幼馴染
あ、あばばばばばばばば!!?
な、何かブクマ&評価がぐんと増えて・・∑(@△@;)
しかも【日間異世界転生/転移ランキング】45位辺りをウロウロしてるってどんな上昇率!!?
もう、どうしよう…。ジャンピング土下座で読者様たちを崇拝したい…
ありがとうございますっ!!今日も強く生きますっ(T▽T)/
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あわわ!?先程【日間異世界転生/転移ランキング】25位に!!?
しかも【日間総合(連載中)ランキング】244位!!?
あばばば!!ありがとうございます( ;∀;)あばばばばば
「は~、何だか懐かしいわねぇ」
優雅にお茶を啜りながらシルビアが零した。
「ああ、私はシルヴィーに盛大に殴り飛ばされたんだ。…あれは痛かった。」
ここは王宮のプライベートサロン。
クロードに招かれた私たちは、気持ちの良い日差しを浴びながらゆったりと過ごしていた。
「く~ちゃん、寂しい?」
「…まぁ、な。」
私たちがく~ちゃんに招かれて、三人での正式な初めましてをしてから二年半の時が経った。
私たちはもうすぐ8歳。兄様たちはやがて13歳。
…明日ラルフと兄様は寄宿学校へ旅立ちます。
―――シルビアとクロードの二度目ましてはシルビアの強烈なビンタから始まった。
潔く「すまなかった!!」と頭を下げたクロードを問答無用でぶっ飛ばしたのだ。
荒ぶるシルビアを何とか取り成し落ち着かせると、クロードが再びシルビアに向き直った。
「私は二度とナターシャをきずつけたりしない。ぜったいにまもりとおすために、つよくなるとちかう!」
シルビアにまっすぐ向かい合うクロード。その視線を真っ向から受け止めて、彼女は高らかに宣った。
「なにそれずるい!私もまぜなさいよ!!ナターシャをまもるのは私のやくめよっ!!」
二人が見つめあう。
ジリジリと瞬きもせず屹立拮抗している……
お互いの額がどんどん近づき、最早メンチ切りと化して、
――― ガ シ ッ !!
少年少女は力強く手を取り合った。
「あんた、なかなかやるじゃない。」
「シルビア嬢こそ。わたしたちは良き友となれそうだ」
(なんかく~ちゃんのセリフに不穏なルビが見えた気がする……)
……私は事の一部始終をただただ唖然と見守っていたのだった。
その日から二人は急速に仲を深めていき、今では「クロ」「シルヴィー」と呼ぶまでになっている。
実際この二人は割りと四六時中行動を共にしていた。何故なら、シルビアがクロードの稽古ごとに乱入し、自分も交ぜろと騒ぎ立てたからだった。
余りの駄々のこねっぷりに宰相――シルビアの父だ――が折れ、殿下と荒事に取り組むことを許可したらしい。…哀れ、シルビアパパ。
「シルヴィー、この後剣の手合わせをしないか?」
「良いわよ!何本勝負にする?今日こそ勝ち越してみせるわ!!」
こんな調子で仲良くしているので、最近ではすっかりシルビアがクロードの最有力婚約者候補などと噂されている。
へ?私?
私はほら、空気ですからお気になさらず~☆
私の隠密修行は順調に進んでいる。最近では『影を薄くする』術を覚えた。
私の周囲は煌びやかしい方たちばかりなので、雰囲気凡人になる事で見事に相手の印象に残らないのだ!
目立つ人々の会話に名前はよく出てくるし、ダンデハイム夫人の開催するお茶会などで確かに面識があるはずなのに記憶に残らない。
『幻のご令嬢』なんて面白い二つ名がささやかれ始めている。私の存在=レアポ○モン(笑)
「く~ちゃん、私、兄様の壮行会があるからそろそろ帰るわね」
キリが良さそうだと判断して退席を願った。
「あ、アーシェ!!…その、兄上が…帰る前に寄って欲しいと言っていたのだが……」
「ラルフが?…分かった。殿下の部屋で良いの?」
「ああ。…ちょっと待ってくれ。今先ぶれを出す」
私は迎えの使用人がくるまでクロードたちと過ごし、ラルフの部屋へと移動した。
「…何だか久しぶりだね、ナターシャ」
侍従の案内に従って入室すると、部屋の主は大きな窓の傍に佇んでいた。
一緒に領地に行った頃と比べてぐんと背も伸び、未だ主張している少年らしさの中には凛々しさが加わり、益々キラキラと正統派王子様然としている。昼過ぎの日差しを一身に纏って眩しいったらありゃしない。……私は思わず目を眇めた。
「こっちにおいで、君の好きな紅茶を用意してもらったんだ」
手招きに素直に従い、勝手知ったる談話室のソファに腰かけると、当たり前のようにすぐ隣にラルフが着席した。突っ込む人間は最早いない。…そのくらいに私たちの距離感はこれが普通になっていた。――パーソナルスペースさんは早々に仕事を放棄しました――私も今更気にしたりはしない。
「…はぁ。同じ立場のナハトもざまぁ!と思うけど、君のいない場所に約三年も閉じ込められるのかと考えると気が狂いそうだよ。」
私の頭を撫でながらラルフが言う。
「はいはい、私を精神安定剤にするのはそろそろ卒業しましょうね?
