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異世界転生したサポート令嬢はうちの子たちを幸せにしたい  作者: 神那梅雨
目指す願いのその先は……
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芽生え

じわじわ増えるブクマ&評価が何よりの励みです!お待たせしました!!

 放課後。

 ユーリに呼び出された私はサリュフェル家の馬車に乗せられ『木漏れ日の丘』へとやってきた。

 ……ナターシャとしてくることなんて滅多にないから妙に緊張するわね。反対に何だか楽しそうなユーリは卒なく私をエスコートして講堂内へと進んでいく。中で銘々の時間を過ごしていた利用者の方々の視線が一気に集まって居た堪れなく思うのを気合いで何とか押し込め平静を装った。


「あ、ユーリ!」


 いち早くユーリに気づいたミケルがすぐ隣の私を見つけてきょとんと立ち止まった。あれ?そういえば私、ナターシャとしてミケルと会ったことあったかしら?バザーに参加する時も、主催側としてベイン男爵と一緒に貴族方へと挨拶回りばかりだし。直接挨拶したこと……ない、はず。……あ、やばい。何か変な汗かいてきた。

 私は笑顔を貼り付けたまま制服のポケットから素早く扇子を取り出してサッと顔を半分覆った。瞬間、「あ」っと零したミケルが勢いよく頭を下げ、


「あ、あのっお嬢様!! いつも、お母さんがお世話になっています。ありがとうございますっっ!!」


 奇麗な直角に上体を折った姿勢のまま珍しく大声をだした。更にギャラリーの視線が集まる。


(ひゃああ~、注目するのは止めてぇぇぇ!!)


 心中でのたうち叫びながら私は細心の注意を払って『伯爵令嬢ナターシャ』を全身武装する。ふわりと笑んでミケルに話しかけた。


「あら? お母様ってもしかしてハンナかしら? 貴方はハンナの息子なの?」

「はいっ! ミケルといいます」

「そう、ミケル……ね」


 依然頭を下げたままのミケルへとゆっくりと近づき、下を向いたままの少年の頬に手を添えるとビクリとミケルの身体が強張った。


「顔を上げて頂戴。ハンナはとても良く働いてくれて助かっているの、ありがとう。私はナターシャというの。ミケルも私と仲良くしてくれると嬉しいわ」


 おずおずと顔を上げたミケルに腰を屈めて目線を合わせた。そのまま瞳を和らげると安堵したのか指先伝いにミケルが脱力したのが判った。


「はい、僕、お嬢様のために頑張ります!」


 今度はキリリとした顔でミケルが宣言する。

 私のため?……はて?と小首を傾げた所でユーリの声が届いた。


「はいはい、もういい?今日の本題はそれじゃないの。ミケルも、あっちでちゃんと自己紹介しましょ。―――もう、予定が崩れちゃったよ」


 ブチブチ言いながらユーリが再び私の手を取ると


「あ、僕、お嬢様着いたって伝えてくる~」


 頬を上気させたままミケルが素早く駆けだした。その背が見えなくなるまで待って、徐にユーリが私との距離を詰めて囁いた。


「ダンデはどこかで見ているのですか?」


 声を落として聴いてきたユーリに私はにっこりと笑む。


「ええそうね、きっと。だって私の影ですもの」


 大丈夫、嘘は言ってない! 内心冷や汗だらだらしながら平然と言ってのけた。


「そうですか」


 それきり特に突っ込まれる事も無く、ユーリはミケルの消えた方へと私の手を引き歩き出した。


★☆★☆★☆★☆★☆★☆


 大した距離は無いものの、少しでも早く皆に伝えたくてミケルは応接室へと駆けていた。心臓がうるさいのは全力疾走のせいだけではない。


 ―――ナターシャ様。心の中でぽつりと呟く。

 ダン兄ちゃんとお母さんのご主人さま。皆にとっても大切にされているお嬢様。そして―――僕ら親子の恩人。

 お母さんや皆から話だけは沢山聴いていたし、数度だけ遠目に見たこともある。その時は話に聞く通りの綺麗な人だなくらいのぼんやりした気持ちだった。でもさっき初めて間近で対面して、声を聞いて、滑らかな手で触れられて……。

 ああ、愛されるお姫様ってこういう人の事なんだってすとんと心に落ちてきた。悪い話なんて一つも聞かない清廉なお姫様。自然と慕わしさが沸いてきて、仲良くして欲しいと言われれば誇らしい気さえした。お母さんのこと、ありがとうって言ってくれたのも嬉しかった。それだけ。ほんの二三言しか話してないけれど、あっという間に僕はナターシャ様に仕えたいと思った。

 お母さんは側仕えとして身の回りのお世話をしているけれど、僕は男だから執事?

 ……執事になるのって難しいのかな?

 たまにシルヴィーのお家の執事さんが迎えに来るけど涼しい顔で何でも出来て凄いなって思うし、あ、ダン兄ちゃんと仲良しのユージンさんは文官って言ってた。文官って勉強沢山出来ないと駄目なんだよね?いや、僕はお医者様になりたかったんだから、勉強はもっとするつもりだし、あれ?お医者様になればお嬢様の専属になれたりするのかな?

 急速にナターシャを中心にしてぐるぐる回り始めた思考に振り回りされながら応接室の扉をノックした。


(まあいいや。今度マル爺とお母さんに相談しようっと。それよりも、ユーリに言われた()()ってやつをしっかり頑張ろう!そうしたらお嬢様が喜ぶんだ!!)


 応接室の中から応じる声を待ってミケルは扉を開けた。

あれ……?

何でミケルの話になっちゃんたんだ……?

書こうと思った所まで辿りつけなかったぞ……∑(・ロ・;)

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2020/6/26
あの、中年聖女がリターンズでございます!
新作☆中年『トーコ』の美食探訪!その二の巻
今日も元気だビールが美味い!~夏といえばビールでしょ~

+++

こちらも引き続きよろしくです☆

唸れ神那の厨二脳!
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『Re:トライ ~指名依頼は異世界で~』
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今日も元気だビールが美味い!

宜しければ是非応援してください☆
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