キビと伝播
中国の農業の初期はオリジナルだと言い切ってしまったが、実はもやもやはしてる。本当にそうか?小麦が中国に無いのは知っていた。だからこれは外から来た自信があった。この点中国の農業は初期以後の発展は、西から来た影響がものすごく多い。その点中華オリジナルには疑問を持った方が良い。
確かに中国政府は中華オリジナルを言い過ぎて、微妙に学問の冷静さが損なわれる部分がある。ただし微妙だ。ただ中国は少しだけそこが金をかけてる理由にはなってる。信頼できるデータだが、それでも何故この研究をしてるんだ?って疑問がある研究で、以前私は、北方と南方でモンゴロイドの遺伝子の差があるのはスンダランドより北に行った集団があるせいだと書いた。
私はモンゴロイドの北方ルートに否定的。本当に過去の人骨から北方ルートでモンゴロイド系って出てこないんだ。過去の事は知る事は出来ない。それゆえどうしても現在から推測になる。データが少ないから決定する事は出来ない。だが北方ルートの根拠は全くデータが無かった時代の産物で、データが少ない今とは違う。無いと少ないじゃ大違いなんだ。
正直、少ないデータを組み合わせて結論を述べると北方ルートってベタなモンゴロイドじゃないんじゃない?って結論になってしまう。その時問題になるのが、南北でモンゴロイドに時間的な隔離で生じたような遺伝的距離があるって点。でこれスンダランドと交わり無く生きれば可能になる。
んで中国政府がこれ調べていて、かなりの数の北方系のmtDNAハプロについて分岐が中国発だと突き止めてる。いや根底には中華オリジナルプロジェクトのお金が出てるからになるけど、結果はまあ学問的な価値はこれ高いと思う。北方ルートなしにきちんとしたデータによる推論で、スンダランドとは違う北方系が発展した故地を突き止めてる。
中華オリジナルはたまには役に立つ。だが中国は中華以外の起源を探求にあまり熱心じゃないような感じがある。それがこの話になる。どうも中国発の研究が無いんだ。大体欧米と日本の研究者になる。日本は中国憎しでやってるわけじゃない。日本は最初から外からやってきたのが分かりきってるので、逆にこのルーツ探しに熱心。この点日本人はアメリカ人と発想が似てる。あんまりこの手の事嫌がらない。
結論から言うと、疑いはある。粟とキビ。この2つ中国発と断言できない。ただ粟に関してはあまりに酷いので触れない。統一を諦めて多元発展で片付くような流れになってる。これが確かだじゃない。纏めるような話が出来ないので妥協に近い。粟は触れたくない。粟に関しては中国オリジナルで良いと思ってる。そもそもキビを落とせば粟だってって疑惑が出るので良いんだ。
キビは2つ。中国と西洋の多元同時起源。後はそれを繋ぐ中央アジアに起源があるって話し。中央アジアから東西に広がったって話しになる。遺伝的に様々な根拠から。この2つは大きくはっきりと遺伝の系統が違う。コーカソイドモンゴロイドみたいな発展。ただその根元には、ネグロイドがいたとなる。
いや遺伝的には中央アジアが起源で良い。大事なのは栽培の起源になる。野生種の起源じゃない。それが全世界に広がって、同時多発的に栽培されたなら、それは中央アジアに野生種の起源があるのは当たり前の事だから。中央アジアで栽培に成功したものが東西に広がった。これが大事なんだ。これを遺伝子で調べるのは確かに苦しい。人間が宇宙人に創られたみたいな話になってしまう。
問題はだ、中央アジア起源説が否定できないなら、一体誰が来たのか?になる。ちょっとモンゴル高原からはみ出したぐらいならNで決定する。元々N系がやり始めたことなので。だがもっと西ならN系が進出するのはかなり後になる。場所的な予想はアフガンインド北西ぐらいに想定されてる。
これは問題だ。ステップルートじゃない。このルートで移動可能か?分からない。何故小麦の移動が遅れたのか?はそれは雑穀栽培だとルートが選ばれるので、最初から目的を持って持ってきたからだと見ている。雑穀焼畑栽培だと小麦は結構選ばれる。それに対してキビはとにかく乾燥に強いらしい。
小麦は最初から中国農業がかなり発展してから西方の牧畜に伴って栽培を意識して持ってこられた可能性がある。要するに東方への移動途中では栽培に向かない気候があっても構わないって形になる。種だけを意図的にタネのままもってくる意図が無いとこれ苦しい。だからキビと言うのは向いている。
どうなんだろうな。アフガンあたりからステップロードに入るのはかなり面倒なルートになる。明らかにシルクロードを通ったほうが早い。だが、原始的な焼畑牧畜移動農業と言うのはどこが良いのか。東南アジア圏の焼畑農業と決定的に違うのは牧畜の組み合わせが濃い。これは中国から過去から一貫してて、満州に至るまですべて同じ。
早くに米作を導入した日本だけ異質なものになってしまったが、中国南方は初期から普通に家畜が導入されている。漁業のせいでは?なら違う。おそらく初期中国では淡水だが漁労は重要な蛋白源になってる。初期の土器から魚の模様が多くて、河の近くで発展してるから。この点に関して、甘粛省の彩陶文化は西からの別のものじゃないか?と言う指摘も一応あるほど。
中国人はなんでも食べる。日本も縄文時代は狩猟ではそうだったのだが、仏教のせいなのか?とにかく中国でありがちな数豊富な食べるための動物の家畜化が弱い。東南アジアに牧畜が無いと言ってるわけじゃなくて、系統が違うと感じている。中国の農業はどこか西方の農業に似た感じがある。
西方からの焼畑牧畜民が徐々に移動して、途中でキビを栽培化に成功して中国にやってきたのでは?となる。小麦がなくなってしまったのは、途中で栽培に適さなかったから。米に較べれば圧倒的に乾燥に強いが、それでも、小麦は早くから栽培化されていたが、本格的になったのは、メソポタミアの灌漑農業の発展が大きい。
持ってこれ無い事は無いと思うが、何故小麦が無かったのか?で焼畑しながら移動してきたので、その途中で安定的に収穫できないケースがあって、キビにとって変わられたのではないか?と見てるから。実際満州などはO2系のNとともに発展した系統がわんさか出る。これは焼畑移動民が拡散した証拠だと見ている。しかも偏ってる。