力な『風』の魔力を持つ者に顕われるという、晴れ渡る青空のような青銀の髪と瞳を持つ。中性的で「透き通るような」と称される程の美貌の持ち主である。魔力属性は当然というか『風』。その魔力量は、クライヴをも唸らせる程。
見た目の儚さに反して、かなりの天然。実直で素直だが、ぶっきらぼうな性格をしている(母親談)。10歳の時、自分の誕生祭を兼ねたお茶会で、複数のご令嬢達に絡まれている所をエレノアに助けられ、エレノアに対して興味を持つ。
◇◇世界について◇◇
この世界では、大陸はザックリと東西に分かれている。
東の大陸は、獣人やエルフ、ドワーフ、巨人族といった、主に亜人種達が暮らしていて、様々な種族が国家ないし集落を築いている中、身体能力が高く、好戦的な獣人達が大国として覇権を握っている。
西の大陸は主に人族が暮らし、大小様々な国家を形成している。エレノア達の住まうアルバ王国は大国と呼ばれている国の一つである。
どの国家においても、女性不足は深刻な問題で、人族においては大体50人に一人程度しか女性が生まれない。精力旺盛で繁殖能力が強い獣人達でも、女性の数は男性の1/2程度である。それゆえ一部の国家を除いて、どの国でも女性はとても大切にされている。
【アルバ王国】
別名『精霊が宿る国』と呼ばれている。西の大陸随一の大国。貴族達の統べる領地も、どの精霊が多くいるかで気候や風土が変わる為、特産品や伝統が各地域で全く異なっている。その為、他国からの輸入に頼る必要が無い、完全なる内需国家。
各地域で唯一共通しているのは、ダンジョンが他国に比べて非常に多いという事である。特にクロス子爵領はダンジョン発生率が突出して多く、その恩恵も莫大なものとなっている。
ちなみにバッシュ侯爵領は、通年通して温暖な気候と肥沃な大地を有し、穀物や果物の一大産地として知られている。エレノアはいずれ領内でお米を生産したいと目論んでいる。
アルバ王国は女性を大切にする国家の中でも、女性至上主義が徹底されている上、他の国で不遇を強いられた者や、犯罪に巻き込まれたりした女性の保護や受け入れも積極的に行っている。その為、他国よりも圧倒的に女性の数が多く、出生率も高い。
更に、少ない女性達に率先して選ばれ、次代に自分の血を残さんが為、容姿も含めた自分達の能力を向上させて来た結果、男性達の顔面偏差値が異常に高い国となった。それに対し、女性は容姿も能力も、平均してごく一般的である。
エレノアはこれについて、「雌に選ばれる為、たゆまぬ努力を繰り広げた結果、パプアニューギニアの極楽鳥や庭師鳥のように進化したのでは?」と自分なりに分析している。ついでに男性に比べて女性がごく一般的なのは「何をしなくても男性が群がるから、そういう意味で進化しなかったのでは?」と推測している。