かもめ
少女は静かな海をただ見つめていた。
テンポよくさざめく波に驚きながら。
遠くまで流れ、流され、それでもなお帰ってくる。
時には程遠い年月をかけてでも。
少女は叫ぶ。
言葉にならない声を。
果たしてそれは、どこまで届いたのだろうか……
足で砂を弄りつつ考える。
これからどうしたものか、と杞憂する。
いつまでも続きそうなこの時間をどうやって潰そうか。
今ここは退屈極まりないのだから。
少女はひとつあくびをし、打ち寄せる波に別れを告げた。
そして、ゆっくりと、体を丸めた。
いつの間にか、五月蝿い波音は聞こえなくなっていた。
少女の目に映ったのはーー。
だかそれがなんであろうと、少女はすっくと立ち上がる。
ぴんと尻尾を伸ばし、一歩一歩しっかりと歩んで行く。
そこに待つものは夢か、それともーー。