我ら少年使節団!
ブクマ&評価、ありがとうございます!!もうすぐで100話(o(>▽<)o)
お待ちどう様です・・・・・・。
……な、難産でした(=△=;)
―――時は秋の終わりに遡る。
父様を通じて会議にかけてもらった案件は無事裁可された。
それにより堂々と慰問行軍を組むことが出来た私は、うちの子たちを二つのチームに分け、それぞれに大使としての役割を任せた。
夏に訪れた辺境の村々を回って、今度は炬燵や火鉢を広めるのだ。
使節の旗頭として再びラルフの名前を借りた。
クロシロコンビとロンをガオエル討伐した村へ、レイとユーリはレイの父親のベイン男爵に協力してもらって国内でも寒さの厳しい町村を回ってもらう。
此度の奉仕活動の目的は大きく二つ。
暖房器具の普及と冬ごもりに備えた食糧支援の二つ柱。……ついでに村民の健康状態と衛生状況を確認してもらう予定。何故ついでかと言えば、夏季に立ち寄った先々で簡易的な衛生講習を行っていたのでその成果が根付いているのかを知りたかったから。地域によっては真冬は雪に閉ざされてしまうので、交通流通が滞ってしまう前に対策をしておきたかった。日常に浸透してない場合は『衛生』という概念をもう一度説明しなければならない。
「えっ!! ナターシャ嬢も参加してるのっ!!?」
「ああ。私と共に打ち合わせしていたからね。きっと彼女も使節を立てて、殿下に協力しているのだと思うよ」
「そ、そんなぁ……」
移動中のベイン親子がそんな会話をしていたらしいけど、勿論私が知る由もなく。
はい、私はうちの子たちとは別行動です。シロクロにかなりごねられたけど、適当に担当を押しつけて逃げました。
二人には申し訳なかったけれど、自由に動きたかったことと、ちょっと危険な臭いがすることからうちの子たちを近づけたくなかったんだよね。
でもこうやって信頼を預けて色々分担出来るようになった事は正直とってもありがたかった。
平穏無事にみんなが学園ラブコメを送れるようにおばちゃん頑張るからね!
その為にもこの冬将軍との合戦に負けるわけにはいかないのです!!
「じゃ、私たちも出発しましょうか!」
招集した隠密部隊の人々を見渡してにっこりと笑った。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆
尾根から流れ落ちて出来た川は裾野に広がり、平野に住まう人々に恩恵を齎していた。
飲料水に、生活用水に、……人間の生活に欠かせない『水』。自然の恵みを享受しやすい場所に集落ができるのは当然だろう。しかし比例して自然の脅威とも身近に付き合っていかねばならないのだが。
そんな集落の一つ、やはり『辺境』と言われてしまうような場所に、件の『天罰』騒ぎの老婆の住まう村はあった。
「う~……遠かったぁ…………」
師匠と二人で先駆けて、漸く到着した村の前で馬から降りた私は大きく伸びをしながら深呼吸した。
「荷馬車、置いてきちまって良かったのか? 姫さん」
涼しい顔で隣に並んだソウガが私を見下ろす。
「うん。後続が到着する前に確認しておきたい事もあったし……」
川と山に挟まれたこの小さな村は、夏に訪れた山村とは離れた場所にあるものの雰囲気は類似しており、『昔語り』に採用した逸話を数多く仕入れられた土地でもある。
私は一先ず騎乗してきた馬に水をあげるべく村から一番近い川辺に向かった。
「……やっぱり、ここにも下りてきてるみたいね」
川を挟んだ向こう側。
山裾との境界線を越えた辺りから飛んでくる気配を察知して師匠に振り向いた。
「ああ。……ガオエル、だろうなぁ」
手のひらで庇を作った師匠が遠くを眺めながらぼやく。
続く異常気象の被害は尚も――人間以外にも――大きく響いているらしい。人里近くにガオエルがうろついている事が証拠だ。
もし奴らが敵意を剥き出しにしていれば、敏感な馬たちが警戒して騒ぎ出しただろう。しかし騎馬たちは大人しく水を飲みながらまったりしている。今すぐの危険はなさそうだ。
私も師匠の視線の先を暫く見つめていたが、斥候役らしき個体の気配が遠ざかったのをきっかけに村へと戻ることにした。
「村長さんに挨拶をしたら、皆が到着するのを待つ間村人たちの様子を見回りましょう。それ次第でこの後の立ち回りを決めるわ」
歩きながら師匠と簡単に打ち合わせつつ、私たちは村長宅を訪ねた。
「初めまして。私はナターシャ・ダンデハイムと申します。此度は王太子殿下の指揮する慈善活動の一環として慰問しに参りました。どうぞよしなに」
しゃなりと令嬢然とした礼をとった私を出迎えてくれたのは、めり込むように平伏した村長だった。
「技術支援も食糧支援も大変ありがてぇ。しかし無礼は重々承知の上で、早々にこの村から去っちゃあ貰えまいか……」
「え!? あの……、とりあえず顔を上げてください。理由を聞かせて頂けませんか?」
恐々と正座になった村長の顔色は真っ蒼だ。何かを堪えるように唇を噛みしめたまま俯いている。
「以前こちらの村に使者が訪れた際はとても良くして貰ったと聞き及んでおります。……こちら側に何か過失があってのことならお詫びいたしますわ」
「いや、それは無ぇです!!」
「では、何故に?」
村長の握った拳に更に力が加わる。尚も言い淀む彼の心中に心当たりがある私は、出来るだけ淡々と予想を口にした。
「……病、ですか?」
ズバッと持ちあがった村長の視線が何よりの肯定だった。
(間に合わなかった……)
私はバレない様に唇を噛んだ。でも手遅れでは無い筈。そう思い直して、今にも死にそうに瞳を揺らす村長に向かって優しく微笑んだ。……もう大丈夫だよと伝わるように。
「もうすぐ、医者と薬が到着します。どうか諦めないで。殿下は……国は、あなた方を悪夢から解放するためにこうしてやってきたのです」
信じられないものをみたように大きく目を見開いた村長に重ねて断言する。
「伝承されてきた呪いは解けますよ。……私はその為に来たのです。」
だから大丈夫。
強い意志を瞳に込めて、更に笑み零した。
前書き通り、難産でした。
メモはあるのにそれがなかなか文になってくれず、結局、書きかけのものも、話題メモも白紙に戻して執筆するという暴挙に出る羽目に。……作者の心的ダメージが大きいだけで大筋から外れてはいませんのでご安心を(苦笑)




