内緒の女子トーク
6/16の14時に前話を更新しています。
最新話から飛んでこられた方、ご注意ください。
(やだ~、何この子! 知ってたけど超絶かんわいい~~~~!!)
シルビアが私の事を大切に想ってくれてるのが解った嬉しさからほっぺちゅーで気持ちを表したら返討ちにあいましたナターシャです、鼻血でそう。
私は鼻から下を両手ですっぽりと覆いながら極上の笑みを浮かべたシルビアの可愛さにぷるぷる震えております。シルビア、恐ろしい子!
「それで結局ナターシャは誰が好きなの?」
突然のシルビアの言葉に私は動きを止めた。
自分の行動に満足したシルビアはさっさとソファに座りなおして茶菓子のマカロンを摘まんでいる。
「どうしてそんな話になったのかな?」
「え? 始めからでしょう?」
目をぱちぱち瞬きながらこてりと首を傾げるシルビア。大層可愛いけれど、そうじゃないんだ!
動揺しながらも――シルビアと視線を合わせたまま――私が対面に座り直すと、
「ナターシャの気持ちが解らないと、私もどう動くか決められないもん」
口先を尖らせてシルビアが呟く。
(もんってなんだ可愛いなちくしょう!)
「ええっと、シルビアが何を決めるの?」
途端、じっとシルビアが真顔を向けてきて若干尻込みする私。
尚も――私の真意を推し量る様に――じっとシルビアが見つめてきて、その真剣さに思わずゴクリと生唾を飲み込む。
時が止まったのかと思えるくらい長く感じる数秒間、私の瞳を覗き込んでいたシルビアがふうっと嘆息した。
「ねぇナターシャ、私たち、クロスネバーに入学して社交界デビューしたわよね?」
「そうね……?」
「学園を卒業したら大人の仲間入りじゃない?」
「そ、そうね?」
要領を得ない私にシルビアは困った子どもを見るような視線を向けてきた。
( ま さ か シ ル ビ ア に こ ん な 目 で 見 ら れ る 日 が く る な ん て !? )
ショックに打ち震える私にシルビアが話続ける。
「そろそろ本格的に婚約話がでてるんじゃない?」
何の感情も乗っていない声音。
すんと取り澄ましたままお茶を啜るシルビアを今度は私がまじまじ見返した。
「……シルビアは……どうなの……?」
「私? 私はこのまま何もなければクロと結婚するんじゃない?」
「そんな簡単に結婚って!? シルビアはく~ちゃんの事、恋人として見てはないでしょう!!?」
「そうね、家格の釣り合い的に婚約者として扱われてるけど、別にクロに恋はしてないわ。でも貴族の結婚ってそういうものでしょう?」
「クロの事は好きだしね」と事も無げに放つシルビアに絶句してしまった。
ナターシャとして生まれ変わって十数年。貴族文化も結婚観も解って過ごしていたけれど、その実、理解したつもりだっただけで根っこの部分は前世の価値観のまま生きていた事に気づいて頭を殴られた思いがした!
「クロから破談されない限り、私はクロと結婚することに異存はないの。その場合はうちへの婿入りだけどね」
さらりさらりと放たれるシルビアの言葉にガツンガツンと殴られて私のライフはもうゼロよ!
「それで、ダンデハイム家はどうなの?」
流れるように本筋へ戻したシルビアが微笑む。
成長が良く解る話術に舌を巻きつつ――若干の悔しさも抱いて――私はゆっくり目を閉じた。
「……うちの意向は何も出てないと思うわ。兄様の婚約者も決まってないしね」
暫し黙考したら心も落ち着いたみたい。
確信をもって答えた私に「フム」とシルビアが考える素振りを見せる。
「……ナターシャも好ましい人はいないのね?」
確認するように言うシルビアに苦笑が漏れた。
(私、うちの子の事ばっかり考えて、自分の事って二の次だったみたい)
「そうね、いないわ。……今後父様から縁談が上がって、それがうちの為になるものだったらきっとシルビアみたいに受け入れるでしょうね」
そうでもない限り恋愛も結婚も難しいと思う。
だって私の中身、中年だから! シルビアママより、何なら私の父様より年上だから、精 神 だ け は !!
とてもじゃないけどナターシャの同世代をどうこうって目では見られないよ……。うちの子攻略はステラの領分だし、ね?
「ふ~ん、解った。じゃあ、これだけは宣言しておくわ! この先、ナターシャが何を選んでも、私はナターシャの味方だから大いに頼ってよねっ!!」
フンッと薄い胸を張ってシルビアがふんぞり返る。
「ありがとう、シルビア。私だって同じ気持ちよ。もしシルビアに心から好きな人が出来たら教えてね。絶対に取り持ってあげるから!」
「ナターシャより好きになる人なんて出来ないから大丈夫よ」
シ ル ビ ア に キ ュ ン 死 に さ せ ら れ る っ !!
相思相愛を確かめあった私たちはふふっと笑い合って、和やかな時間を過ごしたのでした、マル。
末永くいちゃつけばいいと思う(真顔)
ナターシャが好き勝手してる間も、シルビアはずっと王城でお妃教育を受けています。
クロードとの不和も見られないので、ラドクリフ立太子後も、万が一の為に教育は続いているのです。それを真面目にこなすシルビアは偉い。
ナターシャは早々に逃げたけどな。
お陰様でまたしても日間ランキングにチラッとインしておりました!
ブクマ&評価、ありがとうございますT▽T