それに夏と冬の長期休暇には帰って来られるんでしょう?私だって兄様がいなくて淋しいんだから、文句言わないでくださいな。」
スルっとラルフの手の平が私の頬まで滑り落ち留まった。
「…私と会えないのは淋しくないのかい?」
不満ですと、ラルフが拗ねてみせる。
ラルフが感情を出せる場所はあまりに少ない。それを分かっているから、彼のこういう過剰な構ってアピールを厭う事はしなかった。
苦笑交じりに返答する。
「私もクロードも、大好きな兄様たちと暫く会えなくて淋しいですよ。…私たちは幼馴染ですから、ずっと一緒にいましたしね」
頬に触れる温もりにすり寄った。
最初こそ王様の思惑から用意された契約上の幼馴染だったけれど。
それでも胸を張って親しい友だと言えるくらいの濃密な時間を過ごしたと思う。
「聞きたかったのはそういう答えじゃなかったんだけど、ね…。」
触れられていた手が離れて、ラルフが何とも言えない顔で笑っていた。
「…じゃあ、どういう?」
「いや…、いいんだ。
実はね、寄宿舎生活が終わったら私は正式に立太子されるのだそうだ。」
「まぁ!おめでとうございます、殿下!!」
「おめでとう…か……
私はいつまで君のラルフでいられるだろうね…」
切なげに自嘲するその様に胸がざわつく。不明瞭な感覚に疑問を覚えた。
「いつまでも何も、私のものにした覚えは無いわよ?」
「相変わらず手厳しいね」
軽く睨めつければ、ラルフはいつもの調子でおちゃらけた。
「私は今心底クロードになりたいと思ったよ。」
「はいぃ?」
理解は不必要だとばかりにラルフはひらひら手を振っている。頭の上に疑問符が浮かぶが気にしない事にした。
「あ、そうだラルフ、これ餞別よ。勉強頑張ってね!!」
私はポケットからハンカチを取り出し渡した。
勿忘草の意匠を刺繍したものだ。我ながら結構良く出来たと思う。
「これ、…ナターシャが縫ったの?」
「そうよ!我ながら力作だと思うんだけどどう?」
「…期待しても良いって事なのかな?」
「何が???」
「はぁ……父上はどれだけ待ってくれるだろうか………」
要領を得ずまた疑問符だらけになったけれど、「大事にする」と笑ってくれたラルフに私もほっこり笑みを返した。
実は兄様にも同じ意匠の刺繍ハンカチを用意している。ラルフが好感触だからナハトもきっと喜んでくれるだろう。
「じゃあラルフ、私そろそろ帰らないと…」
兄様に怒られる、そう続けようとした時。
慌ただしく取次の使者が半泣きで助けを求めてきた。
「ナ、ナターシャ様!!ど、どうかお助け下さいぃ~~~~!!!!!」
私は頭をかかえ、溜息を吐いた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「はい、ストーーーーーーーーーーップ!!!!!!!!!!」
私は目にも留らぬ早業で仕合う二人の間に割り込む。
上段から袈裟切りに振りかぶったクロードの木刀を左に握った短剣で受け止め、それに対し右切上げで返そうとしていたシルビアの木刀を、右手に握った短剣で受け止めた。――短剣の鞘は付けたままである。
「「ナターシャ!!?」」
「今度は何が理由で喧嘩してるの?…訓練所の方々にご迷惑だからそろそろ止めなさい!!」
「「だってこいつがっ!!!!!」」
「や~め~な~さ~いっ!!!」
「「…ごめんなさい」」
しゅんと項垂れた二人に苦笑してしまう。
「はい、よくできました!」
素直に謝ったご褒美に二人同時に頭を撫でればすぐにご機嫌である。
「ああ!?ヤバい、ホントにもう帰らないと兄様にお説教されちゃう!!!」
ふと見えた訓練所の大時計の時刻に私は血の気が引くのを感じた。このまま悠長に帰りの馬車等々を待っていたら完全にアウトだ。
「ごめんっ!!ちょっと本気で帰る!!!二人とも、またね。…ラルフも、気を付けて!また会いましょう!!」
悪友二人に挨拶を告げ、ちょうどその時訓練所の入口にやってきたラルフにも手を大きく挙げて呼びかけた。
次の瞬間。
忽然とナターシャの姿が消えた。
「ナターシャは何を目指しているのだろうねぇ…。」
……ラルフの呟きは訓練所から見える高い高い空に吸い込まれて消えていった――――
ナターシャは着々と隠密スキルを身に着け、
クロード&シルビアは脳筋街道爆走中です。
クロ&シロ(シルビア)は頭に血が上ると所構わず暴れだすので、ナターシャはしょっちゅう王城に召喚されます。王子&公爵令嬢という権力満点の厄介な組み合わせなのです…。




